2014.03.31 トピックス
「ガチ議論」シンポ・テープ起こし (1/6)
お待たせしました!! 第36回日本分子生物学学会年会企画「生命科学研究を考えるガチ議論」シンポジウム のテープ起こしです。編集の都合上、前・中・後編と分け、今回はまず前編を公開いたします。中・後編のテープ起こしや、動画も準備が整い次第随時公開していく予定です。
主催:第36回分子生物学会年会 生命科学研究を考えるガチ議論企画委員
協賛:Science Talks/カクタス・コミュニケーションズ
日時:2013年12月5日(木)18時~21時半
会場:神戸国際会議場 1階 メインホール
パネリスト:(順不同, 敬称略; プロフィール詳細はこちらの記事参照)
川上 伸昭(文部科学省政策評価審議官)
斉藤 卓也(文部科学省タスクフォース戦略室長)
鈴木 寛(元文部科学副大臣)1964
原山 優子(内閣府総合科学技術会議常任議員)
安宅 和人(ヤフー株式会社・CSO)
宮野 公樹(京都大学学際融合教育研究推進センター准教授・総長学事補佐)
近藤 滋(大阪大学大学院 教授, 年会大会長, ガチ議論代表)
宮川 剛(藤田保健衛生大学 教授, ガチ議論スタッフ)
スタッフ:
中川 真一(理化学研究所 准主任研究員)
小清水 久嗣 (藤田保健衛生大学 助教)
近藤
ご来場の皆さん夜遅いところを来ていただいて誠にありがとうございました。分子生物学会第36回年会の年会長かつガチ議論代表ということになっております近藤です。何か最初に挨拶をしろということですけど、私、2年前にこの年会長をやろうということにご指名されて、普通のことをやっているんだったら別にやらんでもいいなと思って、学会を見てるといろんな学会がたくさんあって、いつも同じ人に会って同じ発表を聞いているって感じで、なにか学会自体に別の価値観がないともうやっていけないな、という感じがしました。それで価値観の一つとして、皆さんいつも学会の後夜飲みにいって、文科省が悪いだの大学のトップが悪いだのなんだの、僕もいつも文句言ってますけど、我々の中だけで言っていても全く生産性がないので、ここにいるような、それを受け止めるべき人たちの前で言ったらどうか。あるいはその人たちは当然そういうことに対しては当然きつい反撃を持ってるわけなんで、それを聞くことによって何かが始まるかなと、いうことで、このガチ議論というものを始めたいと思って、この一年半ぐらい準備してやってきました。幸いなことに非常に強力な協力者を得まして、最初に望んでいたような方達がここに集まっていただけることになりました。本当にお礼を申し上げます。それでは事実上のガチ議論の運営者の宮川さんにバトンタッチして、説明をしてもらいます。よろしくお願いします。
宮川
ガチ議論スタッフの藤田保健衛生大学の宮川です。日本の科学を考えるというこの企画は、ネットと密接に連動する企画でありまして、ガチ議論サイトというのを今年(2013年)の一月から運営しております。このサイトでは日本の科学にまつわるいろいろな問題を指摘していただいて、かつ何らかの提案を出していただき、それについて議論が行われるというかたちになっています。まずこのサイトで指摘された問題点となされた提案のいくつかをピックアップして紹介し、それらについてサイトを訪れた方々がどのように感じたかをざっと説明させていただきます。時間の関係上詳しいことは御示しできませんので、詳細はそれぞれのURLにアクセスしてご覧いただければと思います(スライド[pdf]のダウンロードはこちらから; 外部サイト[包括脳プラットフォーム - XooNIps for CBSN]に移行します)。
トピックスの1です。課題は、諸悪の根源、単年度予算制度です。単年度予算制度によって、年度末駆け込みによる無駄な使用、残券ゼロ化の無駄な努力、そして預かり金という不正、などの諸問題が発生しております。これに対しまして、全ての公的研究費の複数年度予算化をお願いしたいという提案です。これによりまして、研究費の有効活用ができます。そして、預かり金をするモチベーションも激減します。この提案についてですね、サイトを訪れた方々にアンケートを行いました。
「研究費の基金化を全ての種目について進めるべきだと思いますか?」
こういう質問で、結果は、「はい」が88%で、約9割が基金化を希望している、というものでした。
トピックスの2です。課題は、研究者には雑用が多すぎる。諸々の雑用のため、研究時間がとれません。他のプロの方が行うべきような業務もやっております。提案です。研究者の雑用の軽減をお願いします。これについてのアンケートです。
「一ヶ月にどれぐらいの時間を雑用に使われていますか?」
という質問に対しまして、無駄な雑用にかける時間は一ヶ月に10時間以上である、という人が約7割、
「研究者の雑用は減らすことができると思いますか?」
という質問に対しましては、大学研究機関の努力で減らせるか、あるいは行政の強力もあれば減らせると、いうのを合わせて9割が減らせる、というふうに考えております。
トピックスのその3です。研究者のポスト問題です。ポスドク1万人計画後、ポスト競争が加熱しております。研究適性の高い若手でも参入を敬遠し、競争過多で研究にマイナスになっております。さらに常勤と非常勤の待遇の差が大きすぎでありまして、5年、あるいは10年の雇い止め問題も現在大問題になっています。これに対しまして、安定性と競争性を担保する日本版テニュアトラックのようなものができないかと、いう提案です。この提案では、身分そのものは安定させるけれども、基本報酬は低く抑え、競争的なアドオン給与をつけます。よほどのことがない限りテニュアが取得できるようにします。テニュアはPIだけでなくポスドクや技術補佐員、リサーチアドミニストレーター等多様な方々が取得できるようにします。ノーベル賞の山中先生のご意見なども反映された提案になっております。これにつきまして、
「このようなテニュアトラック制度、導入してほしいですか?」
という提案に対しまして、約9割が導入を希望。
「使える人件費の総額は全体で変わらない、そういう前提でこのような制度を導入すると、国全体として研究成果が増えると思いますか?」
という質問に対しまして、7割以上が増えると、予測しております。
次。現状の競争的研究費には様々な問題があります。ハイリスク研究に打ち込めません。当たるか外れるかのall or noneですので、ギャンブル性が高すぎます。ですので、たくさん申請せねばならず、それだけで疲弊してしまうわけであります。そこで、安定した基盤的研究費の導入を提案したいと。この研究費は、研究者の過去の実績の評価に主に基づきまして、額が緩やかに変動するようなものです。突然ゼロになったり極端に増える、ということはありません。アンケートでは、9割以上がこのような研究費を導入してほしいと希望しておりまして、またこの導入によって、8割以上が国全体で見た時に研究成果のアウトプットが増えるというふうに予測しております。
次。日本人研究者の海外留学離れ、内向き思考がいわれております。これはポスドク問題とリンクしているわけなんですけれども、海外に留学するのは不安、日本に戻れなくなってしまうのではという危惧があり、海外留学離れが進んでしまい、日本の研究力が低下するというわけであります。そこで、海外日本人研究者ネットワークに公的な支援を、という提案です。ネットワークで情報を共有し、日本人留学者、留学を検討している人の不安が解消できないかということであります。
「このようなネットワークに国が何らかの形で公的にサポートすることについてどう思いますか?」
という質問に対しまして、7割以上が賛成、ということです。
最後の課題。学会が多すぎ。日本の科学にマイナス、という課題です。たくさん参加せねばならず研究時間が減りますし、莫大なコストがかかってしまっております。これに対しまして、我らが大会等のご提案は、学会なんかいらない!!です。ITの活用等で学会の役割は代替可能ですし、人の集まらない学会は速やかに解散、他と合併したらどうかというものです。で、これについてのアンケート、日本分子生物学会要りますか?というアンケート、白黒ちょっとつけましょうというアンケートは、怖くて採っておりません。
ともかく、これらが現場の研究者達の、ほぼ、コヒーレントボイス。研究者コミュニティーの声、といって良いのではないかと思います。なんとか実現していただけないものでしょうか、ということです。よろしくお願いします。
宮野
宮川先生ありがとうございました。宮川先生、笑いも取っていただいてほんとありがとうございます。ちょっと暖まって。このあと早速今からぶっ続けでですね、2時間ほどいろいろ話していきたいと思います。ルール説明の前にまずは自己紹介から。まずは簡単にパネリストの方の紹介を僕の方からさせていただきます。まず、近藤先生。先ほど話された宮川先生。元文部科学省副大臣、鈴木寛先生、すずかん先生です。よろしくお願いします。内閣総科の原山先生です。よろしくお願いします。そしてこちら、川上審議官です。文科省です。次、ヤフーの安宅さんです。そして、トリが、文科省の科学技術タスクフォース室の斉藤さんです。そして僕は今日、司会といいますか、ファシリテーターを仰せつかりました、京都大学の宮野と申します。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
このメンバーで、途中休憩もあるのかな?2時間ほどダーッと話していきたいと思います。思った以上に、お客様入っているんでね、ちょっと困ったなというか、想定外だったんですけれども、誰もいなかったらこのステージ上に客席上げてここだけで話しようかと思っていたぐらいだったんですけれども。あんま行くとこなかったんかな、という気もするんですけれども。今日はUstreamでも流しておりまして、このパネリストの前にですね、パソコンがありまして、ここでTwitterかUstreamでのコメントも全部見れるようになっております。もしUst見ておられる方がおられましたら、そちらの方に質問とかしてもらったらね、適宜、これ面白いなとかおもったら拾わせていただきます。決して、俺のは拾っていないとか、そういう文句は言わないでくださいね。ばーっと流れていますんで。で、まず今日の設えですけれども、ルールを説明します。まず大前提はですね、後で説明しますけど、ちっちゃくて見えませんよね。皆さんお手元にビラがあるんですかね。あ、ありがとうございます。結構協力的な観客で。もういいです。皆様ありますね。これが一つ基盤になっています。
で、何を言いたいかといいますと、さきほど宮川先生からもお話しいただいたように、言葉は悪いですけれども、ここにおられる分子生物学会、分生の研究者の皆様のね、ご不満、思いとかはね、もう十分聞いております。もう、だいたいこう分かっていると。で、それを踏まえて、それこそ近藤先生言っておられたように、飲み会の場を越えるために、とりあえず飲み会の場での議論はまとめていただいた、と、ちょっと言葉悪いですけれども。で、それを踏まえてここに各ステークホルダー、文部科学省、総科、ステークホルダーの皆様を交えて次の議論をしようと。その時にすごく大事なのが、決して全ての問題は個別じゃないよね、ということを言いわけです。全部つながっている。一つにね。こうしてシナリオに。つまり、我々の問題というのは今のシステムが生み出した問題なわけですよ。従って、個別問題を扱うよりも、システムの議論で、ちょっとメタな目で議論しないと何も変わらないよね、という思いからこのマップを配っております。で、これに従って、議論をしていければなと思っています。これは事前にネットでも出しまして、いろんなご意見もいただいてそれも今日拾って、随意みなさんで議論していただきたいと思っております。
まず今日はですね、このいただいたシナリオに関して僕の方からおさらい的に一回説明いたします。その後、各パネリストの皆さんに、ここが一番ボトルネック、というかここが気になるという点をこのフリップに書いていただいて、どんとね、ま、テレビチックなね、よくあるパターンで。鈴木先生とか慣れてるかも知らんけど他の先生慣れてないからうまく行くかどうかは分からんけど。で、書いてもらって、そこからおもろいなというものを僕が拾って、議論を展開していけば良いと。ぶっちゃけ、何にもシナリオも決まっていなくって、こういうメッセージを発したいというのすら決まっていません。ここである意味、参加者の人たち無視してここでワイワイ盛り上がったらいいなと。無視してって…、すいません。ちょっとカチンとしたかな?なんか静かになったかな?急に。ただ、結構、なんと言うんでしょう、専門的なというか、内容がコアな内容になった時に、いや、それは分かりませんということは、カンペの方でスタッフの方が僕にキュー出してくれますので、説明して下さい、というのがあれば、Twitterとかでつぶやいてもらったらいいなと思っています。
じゃあ今から早速行きますね。このシナリオに関してちょっと説明していきます。これはほんの3分程度で。この大きさで見えるかな。見えますね。スタートをどこにしましょうかね。スタートはですね、じゃあ、皆さんなじみのここにしましょうか。事業開始。たとえばですね、競争的資金開始、どういっていいんでしょう、科研費とかですね、CREST、さきがけとか、そういうある公募が出たとします。そうするとですね、いくつかの、3つに分かれます。新規の研究だけれどもある程度、成果がないと、実績がないと応募できませんよね。実績があるものってのは成果が見込めるもので申請書書くっていうことですよね。そうすると、真にオリジナリティーがあるものってなかなか書きにくいよねと。つまり、結果、優れた成果出てこないよね、と。別に研究資金は、次こっち行きますね。僕のマウスポインター見えてんのかな。マルとかやっていはる人とかおる。見えてるね。別に資金はそれほど必要ないけれど、獲得資金=研究能力という傾向が強いんで出すと。で、ちょっと多い目の研究費で申請すると。その結果、なかなか優れた提案が出てこないんじゃないかと。あとここに、先ほど宮川先生の方からもあった、申請書に膨大な量力がかかりますよねと。こういうとこに分かれていって、この膨大な資料作成による研究時間の減少にリンクされております。で、優れた提案が出てこない、次、ざっと行きますね、で、採択か不採択かが決まります。で、不採択になっても、研究者へのフィードバックなし。これほんとに残念な話で科研費もらっていてもちっちゃいはがきでBとかね、5点だったかな、とかきてね、どこ悪かったんやと。ほんと(フィードバックが)ないから、結局よく我々言いますよね。当たった、外れたとかね。結局クジ引きと同じ。当たったか外れたかってなってる。これはちょっとおかしいなと。フィードバックないってことは成長がないってことですからね。で、そういう問題がある。で、採択の場合、例えば、間接経費。一般的に間接経費っていうのはこれは皆さん大体ご承知ですかね。研究に直接かかるお金と、別途、間接的に使ってもいいよというお金。例えば事務員さん雇用するとか、そういうものに観察経費は使われる訳ですけれども、間接経費っていうのは減少傾向にあります。なぜ減少傾向にあるんですかね?齊藤さん。
斉藤
もともと30%間接経費をつけようということで国の方でもずっとやってきたはずですけれども、競争的資金にはつけようということでやってきましたが、競争的資金があんまり競争的になっていないとか、多すぎるんじゃないか、みたいな議論があってですね、それで減りつつあるということですね。
宮野
競争的資金が、多すぎる?
斉藤
端的にいいますと、鈴木先生がいらっしゃるんですけれども、事業仕分けの時にですね、競争的資金というのが対象になって、なんか競争的資金全体が悪いみたいな方向になってしまってですね、それのせいで競争的資金というその枠組みを縮小するという方向に全体としてはなっているという感じですね。
宮野
そういうことか。競争的資金そのものが減っている。なるほど。
と、こんな感じで、僕なんか突然ふったりとか、皆さんも思ったことあればもうぽんぽん言っていただいていいんで。
鈴木
いいですか?
宮野
もちろんです。
鈴木
間接経費っていう名前が悪いんですね。まずね。それで、仕分けの時も申し上げたんですけれども、皆さんの敵は実は隣にいる、ってことですね。隣っていうかですね、仕分け人の、3分の2は大学教授です。法学部だったり経済学部だったり、商学部だったりするわけですけれども、その人たちが、理科系の研究とか、間接経費の意義とかについて理解していないで、とつぜん30分ぐらい仕分け人に選ばれて、なんか言わなきゃいけない。それで、メディアが期待するステレオタイプ的なロールは、減らす、っていう、そういうことで選ばれてきているから。で、彼らがもう一回選ばれたいので、メディアに露出し続けたいので、その文脈にあったことを言った、ということなんですよ。だから間接経費が減ってる、っていうことなんです。
宮野
なるほど。
鈴木
で、一方で、間接経費という名前をちゃんと、例えばプロジェクトを円滑化する、プロジェクト支援費とかね、いろいろ新しい名前を、僕らは、文科省の人と一緒に考えていました。で、そこにはちゃんと、名誉のために言っておくと、いろいろな大学の副学長とか研究担当理事とかは真剣にそこに加わってくれて、そしてその名前を変えてもう一回いわゆる間接経費的な経費を確保するというイニシアティブはなかったわけではない。相当真面目に検討をしていた。
宮野
なるほど。面白い。なぜそれが今そうじゃないのかっていうことは後でまた話したいですね。で、間接経費ってなくなりますとあえていいますけども、大学は運営費っていって、国からもらうお金は減っています、従ってその補充をしなければいけません、それは競争的資金で取った間接経費で回しています、だって間接経費はある意味どこでも使っていいんでね、で、そうすると、間接経費が減るっていうことはここにつながります。大学本部にはマネジメントに使えるお金がない、てありますけど、少なくなる、ってことです。そうすると、ガバナンス、経営にお金がかかる、というのはもちろん諸説ありますけれども、端的にお金はパワーですので、それがないということはなかなかガバナンス効かせにくい、という事実もあるにはあるんでね。従ってそういうものが大学のガバナンス低下につながっているねえと。
次こちら、下、行きますけれども、たとえば、良く最近はですね、単発の研究、皆さん研究やってください、っていったら科研費程度ですよね。さきがけも、先駆け牧場っていうぐらい、みんなでやるんですよね。で、どんどんネットワーク化していっています。全ての事業は。で、拠点はネットワーク化するんですけれども、たとえば、そういうネットワークっていうのを、誰がマネジメントするんですか、っていう。例えば、研究者の人がマネジメントしようとしても、それはある意味専門外のことなんでね、研究していた人がネットワークマネジメントできるか、っていうとそうじゃない。そういうところで、なかなか、なんていうんでしょう、本当に発揮しきれていないなあという事実があります。
で、まだ続きますよ。採択されたあとですよ。で、研究資金の執行が主要ミッションになっている。これも、結構キツいこと言っていますけれども、予算、当たった瞬間から、若干多めのものをもらった瞬間から、予算は、単年度で、先ほど宮川先生の方からあったように、単年度で使わなきゃいけない。つまり、「使わ」なきゃいけない。ほしい、ほしいといって取ったのに、取った瞬間から「使わ」なければいけないという、恐怖概念に教われるわけです。12月ぐらいまでなってまだ半分しか使っていなかったら、事務から、おい、使ってないよとかいう電話があると。うんうんとか、うなずいている人もいっぱいいますけれども、そういう中で、お金使うと言っても単純に、言葉悪いですけれども研究推進と予算消費をかねてポスドクを雇用、っていうふうに書いてあります。そうするとやっぱ単純に、競争的資金の数だけどんどんポスドクさんが増えると。これがいわゆるポスドク問題という風に言われたりしています。で、またこの資金の(執行の)ほうがミッションになると、安い機器の情報や機器の共有に関する枠組みがない。同じ装置を、例えば電子顕微鏡とか高価なやつが各研究室にあるとか、やっぱちょっともったいないですよね。これは今で言うオープンイノベーションに反しているとも言えます。みんなで一つの装置を共有することで、知識も知恵も共有しようというものに反しているなあと。で、それはそういう研究費の無駄遣いとかにつながるというわけです。
ちょっと、はしょりますね。例えば、教員のマネジメントスキルは特に向上しないというのも、本来教員は研究者であるのでね。それなのに、獲得資金が大きいプロジェクトを担当したというだけで、審議会委員になる場合も…、結構これ書いてありますねえ。で、これがどんどんつながりまして、そういう審議会の先生方が、どんどんこちらにつながりまして、こちらは文科省の方になります。全体的な戦略やその実施体制が不透明。なんでこんな事業やるのとかいうのもですね、敢えて言いますけれども、ピカピカの研究者の人がメタな視点で政策を考えているというシステムになってしまっているんじゃないかという、それはとりもなおさず、研究費、獲得研究費の量がその研究能力になっているんじゃないかという、たとえばここに行き着く。そういうシステムの問題になっている。
で、右上の方ちょと行きますかね。例えば、採択された後ですね、事業の達成の目標、検証指標が不明確、これも悩ましいですよね。100億かけました。だったら論文100本だろうとかいう、わけのわからないそういう指標がある。まあ、ないですけれどもね。ないんですよ。いくらかけたから何本とかないんですよ。でも皆さん分かっているように研究なんて、そもそも研究と計画はマッチしない。計画性っていうのはね。半導体みたいに、なんか工場じゃないんだから。そういった中で、だんだん論文を書くっていうことに無理を生じているよねと。言葉は悪いですけれども、やっぱりそういう視点で成果出さないかんということになってくると、ホームラン論文でなくバントヒット論文を量産っていうことにならざるを得ないんじゃないかなあと。で、結果的に、研究の質低下、注目度の高い論文の減少問題になっているんじゃないかと。これはこの前のナイステップ、科学技術政策研究所が出したところでもあるように、2001年と比べて短期的な研究、流行を追う研究というのが、ダーッと増えています。これは研究者へのアンケートです。その一方、長期的な研究、萌芽的な研究というのは2001年と比べてすごく減っているというデータがあります。そういうデータからの裏付けもありますね。
国際化の話も少しいきますか。国際化が主目的の事業ならそれを頑張るが、特になければイージーな国内の共同研究に流れがち、国際化の遅れ、アジアのハブになれていないなあとかね、そういう問題があります。
宮川
ちょっといいですか。ネットから、「司会者しゃべり過ぎ」というご意見が出て…。
宮野
以上を踏まえまして…、さあ、先生方。書いてください。どうぞ!これを見て、ここは言いたいなあ、思ったなあ、ということ、気になったことをズバっと書いていただいて。太い字で書いてください。いいねえ。インターラクティブで。ありがたい。書けた人から。
宮川さん。いいですか。説明もしてくださいね。
宮川
「局所最適」って書いたんですけれども、宮野さんがいっぱい色々しゃべられたんですけれども、あんまり細かいところは聞いていなかったんですけれども、すいません。これらのですね、それぞれのアイテムのそれぞれで局所最適になっちゃっていて、このマインドマップにも入っていると思うんですけれども、各課が局所最適でバラバラに予算請求っていうのが、これ文科省の中の各課というのを意味していると思うんですけれども、様々なところで全てがそれになっていて、大学の中でもそうだし、国全体の科学技術の戦略みたいのもそうだと思いますし、全てが局所最適でやろうとしているので、我々研究者から見てみればいろいろなところに属しているわけですね、大学に属しているし、文科省系のお金ももらうし、厚労省のもいただくし、っていういろんなのやるわけなんですけれども、それぞれで色々言ってこられるので、やたら忙しくなっちゃって困るということがあって、要は、全体的なマネジメント、ということを考えるということがなされていないと。
宮野
それは政策側の方で?それとも大学の方?
宮川
大学の方でもそうだと思いますよね。はい。各部局とか、縦割りの、タコツボのストラクチャーがいろんなところにあると思うんですけれども、全体でマネジメントを考えるみたいなことがなくて、そういうものを考えるって時に、局所最適っていうのも、本当に一部の人が考えているので、こういう意見、一般の研究者の方々の意見を集約するところが全然なくて、先ほどのまとめでお示ししたように、意見をちょっと聴取すればですね、大体まあこんな風にした方がいいよなあっていう意見が出てくるんだけれども、狭いタコツボでやっちゃっているので、そういうことが全然反映されてこないと。
宮野
分かった。なんか関連する…、はい。原山先生お願いします。
コメントを新着順に表示させるため
コメントはできるだけ下のボックスからご入力ください。
[...] ・第36回日本分子生物学会シンポジウム “日本の科学を考えるガチ議論” H25年12月 [...]