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研究不正フォーラムの概要とご意見・提案の募集

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分子生物学会年会の研究不正フォーラムの概要ができ上ってきました。以下は、年会プログラムに載せる告知です。



日程とタイトル
12月3日(火)10:00 ~ 11:30 研究主宰者や共同研究者が研究公正性に果たすべき役割
12月3日(火)14:00 ~ 15:30 研究機関が研究公正性に果たすべき役割
12月4日(水)10:00 ~ 11:30 研究不正を防ぐジャーナルシステム
12月4日(水)14:00 ~ 15:30 研究不正を防ぐ研究費配分システム
12月5日(木)10:00 ~ 11:30 不正調査の実際と有効性
12月5日(木)14:00 ~ 15:30 まとめ、今後の課題と次のアクション
※セッションの概要は、翌日の朝までに年会HPにアップする予定です。
会 場:神戸ポートピアホテル 地下1 階 トパーズ

近年、研究の発展を阻害するような研究不正が続発し、研究者に対する信頼性が大きく揺らいでいます。ライフサイエンスの研究成果が、医療技術や薬の開発などを通して社会と直結する現代において、研究の公正性を確保することは絶対的に必要です。研究不正を防ぐための何らかのルール・仕組みを、早急に作ることが必要ですが、その任務を主導するべきは我々科学者であると考えます。なぜなら、我々は当事者であり、我々だけが、不正に関する種々の事情を正確に理解し、適切に対応できるからです。もし、我々がこの危機に対して何もしなければ、外部から新しいルールを押しつけられることは間違いなく、それが、不合理で研究の障害になったとしても、何一つ文句は言えません。このフォーラムでは、これまでの様にスローガン的な結論を出すのでなく、過去の不正事例を検討し、どうすれば不正を減らすことができるかに関する具体的な提案につなげることを目的とします。また、それによって、この問題に対して科学者社会に、健全な自浄作用が保持されていることを一般社会に向けて表明したいと考えます。

フォーラムの形式と内容
本フォーラムは、漠然とした一般論に陥ることなく、不正を減らせるような具体的な提案につなげるため、テーマを絞った6つの独立したセッションから構成されています。各セッションのテーマに適した人材を講演者、パネラーとして招聘し、基本的に講演以外は自由討論という形で議論を深めます。講演を含む、全発言は全文記録し、不適切発言などを削除した後、全面公開します。また、サイエンスライター(2名程度)に記録をお願いし、客観的な立場からまとめをお願いすることを計画しています。
なお、このフォーラムは糾弾のためにあるのではなく、あくまでも未来に向けての改善策を探る事が目的です。このことは、フォーラム参加者全員がしっかりと心にとめておいていただけるよう、お願いいたします。重要な関係者に参加をいただくべく、様々な働きかけをしておりますが、内容の詳細につきましては年会HPにアップデートしていきますので、そちらをご覧いただければ幸いです。

研究倫理委員長 小原 雄治
理事長 大隅 典子



以下は年会長・近藤滋による解説+αです。

フォーラムは、テーマを変えて全部で6セッション行われる予定です。各セッションにおける内容は、ゲストの予定により入れ替えになる可能性もありますので、是非直前に年会HPでご確認いただけますようお願いします。どのようなゲストが来るかが重要です。絶対に確実とは言えませんが、ジャーナルサイドからはN誌の編集者が来てくれる可能性があります。また、研究費の配分機関からも、担当者が来てくれることになっています。あと、不正の起きる背景や、どうして防げなかったのか?を考える時に一番大事なのは、その不正の中核にいた人達であり、彼らの証言が極めて重要です。彼らをフォーラムに招きたいと思っていますが、今のところお約束はできません。
フォーラムでは「どうやれば不正を減らせるか」を建設的に話し合うのであり、それぞれの立場を攻撃しあう事では無いので、そのあたりを心にとめてフォーラムに参加していただけると大変ありがたく思います。
議論する内容に関してはある程度固まってきていますが、特に議論してほしいことや提案があれば、この記事のコメント欄に書きこんでください。また、当日発言したい、という人がいれば、そのこともコメント欄に。確実とは言えませんが、実行委員会で取り上げて検討します。

以下、コピペ論文の処理に関する私の意見です。(フォーラムで発言しようと思っています)

不正問題に関して研究者間で話していると、大抵の場合、ジャーナルが強制的にリトラクションしないのが悪いとか、研究費の回収を行わない配分機関が悪いとか、結果を発表しない@@大学の首脳が悪いとかいう話が出てきます。実際そういった面もあるでしょうが、考えれば彼らは研究をサポートする立場です。まず、研究者自身に自浄作用があることを示し、それを研究者以外の当事者や社会全体に浸透させることが大事であると思います。公正局は確かに必要でしょう。実際に、不正事案は多発しており、それを関係機関がうまく処理できているようには見えませんから。しかし、公正局ができても、それがうまく運用できるかどうかは、研究者自身の良識のレベルにかかっていると思います。

いわゆるコピペは、データだと主張している図に、違うものが存在しているわけなので、悪意があったかどうかに関係なく、「その論文が信用に値しない」ことを明瞭に示しています。たとえ、コレクションをジャーナルが認めたにせよ、読者はその論文のデータを信用しないので、その論文は「アカデミックな意味で」存在価値がありません。したがって、その論文に関する全てを代表する責任著者の義務として自主的にリトラクションをするべきだと、私は思います。自主的なリトラクションは、その研究者が正常な倫理観を持っていることの証拠の一つにもなります。また、リトラクションにより、少なくともアカデミックな意味では、不正事案自体が無くなるので、その方が研究者自身や関係者にとっても安全です。(不正論文で多額の研究費を得たとかの「社会的な責任」はまた別です。)

考えれば、「コピペ即リトラクション」のルールを作るまでも無く、コピペ論文の無価値化は容易にできるはずです。現在既にネット上に挙がっているコピペ論文のリストを網羅したデータベースを作り、それを研究費の申請書やポストへの応募書類についてくる業績と照合すれば良いだけですから。そんなソフトは、簡単に作れるはず。その照合に引っ掛かれば、その申請・応募は間違いなく却下されるでしょう。そうなると、そんな危険のある論文を業績欄に入れることは怖くてできません。コピペ論文は、自動的に無価値になります。既にやっている機関だって、あるはずです。あるいは、文科省や学術振興会に近い人が、そのようなデータベースを持っている、とつぶやくだけで十分に大きな効果が得られるかもしれません。JSPSやJSTは直ぐにでもやるべきだと思います。(もうやっているかもしれませんが。)あるいは、NPOがやっても良いかも。一人でもできるでしょう。

解説+α部分文責:分子生物学会年会長・近藤滋

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