【帰ってきた】ガチ議論
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研究者の待遇問題 -文科省お役人への質問のまとめI-

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    ガチ議論企画その1:「文科省お役人への質問大募集」』にコメント投稿を多くいただきました。文科省科学技術改革タスクフォース戦略室との会合に先立ち、ここでいったん皆様からのご質問を整理させていただきたいと思います。内容により大きく3つのテーマ(I. 研究者の待遇問題; II. 文科省について; III.その他の問題)にわけて、それぞれについて記事を立ち上げました。ここではまず、ひとつめのテーマをご紹介します。


    日本の研究者の待遇に関してのご質問が多くありました。無給で奉仕させられる院生や、博士余りで不安定な雇用に甘んじなければならない若手研究者など、研究者の待遇の悪さについて問題が提起される一方、適正にあわせた柔軟な人材配置ができない現状についてなんとかできないのかというご質問などがありました。会合では、戦略室の官僚の方がこうした研究者の待遇の問題をどう捉え、その解決にむけてどのようなご意見をお持ちかお伺いし、議論を行う予定です。頂いた回答については後日、独立した記事としてアップいたします。また、これと平行し、こちらではいただいたご質問(下記参照)について皆様からのご意見を募集します。質問にはそれぞれ番号をつけておりますので、コメントを投稿いただく際には「II-3」など、質問の番号をお示しいただきますようお願いいたします。


    以下に『ガチ議論企画その1:「文科省お役人への質問大募集」』に寄せられた皆様の質問をまとめます。

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    I-1 日本の院生の待遇の悪さA
    日本の院生は、学費+生活費が自己負担で、5年以上の過重労働と科学への主要な貢献にも係わらず数百万円の借金を背負う可能性が高いという点で、世界的に極めて特殊な存在です。支援機構は単なる学生ローンに過ぎませんし学振などの支援は不十分で恩沢も一部に留まります。抜本的な待遇改善のためには、学費廃止・最低賃金の保障とそれを可能にする少数精鋭化が避けられません。大幅な定員減に舵を切る見込みは無いのでしょうか。(K_MIyamichi さん)
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    I-2 日本の院生の待遇の悪さB
    最低限の給与を院生に支払う米国でさえ、合理的なネイティブ達には産業に逃げられており、学生の異常な献身に頼る日本型は世界的に奇異に映ります。また資金を獲得せずとも無料の院生が定常的に確保される状況は、教員の新陳代謝を滞らせる一因になるかと。学生を雇えなくなれば場所を整理でき、そこに新しい教員を採れるはず。お金の流れを抜本的に変え、教員が獲得した研究資金が学生をサポート出来る形になる可能性は有りますか (S_OTA さん)
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    I-3 日本の院生の待遇の悪さC
    研究室配属時に「君達の相手は海外のプロ。プロ意識を持て」などと言う教授もいるが、では給与は?と言えば、博士課程に「学費と同程度」渡す、という学生扱い。「バイトなんて研究者のやることじゃない」から生活費は両親からの仕送りで賄う、なんて平気で言う院生も多い。院生が最低限生活できるだけの体制は整えるべき。個々の大学の教授陣の意識改革を待つより、上がきちんと決めるべき。その為に院生の数を絞るのも仕方ない。(SH さん)
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    I-4 若手研究者の雇用不安定/ワーキングプア問題
    若手研究者の雇用不安定/ワーキングプア問題は、国が取ったポスドク1万人計画が先々までデザインされていなかったという国の失策による部分が大きく、ポスドクの自己責任では済まされない問題です。科学技術立国日本の将来を背負う若手研究者にどうやって雇用と研究環境を提供していくのか(経済の鈍化などといったexcuseはこの際抜きにして)具体的な方針を教えて下さい。(Taruho KURODA さん)
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    I-5 学振研究員の待遇の悪さについて
    学振の「採用しても雇用関係はないから健康保険とかの社会保障はなしな。でも他の所から金貰うんじゃねーぞ」にはMEXTとしてはどう思ってるんですか?(GNK さん)
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    I-6 博士倍増計画はまずいのでは?
    自民党が博士をさらに倍増させる計画を発表していますが、いったいどういうつもりなのでしょうか。これまでの大学院・ポスドク問題をどうとらえてどう解決するつもりなのか、まったく見えてきません。博士のキャリア問題は日本だけでなく欧米でも同様な状況なのですが、いったい自民党はそういう勉強はなさっているのでしょうか。博士倍増案は誰のどういうプランであるのか、責任をもってはっきりさせていただきたい。(Kashimata さん)
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    I-7 任期制は奴隷制?
    研究機関の任期制職員が、定年制職員に比べ、経済的に不利な立場で雇われている合理的な理由はなんですか?任期制職員の雇用条件、任期、契約更新など生活基盤そのものの決定を定年制職員が決めているという構図は、研究者に2種類の身分階級があり、一方が他方を奴隷としているのも同然ではないかと思われますが、どのようにお考えでしょうか。(任期制研究員 さん)
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    I-8 適正にあった配置転換の仕組みの導入A
    とかく研究行政のてこ入れというと、大型プロジェクトにどかんと研究予算をつける話を連想します。そういったプロジェクトのリーダーは、研究者というよりはマネージャー的資質が有能なのではないかと疑いたくなりますし、遅く生まれてきたものはいつまでもプロジェクト組織の最下層で働くしかないのかなと思ってしまいます。年齢とすばらしい研究経験を重ねたマネージャー資質の人は、あえて研究現場を離れ、研究行政側へとステップアップしていただいて、第二第三の若き山中教授を発掘することに心を配って欲しいなと思います。文科省の役人さんも人材のスカウトや事務局として大いに活躍していただきたいと思います。世代交代が起こりにくいことを上の世代から心配されることこそが最悪の状態だと思っています。(とくめい2 さん)
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    I-9 適正にあった配置転換の仕組みの導入B
    学生が大学院に進学しなくなった原因としてポスドク問題が良くあげられますが、そもそも魅力のある授業や実習が出来る大学教員の数が少ないということはないでしょうか。質の低い大学教員には交代してもらう。そんなシステムは作れませんかね。文科省の問題ではなくて各大学の問題?今に始まった問題ではない?(とくめい さん)
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    I-10 研究者のインセンティブと評価の仕組みはどうあるべきか
    現在の科学技術政策において、「研究者にインセンティブを与えることによって日本全体の研究レベルが向上する」ことが前提にされているように思います。しかし以下のTEDで紹介されているように「インセンティブ」の与え方によっては、研究者の内発的動機(創造性)が損なわれる危険があるように感じます。知的好奇心を満たすために邁進し、自分自身の発見が世界に共有されることに心が奮え、そのことに対して国に心から感謝できる研究者が一人でも増えるような政策ができることを願っています。
    http://www.ted.com/talks/…(M.Tada さん)

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