【帰ってきた】ガチ議論
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「ガチ議論」をふりかえって

ツイッターまとめ
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ガチ議論」企画を終えてのスタッフの感想をご紹介します。

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ガチ議論代表の近藤です。分生のガチ議論ライブからずいぶん時間が経ってしまいましたが、編集作業を終え、やっと当日の議論を公開することができ、大変うれしく思っています。この企画を思いついた当初は、お偉いさん方への“つて”はほぼ皆無であり、「ほんまにできるんかいな?」と自分でも全く先が読めなかったのですが、素晴らしい協力者にも恵まれ、終わってみれば期待以上のイベントになりました。当日のtwitterでの反応や、後日行った分子生物学会員へのアンケート結果も非常に好評で、多くの人が、このガチ議論を続けて欲しいと望んでいます。企画者としてはうれしい限りなのですが、では、我々がこの企画を分生の企画として続けると言うのは、ちょっと違うと感じます。科学者と政治、国民との問題は、生命科学分野に限るわけでは無く、また、一部の人だけが先鋭的になって引っ張っていくものでもありません。今回、我々が示すことができたのは、ガチ議論のように、政治の中枢にいる人たちと一般研究者との対話が、実は意外と簡単に実現する、という事です。我々と同じ問題意識をお持ちの方、是非ご連絡ください。企画に関するノウハウは喜んで全て提供させていただきます。理想的には、同様の企画が色々なところで自発的に立ちあがり、科学者コミュニティの意見の形成につながって欲しいと考えます。
近藤 滋(大阪大学大学院 教授, 年会大会長, ガチ議論代表)
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ガチ議論企画が行われてから、あっという間に半年近くがたちました。
学会や会合などで出張すると
「ガチ議論、見ましたよ!」
とおっしゃっていただくことが頻繁にあり、この種のことに興味を持っている方々がたくさんいらっしゃるのは間違いないことを実感しました。
多くの方々が、「こう変わったほうがいいのに」と思うことがたくさん一方で、それらがほとんど変わることがないというのは、たいへん不思議なことではあります。しかし、意見を言うことが研究費獲得や人事などでマイナスに作用する可能性がある(と多くの研究者が思っている)現在の研究者コミュニティでは、これは驚くことではないのかもしれません。ネット上だけでもいいし、匿名でもいいです。一言だけのコメントでももちろんかまいません。勇気をだして自分の意見を公の場に出してみるのはどうでしょうか。「ガチ議論というのはちょっと」ということであれば、「プチ議論」ぐらいでも十分効果はあると思います。
また、この種の企画を分子生物学会だけでなく、様々な学会、グループでもぜひこの種の分野横断的なトピックについて議論をやっていただけるとうれしいです。ノウハウのようなものは提供できますし、なんからの協力もさせていただきます。
ネットでの一言や小さなグループでの議論が少しずつ積み重なって、ある種の共鳴のうねりのようなものがもしできれば、いろいろなことが良い方向に変わっていくのは間違いないと思います。
宮川 剛(藤田保健衛生大学 教授)
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分子生物学会年会でのガチ議論のまとめ作業をしていた2月中旬、例のSTAP論文の不自然な画像の重複の指摘がTwitter上で拡散しはじめました。それから2ヶ月近く経ち、うっかりミスでは到底済ます事の出来ない、様々な瑕疵があったことが明らかになりつつあります。大きな事故というのは、小さなミスが幾十にも重なって起きるというのは良く言われる事です。また、その小さなミスのどれか一つでも防げていれば、大きな事故にはつながらないというのもまた良く知られている事です。大学院教育の問題、ポスドク問題、研究費の分配の問題、業績の評価の問題、などなど。今回の事例では、単年度予算問題以外の、ガチ議論サイトで議論された科学技術にまつわる緒問題のほとんど全てが背景にあったような気がします。どのような研究者コミュニティーを目指してゆくのか。どうすればそれを実現できるのか。研究者の多くにとって、そういう話題は縁遠いものですし、できれば縁遠いままでいたいというのが正直なところです。しかしそれではいけない時代にさしかかっているということも、確かなような気がします。今の日本の研究環境が絶望的に悪いとは全く思いませんが、直すべきところ、正すべきところはたくさんあるはずです。ガチ議論で生まれた流れは、現在、カクタスさん主催のScienceTalksに引き継がれています。より多くの方々にこのような流れへの関心を持っていただくことで、今でもそう悪くは無い研究環境が、もっともっと良い方向に向かうのではないか。そう願っています。
中川 真一(理化学研究所 准主任研究員)
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ガチ議論シンポジウムにご参加いただきました皆様、ありがとうございました。ガチ議論では今日の日本の科学研究における様々な問題がトピックとして取り上げられましたが、「ああ、これは自分が経験した・している問題だ」というものを多くの方、特に(私のように)キャリア形成の途上にある方は、おそらく複数、見つけられたのではないでしょうか。私の場合では、在外日本人研究者ネットワークの問題、ポスト問題、雑用問題などでした。本企画に関わる以前にも、そうした自分にかかわる問題について、ここはおかしいぞ、こうしたほうがいいのではないか、などと自分なりの思いやアイデアはありました。しかし、一研究者はそもそも非力で何も変えられない、ただ個人的な問題として受け入れるしかないと、どこかで諦めていたように思います。ガチ議論を通じて、一研究者の意見もそれが集まれば、大きな力を発揮する可能性があることに気づかされました。ガチ議論のコンセプトやフォーマットが共有・活用されて、研究者をとりまく環境をより良いものへとを変えていく役に立つのであれば、プロジェクトに関わった者としてこれ以上の喜びはありません。研究者が明るく研究に取り組んでいけるような世の中が実現されることを、末席に身を置く者として願っています。
小清水 久嗣 (藤田保健衛生大学 助教)
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(これらの意見は筆者が所属する組織の意見を反映しているものではありません)

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