2013.10.29 トピックス
研究者と雑用
研究費をどのように分配するかというのは非常に難しいテーマで、たとえば基礎研究と応用研究、どちらにどれぐらい予算を配分するのが最適かという問題はすぐに答えが出るものではないと思います。一方で、総額はそのままに、研究費を実質増加させる事が出来る素晴らしい方法があります。それは雑用の軽減です。
雑用のために研究の時間が取れないという話を良く聞きます。授業や広報活動や予算申請などが雑用かどうかは別途議論が必要かもしれませんが、あきらかに他のプロの方(たとえば事務の方)が行うべき業務を研究者が行っているという例も散見されるような気がします。
教授会では、教授が話し合わなくても良いのではないかという話題がよく議題に上るという話を聞きます。教授会でトイレのドアの扉を変えるかどうかを延々議論しているというのは本当の話でしょうか。また、各研究室の電気メーターのチェックを超一流大学の助教の方がされているという話も聞いたことがあります。このあたりは役割分担が必要なのにそれが欠如していて結果としてムダを生んでいる例ではないでしょうか。物品納品にかかる煩雑な書類や全ての物品購入についての使途目的の記載も問題です。もとはといえば研究者が引き起こした不祥事が原因となっているのは確かですが、各種の規定が高止まりで残ってしまっているという側面があるのは否めません。倫理的な問題はあるにせよ、ごく一部の人間が犯す間違いによって100万円が無駄になったとして、その対策に1億かけるのはどうかな、と思わざるを得ません。えっ、そんなにかかっていないでしょうという反論はあるかもしれませんが、
時は金なり。塵も積もれば山となる。国内に研究者がどれぐらいいるのか正確には把握していませんが、いわゆる「スタッフ研究員」は10万人の規模でいるのは間違いないでしょう。それらの人々が平均年収500万円だとして、人件費として「スタッフ研究員」には年間5000億円が使われている訳です。一方、それらの人々が働いている時間は、一日10時間働いているとして(実際はもっと働いておられると思いますが)、月に約200時間。つまり、個々の研究者の時間を一ヶ月に2時間奪う雑用があるとすれば、年間50億円のお金をドブに捨てているのと同じことということになります。
実態がどうなのか、それは分かりません。そこでまずお聞きしたいのは、
その上でお願いしたいのは、これって無駄なのでは、こんな事しているのはうちの大学・研究所だけなのではないか、という事例をコメントでいただけませんでしょうか。また、そういう無駄をなくすためにはどうすれば良いかという知恵もあればぜひお願いします。ガチ議論には、文科省の人も、総合科学技術会議の方も、政治家の方も、見えられています。分生年会当日は議論している時間の余裕はないかもしれませんが、実態を伝えるだけで、居酒屋で愚痴っているよりは少しは前に進めるかもしれません。もしかしたら各事業所のレベルで即刻やめる事の出来るローカルルールもあるかもしれません。
皆様の率直なご意見や愚痴(?)をお待ちしております。
理化学研究所 中川真一
(この意見は筆者が所属する組織の意見を反映しているものではありません)
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