2015.06.16 トピックス
末は教授か麻薬屋か
「大学の予算削減でポストを失った37歳の生物系研究者。彼が次の稼業として選んだのは、元アカデミアのメンバーを集め、これまでの知識を生かし、危険ドラッグを作って売りさばくことだった‥」。
これは、イタリア映画祭2015で上映された映画「いつだってやめられる」のストーリーです。同作品はイタリアのゴールデン・グローブ賞で最優秀コメディー賞を受賞したそうな。
研究者からクスリの売人に。海外のフィクションですが、これが日本の若手研究者の、というか、その一人である自分の、将来像になるなんてこと、あるでしょうか!?
そんなことあるわけないじゃん、と自分に言い聞かせながら、日本のニュースを見ると、「博士号の取得者を5年で倍にする」、「人文系学部・大学院、規模縮小へ転換」など、何やら、苦しむ若手をさらに増やしてしまいそうな政策案が次々と出てきています。あれれ、そんなことも、意外とあるかもしれない!?
文科省は若手の実態や要望を、あまり、いや、ほとんど、わかっていないのではないでしょうか!? そう思えてなりません。文科省に政策を提言するのは主にシニアな方々ですから、若手を代弁するような意見はほとんど出ないのでしょう。また、若手が自分たちの意見を文科省に伝える機会もほとんどなかったのでは。我々は麻薬屋になるかもしれない将来を、ただ指をくわえて受け入れるほかないのでしょうか。
否。対話型政策形成室という、文科省との対話の扉が今まさに開いているというではないですか。
院生やポスドクの若手のみなさん!
若手の立場から、現状の若手育成政策に何が足りないのか、それを良くするために、どんなことを求めたいのかなど、ご意見を教えてください。いただいたご意見をまとめて、実際に対話型政策形成室に乗り込んでガチ議論をして来ます!
内容については、[1]研究・[2]教育・[3]ポスト(生活)の、3つのカテゴリに分けたいと思います。
具体的な意見の例は、以下のようでしょうか。
[1] 研究:ピペドはうんざり!
[2] 教育:院生のうちにちゃんと論文英語を指導してほしい。
[3] ポスト(生活):ポストがないし、あっても任期が短いのどうよ?学振DCやPDにも社会保障をつけてくれ。
文科省にぶつける豪速球、お待ちしております!
Text by Wakatte
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この映画、イタリア映画祭でみました。めちゃくちゃ面白かったです。僕自身も38歳でグラントが切れてPI職を失いましたが、残念ながら「分子生物学」が専門だったので麻薬が作れず、ポストドクからやり直すことにしました。
若手の雇用流動性が高まってきたにもかかわらず、給料が低すぎるので上げてほしい。セーフティネットよりも、報酬の基準を労働の実態に合わせ、頻繁に改定することを目指してほしい(法的には可能か?)。科学研究は社会に”絶対に”必要なものだが、公共的な性質を持ち、金銭的な価値に変換できない。しかし、個々の労働者の業務内容を比較して、民間で行う場合に対応する報酬を算出し、(産業への人材流出を促すインセンティブとして)そこから何割か減らした額に設定するなど、いくらでも基準を決める方法はあると思う。なお、研究者の競争相手は世界中にいることを正しく認識してほしい。
決まった予算の中で給与水準が上がれば、雇用は減少するように思えるので、雇用の透明性を上げる必要がある。博士課程(とポスドク)の教育のあり方も変える。人材の市場価値が上がるような研究教育を行うことが流動性に対するセーフティネットとなるのが望ましく、モラトリアム的に博士課程へ進んだ人や能力開発を怠る人に特別なセーフティネットは不要と思う。
これは、学振の採用率だけにとどまらない問題ではありますね。今月中に分生の男女共同参画関連のトピックが掲載される見込みです。ぜひ、そちらのほうでもご意見をお願いします。
日本版AAASを目指してということですが、実現可能なことから進めていくという形が良いでしょうか。早くも大変そうという気配が漂っておりますが、賛同いただける方がもっと増えることが必要ですね。方針としては、1)日本版AAASの設立を目指す、2)既存の組織との連携をうまく活用する、といった感じでしょうか。一旦ご意見をまとめてみました。
・Researchmapのアカウントを持つ人がログインできるSNSの設置
・アンケート、投票システムの設置(匿名を許容)
・これらの管理・運営者の募集(最初はボランティア?)
→このへんはプロジェクトにして予算化を狙うと言うことでよろしいでしょうか?
・サイエンストークス、SSA(榎木さん)、BioMedサーカスなど、生命科学の研究環境問題に取り組んでいらっしゃる組織との連携
→具体的にはアイデアはないですが、とにかく団結ということで…
・こうした研究者組織についてのライフサイエンス関連各学会への意向調査
→アンケートの内容を考えないといけませんね。
・日本学術会議―若手アカデミーとの協力関係の構築
→若手アカデミーがとっかかりでしょうか?
・(将来的に)一般社団法人としての組織化(活動資金を得て運用するためには必要では?)
コメントがうまく表示されなかったので、もう一度。
学振の採用率、女性より男性の方がが(RPD以外のカテゴリで)一貫して少し高いのは問題だとおもいます。少なくとも学振側に説明責任があると思うのですが。(NSFで同じデータが出てたら袋叩きでしょう。)
学振の採用(http://www.jsps.go.jp/j-pd/pd_saiyo.html)、RPD以外どのカテゴリ/年をとっても、男性の採用率が少し高いのは問題だと思います。これは学振側に、少なくとも説明責任があるんじゃないでしょうか。
なるほど、若手アカデミーですか。たしかに活動もより若手に近いもののようですね。これならより親近感をもってもらえそうですね。
あとは、官僚だけでなく政治家ともなんらかの意見交換や共有もしていきたいですね。どうしてもお互いをよく知らないとディスコミュニケーションばかりになり、お互いにとってメリットがないです。
研究者をシバけば成果が出るわけではないということが理解されれば、政策担当者としてもそれは本意ではないでしょうからより良い解を導きだせそうです。
[3]
DC/PD界隈に住んでいます。正直大学の自治なんてどうでも良くて、この先数年間食べていけるかどうかだけが心配です。
順調な名目成長なんてなくて良いので安心して研究できる現場ポストを増やして欲しいです。
機関雇用のテニュア(無期雇用の助教など)ですと、機関間の流動性はかなり低くなります。
一方、下記の
http://scienceinjapan.org/topics/20130925.html
中央雇用で学振PDの延長のようなテニュアですと、中央が雇用する派遣社員のような具合になります。ですので、(雇用の安定性は保ちつつも)横の流動性は極めて高くなることが期待できます。「あたらしいプロジェクトに速やかに人が集まる」ためには持ってこいな仕組みになっていると思います。
ただ、(雇用自体は安定しているが)「一カ所に留まる最長の任期」のようなものはあってもよいかもしれないですね。
AAASのほかに、Postdoc Association (PDA)に該当するようなものもあると、特に[3]の論点に関してはいいですね。これもやはり研究者側の問題であって文科省マターではないでしょうけれど……
ただまあ、それが持つ意見集約の機能に関しては、現に今このような場もあります。ここが実りある場になることを期待しております。
http://scienceinjapan.org/topics/20130925.html
上記リンク先、拝読しました。
「この『競争』が真の生産性を上げることに繋がっていない要因には以下のようなものがあるかと思います。」の部分から述べられている、
「雇用・評価面での競争的環境」が必ずしも「研究実施面での革新」を促進しておらず、むしろ研究実施の内容を保守化させているのではないか、とのお考えに、大いに賛同いたします。
一方で、ある程度の人事の流動性も担保されていたほうが、革新的研究を行いやすい可能性もあるとも考えます。たとえばあたらしいプロジェクトに速やかに人が集まる仕組みもあったほうがいいのではないか、と。
ですので、安定性と流動性はなんらかのかたちでバランスしているのがよいように思います。人を雇う際でも明示的な任期を設定し、任期が短くなりすぎないようそこに一定の下限を設けるなどして、流動性に一定の制約を課すのも一案かもしれないな、などと考えました。
ただしこの場合に、必要な任期の下限は、研究分野によるバラつきが大きそうではあるかもしれません。
それは良い案だと思います。具体的にどういう例があるか、というのが分かりにくいのがいわゆるお役所文書ですので、こういう風に使いたいという研究者の希望を伝えてゆき、それが文科省的に認められるのであればこういう使い方もできる、ということをガイドラインで示してもらうというのは、一番手っ取り早い方法かもしれません。事業所ごとのおかしなローカルルールの撤廃や規制緩和にも、このガイドライン方式は使えますよね。
「間接経費を事業所の枠を超えて使用したい」もそうですが、「研究費を事業所の枠を超えて使用したい」というニーズは非常に大きいと思います。うちの研究室では「支援的共同研究」を多数行っているので、そういう手続きが容易になるといいのに、といつも思っています。例えば、他機関から学生さんやポスドクの方を一定期間受け入れて研究を進めていただくことがよくあるのですが、そういう方が使える研究費を容易に移動できると楽です。受け入れ側としては、当然、間接経費的なものも加えていただけるとありがたいです。
「ふるさと納税」的に共同利用施設の一部受益者負担が容易にできるようなモデルの事務的仕組みの例を文科省のガイドライン的なものに掲載していただく、とかはいいかもしれないですね。
はい。シニアや中堅の研究者、もしくは事業所の執行部に甲斐性があれば十分できるシステムだと思いますし、今後発展して行けるのは積極的に若手に実効的な支援をできる仕組みを持っているところだと思います。たとえばそのような動きは歓迎、という声が文科省側から聞こえてくるだけで、各部局は動きやすくなるかもしれません。一方、間接経費を事業所の枠を超えて使用したい、という場合は、新たな制度が必要になってくると思います。間接経費のうちの何割かを(自分の研究費以外のインフラに)研究者が投資できるようにする、資金が必要なラボなり共同利用施設はクラウドファンディングのような形で投資を呼びかける、というような仕組みは、現場の意見を最も手っ取り早く資金配分に反映できるシステムだと思いますがいかがでしょうか。
日本学術会議にも「若手アカデミー」 というのがあり、各種若手の会と連携をとり始めているようです。そういうチャンネルを活用すると、ボトムアップの意見も集約しやすいのでは。そうでないと「各学会や若手の会に広報を出してもらう」だけでも相当活動的な人が動きまわる必要がありますね。
サイエンストークスはもしそういう動きがあれば力になってくれると思います。あと、榎木さんがされているサイエンスアソシエーションとかもご協力いただけるかもしれないです。
市場調査についてはResearchmapを活用させてもらうというのは手だと思います。うまく許可を得ることができれば、20万人くらいの登録者にアンケートのメールを送ることが技術的には可能です。その準備や許可の取得だけでも相当な労力がかかるとは思いますが。
研究機関の間、そして各研究ユニットの間の研究費の格差が大きくなりすぎて、研究者間に断絶が生まれていると思います。既に共通したイメージをもって将来の研究像を語ることができないほど、格差が大きくなっているのではないかと思います。
このまま格差の拡大を進めて小さな研究ユニットは軒並み滅んでも良いという方針なのか(それはいけないと私は考えますが)、あるいは具体的な窮状に気付いていないだけなのか、文科省に尋ねてみたい気はします。しかし、これは別トピックになるのかもしれませんね。
うーん、日本学術会議に関してはどうでしょう。僕みたいな院生からすると、どうしても偉い先生方の集まりという印象が強いので、そもそも容れ物としてボトムアップに向いてないかなという印象があります(提言などの活動を否定しているわけではないです)。というより、日本学術会議の会員や内閣府に対してまず承諾を得なければならないでしょうから、煩雑な感じがします。できたら本当の意味で「賛同する研究者の意見を代弁できる組織」が良いのかなと思います。
どちらかと言うと、日本版AAASを作るといったときにはサイエンストークスとの関係が気になるところです。
まずは、どれくらい賛同者がいるか、月いくらの会費なら出せそうか、などの市場調査ができたらメドが立ちそうですね。
ホームページを作成しておいて、各学会や若手の会に広報を出してもらう、ここのようなWebページやTwitter経由で広報を出す、といったところでしょうか。
そういう仕組みは、とても良さそうなのですが、いまの間接経費のルールでも各大学・機関の裁量で導入できるのではないでしょうか。つまり、これも文科省マターではないのでは。間接経費の比重が高くなれば、そういうこともしやすくなりそうではありますが。ただ、弱い地方大学だと、間接経費も電気代とか水道代につかわざるを得なくなってしまい、それどころではないかもしれないですね。
カナダで7年のグラントが始まったとのことです。この7年のグラントはそれを取得すると他に応募ができなくなり、他の研究費には申請できなくなるそうです。
このカナダのものや、アメリカのRO1、HHMIの研究費に似たものが日本でも欲しいところです。
「最終年度は2つ目を取る事が可能」という仕組みだと、採択されるかどうか不明で、不採択の可能性もかなり大きく、それで困るのは雇用されている若手ではないかと思います。そういう不安があるがために、大御所の先生もCREST、国プロを持っている一方で、基盤Bとか挑戦的萌芽、財団研究費まで申請せざるを得ず、結果、それで総取りになることが多いです。それで若手PI、一般PIに研究費が回らなくなる、という現象が一般的だと思います。総取りになった大御所先生&そのラボメンバーのほうは、それはそれで申請・報告書・会議参加などの負担で疲弊して、研究に集中できにくいという問題も深刻です。
評価で額は減ってもゼロにはならないような長期的・安定的仕組みのほうがベターだと思うのはそういう理由です。
「ポスドクの科研費応募は停止」<-これ、賛成です。研究そのものに集中できたほうがよいし、他の研究費で雇用されているポスドクが独自の研究を行うという論理の整合性もいまひとつです。
複雑な事務手続きの多くは文科省ではなく大学の問題、特に大学の事務の問題になるのではないでしょうか。大学の事務の多くの方にとっては、効率化によって教育・研究の成果を出すよりも、不祥事をおこさないことが重要のような印象を受けます。事務の方々に経営意識が足りないのかもしれません。間接経費比率をもっと上げることができれば、事務の方々の意識も変わってくるのでは、という気がします。うちの大学の場合、私立ですが経営陣が総入れ替えになって、経営意識が格段に高くなり、効率化がはかられ以前より随分改善したように感じています。
罰則については、現在でも相当厳しくなってきてはいると思います。ランダムな監査は例えばうちの大学でも行われています。
あと、文科省からバランスのとれた推奨ガイドラインのようなものを出してもらえるとよいかもしれないですね。
Nakagawa先生の意見、拝見して面白い取り組み案だと思いました。リプライの方であるように「他のラボの研究員の給与」に使うという方もでてはくるでしょうが、何も打つ手がなく、ただ閉鎖までギリギリのラインで回していくのは最もマズイと思っています
分生や生化学会などがもし動いてくれれば実現性はありそうな気はしますね。そのあたりどうなんでしょうか。
若手はこの種の活動を表立ってやりにくい事情がありますよね。自分の研究にフォーカスしないといけない状況がありますし。Wakatteさん、そのあたりいかがでしょう?
他に、日本学術会議に名実ともに日本の研究者を代表する組織に進化していただくという可能性はどうでしょうか。Researchmapと連携してもらって、「会員」をResearchmapを使った投票で選ぶようにしてもらうとか(その場合は、「会員」の名称は変更するべきでしょうが)。これは、ゼロからの立ち上げよりははるかに容易ではありますし、「烏合の衆」でおわってしまうことは避けることができます。
TIMさま
グラントの書き方、キャリアパスなどのセミナーがあるのがこちらでは有難いですね。日本でもその手のスキルを共有知とできるようなシステムがあると良いですね。その手のことを教えてもらえるラボに入らないとアウトというシステムは非効率ですね。
宮川先生
Replyありがとうございます。
少し前に、日本の50前後の教授陣と話す機会がありましたが、研究費から給料を払うというのには皆さん反対でしたね。おっしゃるように、これは文科省マターというより、研究者サイドの問題ですね。
ただし、現行の2-3年の科研費だとPhDの学生を雇うのは厳しいのには同意です。
とはいえ、5-7年というのは長すぎないでしょうか?
欧州だとERCで5年、一部のキャリア(独立)グラントが4-5年、それ以外は大体3年かなと思います。アメリカだとRO1が5年で、7年なんていうのはHHMI位では?
若手B、基盤Cあたりのnon-PI向けのグラントは2-3年
若手A、基盤B以上のPI向けグラントは4年というのが良いのではないかと思います。
但し、最終年度は2つ目を取る事が可能(最終年度の1年前に次のグラントに応募できる)。そうすれば、グラントのphaseで大学院生を雇うことが可能になるかと。
あとは、ポスドクの科研費応募は停止すべきかなと思います。
理研のポスドクに科研費は要らないでしょう。Staff scientistになれば応募可としておけば、若干のグレーゾーンができて、ある程度シニアで残っている人たちへの対応は可能かなと思います。
宮川先生ご提案のキャリアシステムは、別口の実名のところで反対意見を以前表明しているので、ここでは割愛させていただきます。(私が誰かお分かりかと)
研究費が細々としすぎているというのには、本当に賛成ですね。
事務手続きもOISTととかはかなり簡便になっているのではないでしょうか?
先日OISTの先生に招待していただき、日本でtalkをしましたが、事務手続きは他の大学に比べて各段に簡単でした。2012年でしたが、理研でtalkに呼んでいただいた時も航空券の半券以外は何もしなくてよかったですが、関西の某大学では色々な書類をこちらで準備する必要があり、結構うんざりでした。
これは、大学側の問題なのか、文科省側の問題なのかどちらなんでしょうね。
あと、昨今の研究費不正の予防策と称したart of administration(東工大のが有名ですが)とも言うべき手続ですが、予防ではなく、問題を起こした時のpunishmentをもっと大きくすることで対応できないものでしょうか?
例えば
研究費不正は発覚した時の罰則規定を設けて、最大で懲戒解雇、退職金なし、刑事告発あり、退職後発覚した場合も遡及し適応などのルールを盛り込んだ雇用契約書を新しく締結し、これに同意した者だけ、その大学から研究費の申請が行える。
学内事務手続きは2000年代初頭レベルまで簡素化する。
学内監査チームがランダムにピックアップして、時々チェックするという方式にすれば、みんなハッピーなのではないでしょうかね。
理想だけではなかなか語れないところは確かにあると思います。ただ、研究者側で何か提案していかないと、現場の感覚からはちょっとずれた制度が突然降ってくる、ということになりかねないかと。。。ありえないほど低い給料の研究員に「ふるさと納税」的なお金を回すのも、良い試みではないかと思います。みんなが少しずつ我慢して、若手の研究環境改善のために資金をあつめるための実効的な仕組みは作れないか、というのが「ふるさと納税」システムを提案してみた心です。
物理的な距離は重要ですね。ただ、密度勾配の超遠心でなければ、別棟でも、なんとかなるような気もします。ラボ立ち上げの頃、別棟のコアファシリティーに設置してあるqPCRや顕微鏡を使わせてもらい、とても助かりました。動物関連に関してはもうコアファシリティーがなければなにもやっていけません。物の貸し借りや共同施設の利用はラボや組織間の壁を低くする最も効果的な手段だと思います。すでにあるけれどもうまく回ってい無いのであれば、それをうまく回す方法、「生かすのではなく活かす方法」、を考えるべきで、そのために「ふるさと納税制度」はかなり強力な手段になるのではないかと思っている次第です。制度的には難しいかもしれませんが、他機関へも回せるようになれば、機関間の交流も盛んになるような気もします。いずれにせよ、若手が身一つで来てもすぐに実験ができる環境、これが非常に大事ではないかと。
共同利用を促進するにあたって、建物の構造的な問題もあるのではないかと思っています。日本の研究施設はだいたいが狭い土地に高い建物を建てるとか、中も見えない詰め所みたいな部屋に院生がいたり実験部屋があったりとか、とにかく他の研究室との交流というものが考慮されていないように思います。
予算的なことは当然ありますが、理想としてはより低層化して階あたりの面積を増やし、ラボ間の仕切りをとっぱらった研究棟ができたらもっと共同利用に弾みがつくかと思います。
これは私の留学経験に基づいているのですが、私が所属していたところは個室はPIにのみ与えられており、研究者は基本的にオープンな環境におかれ、ほとんどラボの別もありませんでした。また、実験エリアとデスクエリアが別れており、実験エリアも2つ3つのラボが仕切りなく使用していて物の貸し借りがかなりスムーズでした。
コースとしての教育システムは日本でも取り入れられたら良いと思いますね。共同研究の種にもなるでしょうし。あと、プレゼンスキルなどの研究とは直接関係ないような知識やテクニックなども学部で蓄積していくべきでしょう。とかく研究室単位または師弟間での継承が多すぎて、個人のやることが多いです。集約して多様性をもたせられたら良いのですが。
SNSのようなボトムアップの仕組みと、学会のような仕組みがうまくジョイントできると良いですね。会員権は良いアイデアだと思いました。仰るとおり、事務方や専従を雇用するなどというプランはハードルが高いのですが、いっちょ乗っかってやろうという学会があれば、立ち上げに弾みがつくのではないでしょうか。若手研究者には意見をどんどん出していただきたいのですが、一方で当人たちに負担がかかってしまっては本末転倒かなという気持ちもあります。
実体のある組織ができたほうがいいことは間違いないですね、その補助としてSNSを活用すると効果的かもしれません。田中さんの仰る通りで、どう烏合の衆から脱却するか、というのが肝ですね。意見の集約をおこない、ボトムアップでまとめあげて省庁とネゴができる組織が欲しいところです。
活動資金集めとしては、賛同する研究者各個人のペイパルみたいな寄付という形はどうでしょう。一人月1000円(値段は適当ですが)とか、寄付いただいた方には会員権をお渡しして自由にSNSで意見を書き込めるようにする、とか。
それくらいの、ゆるいコミットメントでも自治を行うという意識が生まれるのではないでしょうか。(たいていの研究者は「生活できるお金と研究さえできてればオッケー」という意識の人が多く、自分たちで勝ち取る意識が少しうすいかなと思います。(悪いわけではないですが))
重要なのは、分野を問わずサイエンティストが集まって意見を集約できるようにすることですね。
また、若手がこういった活動をするには、ボスからどう思われるかなどを気にしながら行わなければならないため、早急に事務方やネゴを行う方を雇うところまでいかないと難しいかもしれません。
いい考えはないのですが、学会くらいの単位でしっかりしたコミットメント(日本版AAASを資金面でも継続して支えること)を出すことが必要なのではないかと思います。大きな組織を最初から作るのは難しいので、いくつかの生命科学系の学会を母体に小さな組織を作っても良いかもしれません。
学術会議は重要な組織だと思いますが、研究者単位で見ると「学術会議を支えよう」という意識は薄いでしょう。また、そういうボトムアップの構造にはなっていないです。研究者が自発的に支える組織がないかぎりは、「烏合の衆」からは脱却できないのではと思います。
もし可能であれば実体のあるものもあったほうが絶対いいでしょうね。実際は、相当たいへんだとは思いますが。さしあたって思いつくだけでも以下のようなものが必要でしょう。
・立ち上げのため、汗を流して奔走する中心的実働部隊の若手何人か。
・全体の活動戦略を考える人。
・先頭にたって旗をふってくださる(超)大物研究者。
・賛同してくださる学会や若手の会など複数。
・さしあたっての資金を提供してくださる企業など。
研究費獲得などで研究者が疲弊している中、それだけのエネルギーのある人材が集まるかどうか…。「各学会でアンケートを採っていただく」というだけでも結構たいへんそうな感じですね。「学会年会費の一部として集金」となるとハードルはさらに高そう。
こういうものが立ち上がれば、日本版サイエンスとかも出すことができメリットは大きそうではあるのですが。
AAASは良いアイデアですよね。どのような組織が良いのかについては様々な意見が出そうですが、研究者サイドから科学技術政策にコミットするためには専従の方が是非とも必要だと思います。私はバーチャルではなく実体のある組織を作った方が良いという意見です。
そのためには予算をひねり出さなければいけないのですが、日本版AAASに賛同するかどうかを各学会でアンケートを採っていただいて、賛同する方については学会年会費の一部として集金できないでしょうか?学会なんかいらないというのは、ここでも話題になりましたが、個人的にはAAASのように活動してくれるのであれば年会費を払いたいです。
全く同感で、日本版AAASのようなものがあると良いと思います。実は、われわれも以前総合科学技術会議の会で提案したこともあります。
しかし、これも研究者コミュニティのやる気の問題であり、文科省マターではない、ということになりそうです。「研究者の皆さん、そういうものはぜひ作ってください」とか、「日本学術会議があるのでは」という反応になるかと思います。
ただ、例えば
「Researchmapのインフラと研究者アカウントを活用して、バーチャルな日本版AAASのようなものを作りたい」
というような要望が、それなりの規模のグループからだされれば、文科省はそれにある程度の補助をしてくださるかもしれません。というか、実はそのあたりも視野にいれてResearchmapとReaDの統合&充実には相当な予算をつけていただいた、という経緯が実際にあります。その後、あまり進んでいないのですが、やる気のある研究者がかなりいるようであればそういったプロジェクトも再始動するかもしれません。
例としては、
・Researchmapのアカウントを持っている人であれば誰でも容易にログインできる研究者のSNSを作る、
・そこでは匿名で意見をいうことができるようにする、
・アンケート・投票(匿名で投票できる)の呼びかけとその集計(Researchmap上での属性でアンケート・投票を分析可能)を容易にできるようにする、
というようなインフラを作ることのサポートを文科省にお願いするというようなことは可能でしょうね。
もちろん、これだけではダメで、学会とか、その連合、各種若手の会などに声をかけて賛同していただく必要があるかとは思います。
そういうものがもしあれば、以前の仕分けや、今回の人文系の問題のようなことが持ち上がった際にも意見の集約を迅速に行って、行政関係者と有効な議論ができやすくなるように思います。
予算がもっと必要だということについても、説得力のある作戦を練りやすくなるのではないでしょうか。
そんな感じのことはいかがでしょう。
共同利用施設が充実しても研究できないくらい、疲弊してしまっているということですかね?今後、どうなることを期待されますでしょうか?
[1]とも[2]とも[3]ともつかないので全般的なところとして。
また趣旨とあわないところもあるかもしれませんがご容赦ください。
文科省にボトムアップで個別の提案も必要なんですが、それだけでなくて研究者コミュニティとして経済政策にもっとコミットするべきではないでしょうか。
需給ギャップが10兆とも言われているなかで、更に予算削減するとか馬鹿げています。
文科省としても研究者同様、無い袖はふれないでしょうからそもそものパイを増やす働きかけも同時に行ったほうが良いと思います。でなければ、なにか予算をつければそのぶんどこかが削られるわけですから。
AAASやイギリスのラッセルグループのような、サイエンティストや研究大学連合としてパワーをもつのも、大学の自治をまもるうえでも有効かと思います。
順調な名目成長があってこそ、学生も将来に期待がもてて、より優秀な学生が集まるのではないかと思います。
大学院生に研究費から給料を出す仕組みはぜひ普及するべきだと僕も思います。これも実は以前文科省の方々との会の際にお聞きしたことがあったような記憶がありますが、
「研究者が出そうと思えば出すことのできるシステムに既になっているはず。それが普及しないのは研究者コミュニティの問題で、文科省の問題ではないのでは?」
というような主旨のお答えをいただいたような気がします。
実際、COEとかを得ているようなところでは、そこから給料が出ていたりするのではなかったでしょうか。
つまり、これは、文科省マターではない、という感じでしょうか。
研究費から学生に給料を出す研究者が増えれば、それが文化として定着する、ということかもしれません。
ただ、僕がCRESTの研究費をいただいていた時には、そこから学生さんの給料も出すことができたのですが、それでも学生さんは一人もこなかったですね。学生さんのほうにも、大学名やそこの学部偏差値だけでなく研究内容や給与の有無をみて、研究室選びをする、という文化もできてくる必要があるのかもしれません。
しかし、院生への給料の普及を文科省にサポートしてもらいたい部分もあり、それは研究費の安定的・長期的サポートです。PIの側の科研費やJSTの研究費(さきがけ・CRESTなど)は、2年とか3年が普通で、長くて5年程度です。額も普通は非常に小さい。院生になる時期と研究費が始まる時期が一致するわけではないので、これでは、事実上、院生に3年とか5年の長期的な給料を支払うのは困難です。この意味でも、5年とか7年の安定的・長期的で中型の額の研究費 http://scienceinjapan.org/topics/031413.html をぜひ導入していただきたいところです。
助教の名称についてもおっしゃるとおりだと思います。うちの研究室では、名刺にはResearch Associateと書いたほうがよいでしょう、と言っています。
特任ポジションは、ポスト・ポスドク問題ともいえますね。これ-> http://scienceinjapan.org/topics/20130925.html のような安定ポジションを作ると良い、という案もあるので、もし意見があればお教え下さい。
無駄な会議、無駄な事務書類は日本の大学の最大の問題の一つだと思います。申請できる研究費や助成金(グローバルなんとかとか、スーパーなんとかなど)の種類が多すぎる、というのがその背景にあります。これらを大くくり(一件あたりの額を増やし長期のものにする)にしてもらうことができれば大幅に改善すると思います。これ、なかなか実現されませんが、検討されていることはいます。実現のためにはコミュニティからの声をもっとあげていく必要があると思われます。
共同利用施設を組織の壁を超えて利用可能にすることを普及させることには大賛成です。
間接経費の「ふるさと納税」システム、面白いですね。それと事実上近い形になりますが、利用する際の利用料について、直接経費からの実費に間接経費が加わって施設にいく、というのはどうですかね。アメリカで異なる機関間の共同研究で研究費が動く場合は、そのような感じになっていたように思います。これだと、自分の使わないところには「納税」はしないことになってしまいますが、「ふるさと納税」でも事実上そういう具合になる気がします。
文科省「JSPSの管轄だから」
JSPS「研究に専念してもらいたいのでーー」
という教科書通りの答えだったはずです。今回は踏み込みましょう。
現状の大学を見ればうまくいかないと思います。互助会みたいなことになって、お互いの研究室の研究費の補完をするだけに終わります。中央以外の(中央も?)大学の疲弊度は正直言語に尽くせないほどです。申し訳ないですが、私もそういう制度があればそうせざるを得ません。それか、泣く泣くありえないほどの低い給料で研究せざる負えない研究員に回します。
ギリギリ若手の年齢ですが、現在は海外で任期付きのPIをやってます。
[1] 研究
研究は一人ではできないので、人材を集める必要があるが、日本のシステムでは博士課程は大御所ラボに行くのが報酬が最大化されるので(自腹ならコネが多い方が良い&学振DC、留学奨学金が取りやすい)、大学で若手の独立ポストを得ても一人PIになり、ジリ貧になる。
大学院生に研究費から給料を払う形式にすれば、大御所ラボばかりに人が集まる事がなくなり、若手のラボにも人が来るようになり、かつ、能力・意欲の面で博士課程に来るべきではない層が入り込まないので良いのではないかと思う。
[2] 教育
アメリカのようにコースとしての教育システムがない欧州、日本ともに教育の質は研究室に大きく依存するのは否めないですね。とはいえ、大学院生に給料を支払うシステムにすれば、ボスとしても大学院生を育てることが死活問題につながるので、大学院生の教育にもっとコミットするのでは?
[3] ポスト(生活)
助教=assistant professorという世界に恥ずべき呼称を廃止するのが初めの一歩かと。大学院生の指導教官になれないポストをprofessor titleつけて呼ぶのは愚の骨頂だと思いますね。
あと、本人のperformanceが高くてもpromotionの可能性が無い特任ポストが多すぎるのも問題でしょう。頑張って結果を出したら報われるシステムにする必要があるかと思います。
私の場合日本の育成システムで各ステージごとにキャリアアップのサポート受けて来たので、何らかの形で恩返ししたいと思っていますが、無駄な会議、無駄な事務書類が指数関数的に増えている日本の大学では働ける気がしません。
【間接経費の一部を、研究者が自由に投資できる、ただし投資先は自分のラボ以外に限る、というシステムはいかがでしょう】
下の特論さんのコメント
http://scienceinjapan.org/topics/061615.html#comment-2081516388
に関する意見です。
共同利用施設・コアファシリティーを最大限活用することがトータルとしてコストダウンにつながり、また強力な若手支援になるのは間違いないと思います。ただし、ある程度のスケールがないとそのメリットは出ません。組織の壁を越えて利用可能にすること、利用に際してのハードル(衛生面は妥協できないでしょうが、明らかに煩雑な事務手続等)をなるべく下げることが重要です。特に前者に関しては、人材の流動性を高めることが肝要かと思います。かつて所属していた組織の施設であれば転出しても使用しようと思うことが多いでしょうし、そうすることで利用者の裾野が広がり、スケールメリットを維持できる可能性も広がります。NGSや質量分析に関しては、そのような流れができつつあるような気がしています。
ともあれ、先立つのは資金です。無い袖は振れません。例えば間接経費を研究者にある割合で強制的にキックバックし、それを研究者が「自分のラボ以外のところに」自由に投資できる、というシステムがあれば、どうなりますかね。僕だったら共同利用施設に投資します。自分のラボには使えないというところがミソで、であれば、なるべく自分が得をしそうなところに投資するわけで、それはたぶん一番身近な共同利用施設です。人材の流動があれば、かつての所属の施設を応援する気にもなるでしょう。どこに投資すれば一番資金が有効に使えるかを一番よくわかっているのは現場の研究者です。間接経費の投資先を「ふるさと納税」できるシステム、いかがでしょうか。
「生かす」のではなく「活かす」。これが限られた資源を最大限に生かす最良の道だと、常々思っている次第です。
>福利厚生・保険などがついた基礎給与・終身雇用ポジションが保証されるだけでも、十分、うれしいわけですよね?
はい。とても嬉しいです。
是非、ガチ議論よろしくお願いいたします。
やはりそういうことですね。
・「ポジションに就いたとたんやる気がなくなる」 については、上のガチ議論サイトで提案されている案ではPIもしくは自分自身の研究費からアドオンがつく、という仕組みなので、そう簡単にはやる気はなくならないと思います。
・仮に収入の増減はあっても、1番荒木さんも要望されているように福利厚生・保険などがついた基礎給与・終身雇用ポジションが保証されるだけでも、十分、うれしいわけですよね?
・コネについては、上の案ではポジション審査が(かなりフェアと言われる)科研費審査と同様の仕組みを取り入れることが想定されているので、それなりにフェアになるはずかと思います。
まさしく、そんなポスト作って欲しいです!!
メリットはもちろん若手が研究に安心して集中できることだと思います。
もちろんデメリットもあります。
結局はこのポジションに就いたとたんやる気がなくなる研究者が多くの割合でいることみたいです。ラテン系のということもあるのでしょうが。。。
さらにこのポジションもコネの部分が多く、結局はビックラボ所属または出身の人で埋め尽くされていて、本当に実力のある非常勤(ポスドク)の人からは煙たがられている人もいます。
でも少なくとも僕は羨ましいです。
こんな感じ-> http://scienceinjapan.org/topics/20130925.html に近いものですかね?
最近検討されている「卓越研究員」制度というのは、それに近いものを想定していると思います。
フランスで実施されているそのようなポストのメリット、デメリットみたいなものをもしよろしければ教えていただけるとありがたいです。
[3]ポスト
フランスで働いています。
フランスにはCNRS、INSERM所属の研究職というパーマネントのポジションがあるようです。
この研究職ならばCNRS、INSERM所属の研究所のどの研究室にも行く事ができて機材を借りつつ自分の研究をできるようです。
こんなポスト作ることは難しいのでしょうか。。
共同利用施設・設備の充実は、若手も含めて研究費が不足しがちな一般研究者をサポートするための、限られた研究費の効率的な使用方法なはずですが、そういう状況は残念ですね。地方大に着任して、共同利用施設・設備も使えないようでは、そこで研究者人生、終了してしまう可能性が高まってしまいます…。
利用頻度の高いことが想定される共同利用施設・設備の整備のための長期的・安定的グラントがあればよいように思うのですがどうですかね。時代に合わせ利用頻度が高くなったり低くなったりすることもあるでしょうので、支援実績に応じて安定的に額が推移するようなもので。
これ、全く不思議としかいいようがないですね。前回のガチ議論の文科省の方々との合宿でもお聞きして、何か回答してもらっったように思うのですが、うまく理解できなかったこともあり記憶にも残ってないです。また、聞いてみましょう。
[1] 研究と[2]教育の中間くらいでしょうか。共通施設の窮状について、書かないといけない気がしました。
文科省のミッション再定義にも上げられていた、「共通施設の利用促進」ですが、ここ10年来、共同利用施設への投資は、逆に減らされる方向で推移してきました。
私は動物実験施設のスタッフとして、基幹となるような大きな施設と、地方大の小さな施設を両方経験していますが、特に地方大動物実験施設の運営費は削減される一方です。他方で、耐震改修や平成30年の動愛法改正を見越して、施設の増築・改修には、昨年度まで運営費とは別の資金が投下されていたという状況です。
ぶっちゃけて書くと、大きな大学などは別として、もはや地方大の動物実験施設は、今の規模のまま「維持すること」は困難です。かつては、運営費交付金が、大学本体使用分とは”別に”確保されていたと聞いていますが、現在は大学の裁量で交付金額が決定される仕組みで、弊所では3千万にも及びません。マウスだけでも数万匹を収容する施設であるにも関わらず、です。それどころか、今年度から、さらに削減するように本部からも言われています。
結果としてですが、残念ながら、私どもの施設では若手研究者への支援など考えることが出来ません。当の私も科研費の定義でいえば若手研究者ですが、肝心の施設側に余裕がありません。それどころか今後、運営費交付金の額がミッションの再定義で、さらに流動的になれば、SPFの維持さえおぼつかなくなると思われます。
若手研究者の多くは、機器類や多額のグラントを持たずに着任してきます。その時に最低限の消耗品代だけで研究をスタートできる仕組みが、動物実験施設や遺伝子実験施設などの共通利用施設だったと思います。
せめて、地方大であっても、共通利用施設が困窮しない程度の運営費が回せるような仕組みの再考をお願いしたいと思います。長文失礼しました
[3] に関して、本文中にもありますが学振の特別研究員(DC/PD)にしっかりした雇用関係をつけてほしいです。雇用関係がないのに専念義務で兼業を縛られるのは意味がわかりません。