【帰ってきた】ガチ議論
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「若手にテニュアポストを」と国が宣言?

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現在、第5期科学技術基本計画の素案が出ており、パブコメが求められています。
素案PDF→http://www8.cao.go.jp/cstp/pubcomme/kihon5soan/m001.pdf
パブコメ募集ページ→http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095151350&Mode=0

科学技術基本計画は、今後10年程度を見通した5年間の科学技術政策を具体化するものとして政府が策定するものです。本年度までが第4期、来年度から5年間が第5期にあたります。
単なる「提言」などではなく、政府が「これを目指す」と宣言するものであり、今後の科学政策は基本的にこれを基に進められるといってもよいでしょう。
で、今回特に重要なのは、素案の中に、この掲示板でも話題になっている若手研究者のキャリアについて以下のような方針が提示されていることです。

(引用)
 科学技術イノベーションの重要な担い手は、若手研究者である。しかし、大学等における若手研究者のキャリアパスが不透明で雇用が不安定な状況にあり、若手研究者が自立的に研究を行う環境も十分に整備されていない。
 このため、大学等における若手研究者のポストの確保、公正で透明性の高い人事システムの確立、若手研究者への処遇や研究費の充実等を促し、若手研究者が高い能力と意欲を最大限発揮できる環境を整備する。
 特に、若手研究者のキャリアパスの明確化は重要である。大学及び公的研究機関等は、シニア研究者に対する年俸制やクロスアポイントメント制度の導入、人事評価の導入と評価結果の処遇への反映、再審査の導入、外部資金による任期付雇用への転換促進といった取組により、組織の新陳代謝を促し、若手研究者が挑戦できる任期を付さないポストを拡充する。

(引用終わり)

これを読むと、多くの若手研究者が望んでいることを行う、と国が宣言しているように見えます。最近、多くの人がPD問題を訴えるようになり、それがある程度は国に届いているのでしょう。
ですが、安心しないでください。
これは、まだ確定していない「素案」なのです。
国立大の運営費交付金の削減求める声は相変わらずです。運営費を減らすことと、ポストを増やすことは矛盾しますので、この文章が最後まで残り、正式な基本計画になるかどうか、保証はありません。もし残らなければ、、大変困ったことになります。

幸い、素案にはパブリックコメントが求められています。是非、皆さんの声を届けましょう。1つや2つでは影響は少ないでしょうが、千、2千と集まれば、影響は十分にあるはずです。逆に、集まらなければ、PD問題なんて、実はたいしたことない、という意思表示と受け取られるかもしれません。

11月16日(月)締切です。
(当然、この記事はtwitter, facebookなどで、拡散大希望です。)

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“「若手にテニュアポストを」と国が宣言?” への36件のフィードバック

  1. 38歳特任教員 より:

    失礼ですが、現状をどの程度認識しておられるのでしょうか?
    アカデミアに残るための競争は熾烈で、それに比べれば大学受験など児戯のようなものです。それを「戦争」だと思うようなメンタルでは、現状が変わらない限り、アカデミアに進んでも精神を病んでしまうのではないでしょうか。
    なので、まずは精神的に安定できる環境を整えることが最優先だと思います。

  2. 38歳任期付き教員 より:

    誰も突っ込まないみたいなので指摘しておきます。

    若手の研究者の給与が少ないのが問題なのではなく、将来の保証がないのが問題なのです。
    「お金のことでブツブツいうくらいなら、本当ははやりの企業に就職するのが最善」ということですが、そうであれば、アカデミアに残る人はお金のことでブツブツ言わないはずなので、教授の(将来の)給与を多少削っても全く問題ないはずです。
    また、給与というのは過去の努力に対して払われるものだという考えにも違和感を感じます。

    結果平等に問題があると考えるのであれば、「教授」の間の給与に差があまりないこと(本当にそうかどうかは知りませんが)を問題にすべきなのではないでしょうか?
    一部のとても優秀な人に高額の給与を与えるという事は、個人的にはあまり好きではないのですが、良い方法なのかもしれません。
    ですが、それは若手の給与を低く抑えることによってではなく、貢献度の割に多くの給与をもらっている人の取り分を減らすことによって達成するほうが健全だと思います。

  3. T.I. より:

    匿名Eさん
     あなたの感じているリアルがよく書かれておりとても興味深く読みました。多様性や、大学ランキングに関する考察にもなるほどなと思う部分がありました。提案なのですが、あなたの理想を実現してくれそうな海外の大学(院)に行ってみるのはどうでしょうか? 考えが認められるのを待つよりも、認められる場所に移動するほうが手っ取り早いように思います。日本の学生の国際競争力高まることを望むなら、さっさと自分がそのような存在になってしまえばよいのです。日本にコネを持つ日本語と英語のできる人材として。人生は有限です。ある人がブログで日本人は「何もしないためなら何でもする」と書いていていて、この皮肉に大笑いしていたのですが、最近はこの言葉が実は真実をついているのではとヒヤリとすることもあります。日本で待っていてもしょうがない可能性もあります。

  4. YK より:

    >官僚的発想かどうかなんて関係ないでしょう、背に腹は代えられません。

    あなたが腹だと思ってるモノが本当に腹かどうか、の問題です。
    腹である根拠に官僚や大学上層部が~と述べてますが、その人達がこれまで適切な方向に導いてきたのなら兎も角、これまでの顛末を見てるとこの問題に限って正しいとは思い難いですね。それに、個人的には、科学に限らず料理・経済なども含めて、欧米の一企業が発表する格付けだのは信用するに値しないものだと思ってますので、それに振り回されるのはアホらしいとしか思いません。
     第2段落目の留学生が多いことについての議論もあなたの個人的な憶測ですね。
     長々と書いて頂いたところ申し訳ないですが、やはり「外国人のPIに夢を見すぎている」という印象しか受けません。外国で現地のPI達を見てきた人間の感想ですが。結局は人種・民族を問わず、人間は世界のどこでも同じだ、ということです。「大和民族が~」と言うことではなく、ましてや鎖国でもありません。と言うか、今の情報社会で鎖国なんて実現するほうが不可能でしょう。かつては、欧米に科学技術・知識が偏在していて物理的に移動(つまり留学か御雇外国人)しなければそれらを得られなかったのが、今ではその必要が無くなった、それだけのことです。
    現在日本が抱えている問題は外人を入れて解決出来るものではなく、真に優秀な人間が正当な評価を受けてそれなりのポジションと研究費を得られる。そういうシステム作りこそが重要なのだと思います。

    「日本人学生は外国人教員から英語を学べないから英語が話せなくて競争力が無いんだ!」と言うのも説得力がありません。やる気さえあれば英語能力は自分自身で幾らでも磨けます。特にインターネットが高度に発達した現代では金をかけなくても幾らでも生の英語に触れられますよね?自分が学生の頃は金をかけない方法は短波ラジオくらいしか思いつかなかったですが。

  5. 山形方人 より:

    5章についてのコメントは、19件しかなかったとのことです。下記にも投稿しましたが、5章については、4期にはあった女性の活躍促進についての「数値目標」が存在しないということで、その点に焦点を当てたところ、私のコメント内容と同じ趣旨のことが、議事次第のコメントのリストに掲載されています。ただ、政府の資料では「新規採用割合」と書かれており、私が主張した研究機関の長の30%を女性にするという目標については、無視されています。この会議の資料で、わざわざ「新規採用割合」とした点に、意見取捨の恣意性を感じさせます。実は、こういうやり方が、パブリックコメントのあり方についての、本質的な問題点なのだと思うのです。

    また、こういう明確な事項について、たった19件以下のコメント(5章についてのコメントは他の事案もあったはず)が提出されたのみという事実にショックを受けました。もっと多くのコメントがあるべきではないでしょうか。「女性の活躍推進」についての関心の低さに失望しています。

    重複になりますが、以下が私の提出した内容です。

    5章について。
    「② 人材の多様性確保と流動化の促進ⅰ」女性の活躍促進」について、この素案では、第4期基本計画にあった「数値目標」が存在しないようである。これは、第5期基本計画でも、第4期の「数値目標」(脚注)を引き継ぐということなのか。この点を明確に記載して欲しい。また、女性リーダーの登用を促し、ロールモデルを可視化するために、大学や研究所などの研究機関の長(学長や研究所長など)の30%を女性にするという数値目標を入れて欲しい。米国の主要大学でも、女性の学長 は多く、見えるロールモデルとして機能している。男女共同参画をシニアの世代でも積極的に行うことで、過去の時代の償いになるはずである。

  6. 山形方人 より:

    総合科学技術・イノベーション会議(第13回)議事次第
    http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihui013/haihu-013.html
    11月24日の会議の資料が既に公開されています。迅速です。493件あったというパブリックコメントの内容についても、一部取り上げられています。多数のコメントのなかから、どういう理由で、これらがリストに掲載されたのかが、不明で透明性に欠けているという印象があります。

    ○ 日本の研究環境は悲惨であり、海外の方が魅力的。優秀な人材は海外に引き抜かれ始めている。
    ○ 若手研究者の任期なしポストを拡充してほしい。
    ○ 女性研究者の新規採用割合に対する数値目標を明記すべきである。
    ○ 大学の基盤的経費を充実すべきである。
    ○ 基礎研究に対する継続的な予算措置を期待する。
    ○ 競争的資金における使い勝手の改善など、研究者が利用しやすいよう制度を見直してほしい。
    ○ 研究公募における事務手続きの簡略化・合理化を進めてほしい。

  7. 匿名E より:

    結構書くの疲れたんですが、以下どうぞ。

    東大は今年確か43位でしたよね。Times Higher Educationの大学ランキングで。この中でinternational outlookという国際化の指標を表す項目が全体の7.5%を占めます。東大はこの項目が30%台です。TeachingやResearchの項目が80%台であることを考えれば、このinternational outlookでさらに上積みするのが最もコストパフォーマンスが良いです。また、東大より上位の大学では軒並みinternational outlookのポイントが高いことから、ここで高いポイントを叩き出すことが他の項目にも良い波及効果をもたらすことが見て取れます。この国際化の指標はさらに細分化されていて、(1) 留学生の割合、(2) 外国人教員の割合、(3) 国際共同研究に2.5%ずつ割り当てられています。これらの細目は見ることができませんが、日本の大学は(1) 30-40, (2) 0-5 (3) 50-60位かなと予想しています。官僚的発想かどうかなんて関係ないでしょう、背に腹は代えられません。大学ランキングは毎年Yahooニュースでも取り上げられるような話題ですよ。

     文科省は世界大学ランキングを気にしているし、各大学も国際化を推進すると言っています。この流れは変えられないでしょう。どこかで数字を上げないといけないとなったが、PIやPIを目指す(学生よりも声の大きな)人達がよってたかって外国人PIの受け入れに拒絶反応を示すために、勢い反発の少ない外国人留学生を増やそうということになります。結局、PIのポジションは無風のままで、就職に際してアジア人学生と日本人学生の競争は必要以上に強まっています。最近はご存知のように日本人学生も博士取得後に企業に就職するという傾向が強まっていますが、実際の就職活動を通じて感じたのは、いくつかの企業は優秀なアジア系学生の博士学生の獲得を1番手とし日本人学生の獲得を2番手にしているということでした。考えてみれば、アジアの学生は自分の母国語のみならず、英語、日本語とでき、母国にもコネクションを持っていることから、アジア進出を目指す企業には重宝されます。然るに一方の日本人学生は、純粋培養で、海外でろくに揉まれたこともなければ、英語もサッパリなので競争力が格段に落ちます(優秀かもしれませんが、脆いというイメージもついて回ります)。今後この傾向はより一層強まり、正社員の外国人留学生にこき使われる、派遣社員の日本人博士という構図で日本人学生が駆逐されてしまします。これが私が意味するところの下への競争の押し付けです。(2) 外国教員の割合、で少しでも数字を引き受けてもらっていたら、(1) 留学生の割合、の達成目標数値(たしか留学生30万人)をもう少し緩和できたはずです。また、外国人PIに育てられた日本人学生の対企業に対する競争力は間違いなく増大するでしょう。アメリカで2番手3番手の外国人しか応募してこないなら、優秀な日本人学生は何も駆逐されるとか恐れる必要はないんじゃないですかね。是非、上の世代の方にも国際化の責任を引き受けて頂きたいと思いますね。

    私は日本の大学に入って何に一番幻滅したかって、大学教員が日本人ばかりということでしたけれどもね。ボスはまるで将軍様のようだし、Scienceも怪しいし、テーマもアメリカの二番煎じ、修士の1年目には皆んな死んだ魚の目になってますよ。こういうのは蛸壺だから起きると思うんですよね。外部の目を入れて風穴あけて欲しいってのもあります、正直。

     最後の一文についてですが、時空間が違うじゃないかと言われたら例え話も比喩もできないんですが、一応言っときますと、ずっと鎖国で、「大和民族は優秀なんだ」でやっていくと、いつの間にか全体が地盤沈下していることにも気付かず、黒船が来た時にやられちゃいますよということです。TPPで関税撤廃を迫られてから「攻めの農業」とか言っても遅いんですよ。異物はちょっとずつ取り入れて、免疫をつけて病気に強い体を作っておかないと、外来の病原体が来た時に絶滅してしまいます。この道を進んだ方(鎖国のまま)が、日本人学生が将来帰ってくるところがなくなる可能性が高い気がしますが。それより、外国人PIを受け入れて、全体の競争力を高めた方が良いと思います。

  8. YK より:

    サッカーやラグビーの人気はマスコミが派手に取り上げたことの方が大きいと思いますけどね。日本の大学の大学ランキングが上がるとしても高が知れてるし、仮に上がったとしてもマスコミが特集を組んで取り上げるとは思えない。「大学ランクを上げるようにしよう」と言うのは「ノーベル賞を~以内に~個取ろう」という目標と同じくらい意味が無い、役人的な発想だと個人的には思います。
     第一、百歩譲ってマスコミが取り上げて、多くの無垢な少年少女が夢を持ってこの分野に入ってきたとします。でも、現実には日本の研究環境が極めて厳しく、生活が不安定で将来設計もロクに出来ない。外国人ばかりが優遇されて日本人研究者は冷遇される現実に、かつて目を輝かせて入ってきた学生は失望して去っていく。それでは一時的なブームで終わりですよね。かつてのポスドク~万人計画と同じ、二の轍を踏むだけです。
     最後の部分は理解出来ません。日本に優秀な人間を留まらせるのではなくて、頭脳流出を促進させる、ということですか?外国人を増やして日本人研究者を駆逐するよりは、海外に散っている日本人研究者を呼び戻せるような環境を作る方が将来的にも日本にとって良いと思います。

  9. 匿名E より:

    「なでしこ」や、ラグビー日本代表が活躍して、その後どうなったかご存知ないわけで無いですよね? 人というのはそういう分かりやすいことに魅力を感じるものです。
    私は全体のパイを増やす話しをしているつもりなのですがね。常々、外国人PIの指導を受ける為にワザワザ留学しなければならないという環境には疑問を持っていました。外国人PIから英語で指導してもらえれば、日本人学生に取ってもメリットが大きいのではないですか。海外に出て行くハードルも下がり、海外のポジションも含めパイを増やすことができます。歴史を振り返ってみても、内に閉じ籠ってロクなことはないと思いますが。

  10. YK より:

    >東大のランキングが毎年下位に沈んで行っている状況で、そういう空気が作り出せると思いますか?

    仮にその「ふわっとした空気」と言うものが本当に重要だとして、東大のランキングが上がることはその空気ができる必要条件だとは思えませんが。匿名Eさんが個人的にそう思ってたとしても、国民の誰もがそう思うということにはならないわけですよね?
     そりゃ大企業のトップが取るくらいの金を積めば多少不便でも日本に住もうという気になっても不思議ではありません。日本の研究職に関しては現実的ではないでしょうね。
     何で外国人にこだわるのかわかりません。日本人には外国人以上に優秀な若者が沢山います。アメリカの大学院生とかを見てきましたが、日本の学生が負けてるとは思いませんし、何より、日本人学生・若手研究者に金をかけて養成していかないと、日本人研究者がもっと減ってしまって手がつけられない状態になります。その問題こそがこのウェブサイトが存在する理由の一つだと思いますが違ったでしょうか?

  11. 匿名E より:

    >ランキングを上昇させることに何の意味があるのでしょうか? こういうのは本末転倒で不毛な視点だと思います。
    国からお金を出してもらうためには、国民の間に「フワッとした空気」を作り出すことが、重要なんですよ。他のところの議論でありましたよね?東大のランキングが毎年下位に沈んで行っている状況で、そういう空気が作り出せると思いますか?
     企業のトップクラスなんかはどんどん外国人に置き換わってるじゃないですか、タケダなんか見てみてくださいよ。彼らは日本に定住してるんでしょ?理研なんかの研究所や、附置研でも新しいところには外国人PIはいます。本丸の大学学部にいないだけです。なんで日本トップの東大、京大でできない理由があるのか、理解不能です。文科省だって、世界大学ランキングで順位を上げるためだといえば、喜んで協力してくれますよ。多少の不便は、本気でやれば解決可能です。
     ラグビーの例を参考に考えれば、最初から、No.1の人材を連れてくるということでなく、可能性のある若い人を連れてきて、日本で育て上げるという視点が重要だと思いますよ(コストも安いでしょう)。50年で30人のノーベル賞受賞者はすでに達成されているという話もありましたが、半分以上はアメリカの支援を何らかの形で受けていますからね(日本独力でこの数字を達成するとなったら、やはり何かを変えないといけないでしょう)。逆に、日本のお蔭でノーベル賞取れた欧米人というのは、かつていないわけですからね。そろそろ、この点でも恩返ししないといけません。

  12. YK より:

    >多様性を作り出すことこそが厳しい環境を生き残る為の手段であるというのが進化論の教えるところではないですか?

    喩えというものは、それが自明でない限り、その比喩が正当であることの証明が無ければ何の意味も持ちません。この場合は自明では無いと思います。

    >外国人PI増やすだけでランキングが急上昇することは自明なのに何でやらないのかという話ですよ。

    ランキングを上昇させることに何の意味があるのでしょうか? こういうのは本末転倒で不毛な視点だと思います。
     例えば、アメリカで何故外国人PIが多いのか?それはアメリカが研究環境だけでなくて、生活する上でも祖国よりも優れているので、祖国から離れてでもアメリカでできるだけ長く暮らしたい、と思うからですよ。だから教授選とかには優秀な人材が応募してきて、国籍関係なくその中から最も優秀な人物を選べば自ずと何割かは外国人PIになるのは当然のことです。意図的に「増やそう」とするから増えてるのではないのです。
     では日本はどうかと言うと、観光ならともかく外国人が暮らしたい・暮らし易い社会からは程遠いと言わざるをえません。私はこの間帰ってくるまで、10年間北米の大学で働いていましたが、日本ではまず住居を探すのさえ苦労しました。敷金だの礼金だの初期費用に家賃の5倍もかかるし、保証人がいないと選択肢が極端に狭まるし、理不尽で面倒なことこの上ない。北米では考えられないことです。更に悪いことに、日常生活で英語さえも全く通じない。このような社会に家族を連れて来て日本の大学で働こうなどと思う優秀な研究者はどれだけいるでしょうか? 給料が欧米よりもずば抜けて高い、とかならまだしも、日本の研究者の待遇が悪いのはここでは説明するまでも無いことでしょう。
     日本の大学の教授に応募する外国人がいなくても当然だと思います。それでも無理に外国人を増やすとすれば、祖国や欧米で職につけないレベルが入ってくるのは避けられない、と予想します。

  13. 匿名E より:

    >単に多国籍で競争させれば改善するという問題では無く、

    何で、バイオやっている人が、こんな意見を鉤括弧無しでシレッと言えるのか理解に苦しみますね。多様性を作り出すことこそが厳しい環境を生き残る為の手段であるというのが進化論の教えるところではないですか?ただ、変異を入れすぎると癌になっちゃいますから、もう少し低い数値目標からスタートと言うなら分かりますが(仰る通り若い優秀なPIを目利きする技術を磨く事も必要でしょうから)。ただ、このまま不変という事は世の情勢を見てもありえないと思いますよ。しかし、ラグビー日本代表の活躍みても、まだ、こんなこと言えるんですね?誰も、日本人だけで固まってよく頑張ってるけど下位に沈んでるところなんて観ていたく無いんですよ。何でも良いから一番取れるところを見せてくれって事なんじゃないですかね。自分達のポジションを確保する事に汲々として、外国人プレーヤーを入れないとか論外と思いますよ。本当に、日本人てのはデフォルトで鎖国体質なんだなと思いますね。

    >「目標数値」なんて設定しても単に傷口を広げるだけで意味が無い

    でもこれこそが世界大学ランキングで日本の大学が上位に浮上できない最大の理由でもあるんですよね。外国人PIが少ないとかいうレベルじゃなく、ほぼゼロですからね…。海外の普通の田舎の大学に行ったって、3割くらいは外国人PIである事と比較すれば、日本の大学では海外の田舎の大学ですら学生が享受できる様々なバックグラウンドを持った教授陣から指導が受けられるという当然の選択肢が全く無いということですから、そりゃ低評価も当然という気もします。外国人PI増やすだけでランキングが急上昇することは自明なのに何でやらないのかという話ですよ。投資額辺りの論文数では分かりませんが、投資額辺りでのランクで言ったらコストパフォーマンスは最悪でしょう。それこそ自分で船底に目に見える大穴空けておいて、船が沈むから排水を手伝ってくれと言っている様なものです。そりゃまず、その穴、塞ぎなさいよという話になります。

  14. YK より:

    >下から上を見上げていると、上の人が下の方にばかり競争を押し付けてくるなという気はしますよね。

    この1文については全く同感です。
     それ以降の部分に関しては、ちょっと欧米の研究社会に夢を持ち過ぎではないか、という気がしました。自分の経験に照らして言えば、アメリカなどでも実力が大してなかったり、胡散臭い教授は少なくないです。つまり、単に多国籍で競争させれば改善するという問題では無く、教授を選出するシステムに問題があると個人的には思います。だから「目標数値」なんて設定しても単に傷口を広げるだけで意味が無い、と。
     まあ、外人とか権威に夢を持ちがちなのは日本人の国民性の問題だと思いますが。

  15. 匿名E より:

    下から上を見上げていると、上の人が下の方にばかり競争を押し付けてくるなという気はしますよね。そもそもグローバリゼーションといわれる中で、教授陣がほとんど日本人ばかりという日本の大学は異様です。こんなのだから、体育会の部活動よろしく学生を扱きあげ搾取する古き悪しき体質からいつまでたっても脱却できないのでしょう。ですので、やってくる留学生も従順なアジア圏の学生ばかりです。教授たちにとったら彼らは大変使い勝手がよいでしょうが、日本人学生は就職戦線において彼らとも競争しなければなりません。アジアへの展開を目指す企業において、彼らの重要性は高まっており、民間における貴重な日本人博士のポジションが奪われていると、実際の就職活動を通じて強く感じました。教授のポストだけ無風というのはおかしいと思います。国際化というなら、海外の大学並みに外国人PIの割合を3割程にするという目標数値を設定すべきだでしょう。私もできることなら自由な教育研究を身上とする外国人PIの指導を受けたかったです。

  16. Shob_ushi より:

    イギリスのシニアの給料ってどのくらいでしょうね? 調べてみたら出てきました。137ページに副学長の給与一覧があります。上は5000万円くらいでしょうか。
    http://www.zam.go.jp/n00/pdf/ni007007.pdf

    日本では安倍総理大臣の年間給与が1580万円だそうですから、ヒラ教授の給料なんて推して知るべしです。
    出典:http://www.nenshuu.net/special_public/spe/diet_member_pages.php?diet_member_id=112

    日本の教授の年収は平均1000万程度だそうです。その5%なり10%なりを減らして若手に回すのもいいですが本当にそれでいいんでしょうか。教授の給料なんて、ポスドクの2倍くらいにすぎません。それでも多すぎるという意見はあるでしょうが、そこにたどり着くまでに何年を要し、どれだけの努力を重ね、成果を上げてきたかを考えたら、まあそんなものかというところです。

    シニアの給与を若手に回せば、その時は助かるでしょう。しかし若手はいつまでも若手なわけではありません。将来の年収見込み額は首尾よく教授になれた場合で1000万 – 5% 、そうでなかったらそれ以下ってことです。今の食い扶持のために将来の夢を削ぎ、やせ細らせることが良いことでしょうか。そうなったら、アカデミックは優秀な学生にとって魅力的なところでしょうか。

    お金のことでブツブツいうくらいなら、本当ははやりの企業に就職するのが最善です。
    留学先で同僚だったポスドクは28歳のとき年俸9万ドルで製薬会社に就職を決めました。Googleのプログラマは2000万だそうです。

    最近こんなふうに感じています。他罰的な考え方で、努力してきた人をも「結果平等」の枠に押し込めようとする意見が強まりすぎ、なにかずれてきているのではないか、と。

  17. 匿名 より:

    こんな調査結果が公表されています。一応、若手の任期制の弊害についてもちょこっと触れられています。個人的には、自由記述欄の全コメントを見たいですが。

    http://hdl.handle.net/11035/3086

  18. Shob_ushi より:

    まだ策定段階の案件でしたか。実施取りやめかもしれませんね。
    ふと、「給料の高い職を削って安い職位を増やせということか。」
    と複雑な思いになったのを思い出しました。

    だって、某企業を選べば、
    「より高給で安定で夢があって評価してもらえて社会的に認められる」
    ことが可能です。しかるに大学教員の道を選ぶと
    「不安定で低給で評価は低くてバクチみたいな夢しかなくて、
     うまくいけば社会的にも認められるけどその確率は高くない、
     好きなことができるなんて言われても、実は雑用ばかりで同意できない
     受験戦争を勝ち抜いてきたのに、はるか成績の劣っていた同級生より、
     いつまで経ってもずっとずっと待遇は下」
    なんて道だけが待っているわけです。
    そこで、教授ポストが減ればますます勝率は下がる。

    で、現実に起こっている問題として
    「そんな低い勝率、いやゼロ勝率に人生かけらんない」とばかり
    優秀な学生ほど大学に残らないことになってしまった。
    自分は若気の至りで大学に残ってしまったけれど、
    もはや学生に同じ道を勧めることはできませんでした。

    そんな中で、上級ポジションを削って下級ポジションを増やしら、
    目先は助かるかもしれないけど、将来の夢はますます
    しぼんでしまうように思われてならないのです。

  19. 田中智之 より:

    第4章について提出しました。第6章、研究公正についても提出しましたが、トピック違いなので割愛します。

    ・「知の創出における大学や公的研究機関の役割の重要性が増している」という認識は重要であり、不透明な将来に柔軟に対応できる、多様で質の高い人材の育成を目指すべきである。今年のノーベル賞受賞者に象徴されるが、イノベーションにつながる成果を生み出すためには、トップクラスの研究機関への偏重は良策とはいえず、裾野の形成が重要である。大学をはじめとする研究人材育成の場を今後も維持するという確固とした方針を打ち出していただきたい。

    ・産業界との協働による大学、大学院改革の推進、あるいは研究資金改革については、検証、監視の仕組みが必要である。米国では軍予算にも基礎研究の支援枠があるように、研究者およびその支援者により意図的に基礎研究の多様性が維持されているが、我が国では価値観が異なるため、基礎研究軽視の流れにつながりやすい。即戦力を求めることに偏重するのではなく、基礎研究に裏打ちされた堅実な教育が必要であることを明記していただきたい。

    ・基礎研究とは直ちに価値が認められないという特徴があり、イノベーションに結びつくかどうかをあらかじめ判断することは困難である。よって、「戦略的な基礎研究支援」とは非効率な投資となるリスクがある。

    ・主体的、協働的な学びを指導する人材には極めて高い能力が要求される。現在ミスマッチと見なされている研究人材の一部を活用する方策を盛り込んでいただきたい。

  20. 近藤滋 より:

    私のところでは、その話は聞いていません。。。。。。

  21. Shob_ushi より:

    匿名で失礼します。

    「若手にテニュアポストを」の話は、大学に降りてきていませんか? 聞いた話は、一年分の人件費を補助をするから、教授ポジションを削って若手ポジションを2つ作りなさい、という話でした。

    理解が正しければ朝三暮四のような話ですが、一度ねじ込んでしまえば、あとは何とかなるということかもしれません。
    私の理解が間違っていて、もっといい話であることを期待したいのですが。

  22. Koichi Kawakami より:

    時間がなくて不十分でしたが、下のように投稿しました。(原発関係にもコメントしましたが、それはここでは無関係なので省略しました)

    p1 (1)現状認識「知のフロンティアの拡大に伴い、知識や技術の全てを個人や一つの組織で生み出すことが困難となっている。」とありますが、これだけが大事なわけではありません。「最近のノーベル賞輩出は喜ばしいことであり、これらは個人の発想、自由で自立的な研究活動が新しい知を生み出すのに重要であることを表している。」という認識も必要と思います。

    p2「「研究開発の重点化を従来の分野に基づくものから課題解決を目指したものへと転換した。」ことの成果が、p3「今世紀に入り、我が国の自然科学系のノーベル賞受賞者数が世界第2位の実績であることは、世界の中で我が国の科学技術が優れた存在感を有している証しでもある。」ではないと思います。この転換がノーベル賞のような独創的な研究成果につながるかは、疑問であり、むしろ逆なのではないかと思います。

    p3「我が国の科学技術活動が世界から取り残されてきていると言わざるを得ない。科学技術イノベーション活動を担う人材に関して、若手が能力を十分に発揮できる環境が整備されていない、高い能力を持つ学生等が博士課程進学を躊躇しているなどの問題点もある。」これは問題点を的確にとらえていると思います。

    p4「ⅳ)知の資産の持続的創出」

    「多様で卓越した知を絶え間なく創出し、その成果を経済的、社会的、文化的価値として速やかに社会実装していく国」これも大事ですが、短絡的でもあります。速やかに社会実装できない、できなくても大事な知もあります。例えば、メンデルの遺伝の法則、ダーウィンの進化論、これらは速やかに社会実装されるような知ではないと思いますが、人類に貢献するものです。そのような知を生み出すことも重要です。

    p7「第2章 未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出の取組」

    の序文はたいへんわかりにくく、論理性が低いものになっています。「莫大なつながりから全く異なる要素間の結びつきや融合が進むことで新たな形でイノベーションが生み出される状況を迎えている。」これは推測でしかないのではないでしょうか?それでイノベーションが生み出される根拠はなんでしょう?もう少し論理的な解説が必要と思います。

    p7「挑戦的(チャレンジング)な研究開発の推進に適した手法を普及拡大していく。具体的な手法として…」

    チャレンジングな研究開発とは、失敗を許すシステムです。研究者が失敗したら生活の糧も失うような環境では、チャレンジングな研究開発はできません。「再チャレンジのシステム、セーフティネットの構築」等が不可欠です。

    p8「年齢、性別、地域、言語」ここに「身体的、精神的ハンディキャップ」を加えていただきたい。

    p8「超スマート社会」この名称もう一工夫していただきたい。超スマート社会はIoT中心ではあるということですが同時に「ひとに優しい社会」でなくてはなりません。そのような意味合いも含めていただきたい。

    p19 遺伝資源を含む生態系サービスの経済・社会的価値の評価技術や持続可能な管理・利用技術の研究開発を推進する。

    ここに「大学や大学共同利用機関等研究機関と協力して」などの文言を加えて、大学や実績のある大学共同利用機関を書き込めばべよいと思います。

    p21「その際、イノベーションが創出される可能性を最大限高めるために、これまでとは異なる知識、視点、発想等を持つ多種多様な人材を育成・確保し、人材の流動性を高める。」

    この文が唐突で、根拠や論理性に乏しい見解を表していると思います。「これまでとは異なる」が何にかかって何を意味しているのかが明瞭ではありません。「流動性」は、どのようにしてイノベーションが創出される可能性を高めるのでしょう?こつこつ一つのことをやった結果、生み出されたイノベーションの方が多いのではないかとさえ思います。そのあとの文ともつながりがわるいので、これは削除された方がよいのではないでしょうか?

    p21「科学技術イノベーションを担うのは「人」である。」これには賛成です。

    ここに、専門性をもつ人材の社会で価値を高める(そのための努力をする)ことも書き込んでいただきたい。「育成・確保」の確保の意味があいまいですが、専門性の高い人材(博士号保持者)の雇用を促進する、など具体的に記載してください。

    p21「その重要な担い手である若手研究者を巡る状況は、危機的である。」「深刻な課題である。」のあとに、「また従来ならば常勤職についたであろう優秀な研究者が職不足により非常勤、あるいは研究を離れる事態も生じている」のような一文をいれていただきたい。現在の重要な問題です。

    p22「大学及び公的研究機関等が、組織として人材育成及び雇用に責任を持つことが重要である。」

    「このため、。。。留意する。」

    ここは大事な部分です。この費用捻出方法が、シニア研究者にかかる経費の削減でまかないきれるのか甚だ疑問です。「年俸制やクロスアポイントメント制度の導入」では結局は経費削減にならないと思います。「人事評価の導入と評価結果の処遇への反映、再審査の導入」これは審査に合格しなかったら解雇せよ、ということでしょうか。それは実際には可能でしょうか?またたとえ可能であったとしても、その効果は短期的であると思います。「外部資金による任期付雇用への転換促進」これは後述の直接経費で給与を支給する可能性でしょうか?そうであるならば、可能性があるとは思います。しかしながら、通常の研究費に1000万円(以上)の上乗せが必要になり、これは現実的に可能でしょうか?ここで、十分な運営費交付金等を措置する、と言うことはできないのだと思いますが、「国の努力で運営費交付金の確保にも務める」ような記述があってもよいのではないでしょうか?この財源にはすぐに良い考えはうかびませんが、大学等の自助努力で何とかしろ、と言うだけでは無理があると思います。

    p22「研究代表者等への人件費支出」これを行なう場合には、現時点では研究費が獲得できない場合は、研究機関等が給与を払う場合に限るべきと思います。そうでないと今より環境が過酷になり、新しいことにチャレンジすることにプラスになるとは思えません。

    p23「このため、科学技術イノベーションを担う多様な人材について、キャリアパスの確立と人材の育成・確保のための取組を推進する。」

    この一文が、上で述べた「また従来ならば常勤職についたであろう優秀な研究者が職不足により非常勤、あるいは研究を離れる事態も生じている」のような人材のキャリア確保、ポスドク一万人計画、大学院重点化で増やしてしまった人材の活用も意味しているのであれば、よいと思います。

    p23「文理融合など異分野間の一体的教育や我が国が強みを持つ分野における最先端の教育を推進する大学院の形成を促進する。」これはけっこうなのですが、文理融合で生み出されるのは理系に強い文系研究者、であると思います。

    p24「「博士課程(後期)在籍者の2割程度が生活費相当額程度を受給することを目指す。」

    これはもう少し大きな数字にする必要があると思います。科研費の直接経費に含める可能性がありますが、そうしますとやはり科研費の総額を増額しなければならなくなります。「国は、フェローシップの充実」とありますが、国だけでなく民間、産業界からのさまざまなフェローシップの拡充も期待したいところです。

    p25 ⅱ)グローバル人材の育成と外国人研究者の受入れ促進

    ここに外国留学のための奨学金の充実の記載がありません。加えていただきたい。

    p25ⅲ)分野、組織、セクター等の壁を越えた流動化の促進

    上述のように、流動化の促進がイノベーションにプラスになるか?は即座に判断できませんが、難しい問題だと思います。この個々の研究者の性格や研究内容によってケースバイケースのように思いますので、一律に流動化を促進しますと、おかしなことになるのではないかと危惧します。促進する、よりも自発的な流動化を支援する、位の方がよいように思います。

    p26また、国は、研究とライフイベントの両立を図るための支援や環境整備を行うとともに、ロールモデルやグッドプラクティスを幅広く周知し、情報共有を図る。

    この文の前半は育児等を意味すると判断しますが、後半の情報共有で実質的に何が進むのでしょう?

    p26 学術研究、基礎研究の定義、区別があいまいです。ここでいう学術研究とは「戦略的でない」基礎研究、でしょうか?「戦略的な基礎研究」はもはや基礎研究ではないように思います。

    p26「新たな学際的・分野融合的領域を創出するとともに、幅広い分野でのイノベーション創出の可能性を有しており」これは順序が逆であると思います。

    p26 内在的動機で行なわれる学術研究を挑戦性、総合性、融合性及び国際性の観点、と限られた観点からのみ分類すべきではないと思います。

    p26 研究者が新たな課題を積極的に探索し、挑戦することを可能とする支援を強化する。

    研究者は常に新しいことに挑戦しているので、ここに特記する理由がよくわかりません。この文章が、へんてこりんな研究費の創設につながるのであれば、ここに記載しない方がよいと考えます。

    p26 国際共同研究等の促進を図る

    これも支援する、事項であって、促進する事項ではないと思います。必要があれば研究者が内在的動機に基づいて行なうと思いますので。

    p27 ⅱ)戦略的な基礎研究の改革と強化

    この前の記載、全体の文章とあわせて、学際的、融合的、分野横断的等の言葉が強調されすぎのように思います。最近の新学術領域研究等の創設、従来の特定領域研究の廃止等によって、逆に既存の分野の軽視、が問題になっているように思います。このどこかに「既存の分野」もしくは「伝統的な学術分野」の強化、という文言の挿入を希望します。

    p30このため、国は、自己改革に積極的に取り組む大学を重点支援することで経営力強化を進め、大学間競争を活性化する。

    スタート時点で条件が同じならばよいのですが、既に大学間にいろいろな点で大きな差がついています(たとえば東大、京大、阪大とほかの大学)。それを一律に競争をを強化するのはあまりに酷というものです。それを考慮してこの文は削除もしくは改訂していただきたい。

    p30 特に国際的な厳しい競争環境に対応し得る一定の条件を満たしている国立大学については、これまでの国立大学法人制度の枠組みとは別の仕組みの中で支援・評価を行うことを検討し、所要の措置を講ずる。

    ここも同様です。頂を高くすることも大事ですが、今年のノーベル賞受賞からもわかりますように、その他の大学の可能性を無くすあるいは低下させるようなものであってはならないと思います。新しい、これまでに無かったイノベーションをもとめるならば、「選択と集中」ではなく「分散と多様性」に重点をおくべきです。これは研究費の配分にも通ずることですが。これを再考願いたい。

    全体を通じて、(1)融合、流動化、競争等、に重きがおかれすぎているように思います。これまでのノーベル賞等の成果からわかるようなこれまでの日本のシステムの良い面への温故知新、分散、多様性、ひとつのこと(課題)に集中できる環境作り、等をもう少し考慮されてはいかがでしょう?山中先生のノーベル賞受賞時には「研究がうまくいかなかったらクリニックでもやっていた」という発言がありました。新しいことにチャレンジするには、生活までをかけられない、ということをご承知下さい。(2)成果の評価システムの改革、健全化、公正化に関する記述が少ないように思います。これまで巨額の研究資金が、それに見合った成果をあげてきたか?についての評価が不十分であったように思います。研究資金の有効活用のためにも評価システムの改革をもりこんでいただきたい。それには、その配分を決定した審査方法や審査内容の適切さの評価も同時に含まれます。

  23. 近藤滋 より:

    パブコメ投稿しました。以前に書いた
    http://scienceinjapan.org/topics/20131001.html

    を短くしたものです。

  24. 近藤滋 より:

    その辺は、単なる枕詞ですから、スルーしてください(笑)。コメントは、内容に関して。

  25. 38歳特任教員 より:

    パブコメの期限って、11/16の12時までなんですね。
    24時までだと思っている人、急ぎましょう。

  26. ななし より:

    研究者の一人として、近藤先生、宮川先生、遠藤先生のご尽力に感謝いたします。また、文科省、斉藤氏、生田氏のご協力に感謝します。また、議論頂いている各位にも感謝します。私にも義務があると思い、4件パブリックコメントとして投稿しました。以下に列挙します。

    第四章
    ① i)若手研究者の育成・活躍促進
    若手研究者の定義を明確にして下さい
    ア)40歳以下など年齢
    イ)博士号取得後経過年数
    ウ)大学等における任期付雇用の通算期間10年以下
    など、案件により異なり概念が統一されていません。
    また、若手に含まれないポスドクに対する支援は行わないのでしょうか。

    大学に再入学した私は、若手対象の研究助成から除外されました。
    企業から大学へ、海外から国内へ、などの流動性の高い研究環境を目指す場合
    一律に年齢で制限することは妥当でしょうか。

    ②基礎研究において(「選択と集中」ではなく)多様性がより必要である理由
    基礎研究の土壌は製薬における候補物質ライブラリーのようなものです。
    スクリーニング前から「選択と集中」を施し少数の有力候補だけに絞ることは妥当ではない。
    多数の候補物質からなる巨大ライブラリーを持つことが製薬企業の力となります。
    基礎研究は同じように多様性を持つ広い土壌を持つ必要があります。

    第五章 イノベーション創出に向けた人材、知、資金の好循環システムの構築
    ③日本における投資家(投資資金)の不在、および基礎研究への公的支援の必要性
    米国の大学発ベンチャーはGoogleなど世界を席巻する企業に成長する例に事欠かない。
    日本においてこのような例が見られない一因は投資家の不在にある。
    ア)日本ではベンチャー投資に関心を持つ超富裕層や金融機関が存在しない。
    イ) 見識と大資金は空前の内部留保を持つ大企業にあるが、革新技術を開発するベンチャー企業へ大企業が進んで資金協力するというインセンティブは働かない。大企業は既に保有する既存技術を保護・活用することにより利益を継続的に得るという行動様式を取る。既存技術を過去のものとする革新技術は、大企業の巨大化 した生産体制(人材・設備・知識など)の再構築を要求するため歓迎されない。日本の大企業がベンチャーに資金供与を行うのは、技術革新が誰の目にも明らかとなり放置すると自社技術が過去のものとされる場合である。大企業は大資金をもって革新技術をベンチャー企業ごと買収し自社外に革新技術が生まれることを 阻止する。

    ア)イ)から現状では大学発の基礎科学技術は(文科省などの)公的資金による支援がなければ成長することができない。投資環境の整備と公的支援を必要としている。

    ④資金の好循環システムの構築例
      多数の批判を受けることを承知で提案します。山中伸弥教授によるiPS研究組織は企業体にすべきです。この例で出来なければバイオ分野で資金の好循環システムは構築できません。国が10年間で1000億円超の資金援助を行うことは否定しませんが株式投資などの形を取るべきではないでしょうか。iPS関連技 術は既に基礎研究の枠をでており、実用化されることは間違いありません。将来、特許や生産物で利益を産んだ際に、山中教授と共に株式を保有する国が利益を回収する形を取るべきです。企業体となることで山中教授が心配されているiPS研究者の雇用問題は解決します。場合によっては、共同研究している武田薬品などに合併・吸収される形で支援を受けても良いのではないでしょうか。
    iPS細胞の発展と共に国が得た資金は、第二、第三の山中教授とiPS細胞を生み出すために基礎研究土壌へと薄く広く投資されるべきです。

  27. Koichi Kawakami より:

    わかったよ。素案47ページもあるけど、今から読みます。。。

    冒頭の部分から理解に苦しんでいるのだが。「変革の時代だから変革が必要」ってどういうロジックか?

  28. 近藤滋 より:

    お二人とも、完全な誤読です。ですが、2人が誤読したと言う事は、こちらの書いた文章が悪かったと言う事になります。私としたことが、、、、、

    元の文章を良く見てください。
    「大学の教員の合計と比べて、有能であるにも関わらずテニュアを取れていないPDの割合は」
    となっています。比較しているのは、「大学の教員全員の人数」と、「有能であるにも関わらずテニュアを取れていないPDの人数」です。給与を再分配する話なのですから、比較するのはこの2つでなければいけません。

    国立大の教員は97000人くらいです。
    PDの数が全部で16000人だそうです。
    これに、35歳以上で当然テニュアを取れているレベルの業績がある人、という具体的な条件を付ければ、どんなに多く見積もっても10000人を切ると思います。ということで、多くても10分の1、と概算したわけです。

  29. 匿名 より:

    私は9割はまだテニュアに値する実力に達していない成長過程、と捉えました。
    PDのうち毎年上位10%がテニュアを取れる仕組みが何年か続くのであれば、年々実力をつけて5-10年でテニュア取得、のような道筋が立つと思います。

  30. riddle より:

    なるほど、ポスドクの9割は無能というご意見ですか。それは育成の責任が問われてしかるべきでしょうね。

  31. 山形方人 より:

    パブコメに3件提出しました。パブコメは、政府側に都合の良い意見ですと取り上げられるのですが、都合のよくないものですと、全く無視されることが多いです。提出された意見がどのように取り扱われるのか、ということを観察するためにも、差し障りのない範囲で、パブコメした内容を公表していくことも重要だと思います。

    4章について。
    「① 知的プロフェッショナルとしての人材の育成・確保と活躍促進 ⅰ)若手研究者の育成・活躍促進」
    「シニア研究者に対する年俸制やクロスアポイントメント制度の導入、人事評価の導入と 評価結果の処遇への反映、再審査の導入、外部資金による任期付雇用への転換促進とい った取組により、組織の新陳代謝を促し、」
    組織の新陳代謝のために、シニア研究者の処遇を変更することで、若手研究者にチャンスを与えることは有効な施策であると思う。ここに、シニア研究者に対する早期退職斡旋制度の設立、先端研究を中心とする研究機関以外の組織(民間企業や
    教育機関)などへの転職の積極促進制度を実施することを含めたらどうか。

    5章について。
    「② 人材の多様性確保と流動化の促進ⅰ」女性の活躍促進」について、この素案では、第4期基本計画にあった「数値目標」が存在しないようである。これは、第5期基本計画でも、第4期の「数値目標」(脚注)を引き継ぐということなのか。この点を明確に記載して欲しい。また、女性リーダーの登用を促し、ロールモデルを可視化するために、大学や研究所などの研究機関の長(学長や研究所長など)の30%を女性にするという数値目標を入れて欲しい。米国の主要大学でも、女性の学長 は多く、見えるロールモデルとして機能している。男女共同参画をシニアの世代でも積極的に行うことで、過去の時代の償いになるはずである。

    6章について。
    「(2)研究の公正性の確保」は、現在、「第6章 科学技術イノベーションと社会との関係深化」に置かれているが、これは、社会との関係ではなく、データの質の確保という科学技術研究のシステムの問題として捉えるべきではないか?この場合、「第5章 イノベーション創出に向けた人材、知、資金の好循環システムの構築」の一項目として置くことが適切だと思われる。特に、研究の公正性の確保だけでなく、現在、ネイチャー誌やサイエンス誌などで議論されている科学研究の再現性、科学のRigorの観点から、問題を捉え直すことも重要である。ビッグデータなどの興隆に伴うデータの質の確保という面からも 、イノベーションのためのインフラの一つとして大切 になってきている議論である。

  32. 近藤滋 より:

    まあ、いろいろと問題はあるでしょうが、それは上の記事で取り上げてます。とりあえず、パブコメ出してから考えましょうよ。出さないと、「なんか、結局PD救済を求める声は少ないんだな。」となりますよ。

  33. Koichi Kawakami より:

    「シニア研究者に対する年俸制やクロスアポイントメント制度の導入、人事評価の導入と評価結果の処遇への反映、再審査の導入、外部資金による任期付雇用への転換促進といった取組」運営費交付金が削減され、2030年には運営費交付金と収入を同額にすることが求められている中で、これらの取り組みがどう資金の捻出につながるのでしょう?全くわかりません。まず運営費交付金の減額の凍結、が必要だと思います。これはできないのでしょうか?

  34. 近藤滋 より:

    それは、資金的には不可能では無いですね。大学の教員の合計と比べて、有能であるにも関わらずテニュアを取れていないPDの割合は、おそらく、多くても10分の1くらい。しかも、資金的にはPDとしての給与は現在でも与えられているわけなので、その分を考えると、教員の給与を5%減らすぐらいで、余裕でできます。大学は、その程度の事はしても良い。震災の時に10%減らされましたが、文句を言う人はほとんどいなかったです。大学にそのような施策を取らせることを促す意味でも、この文言が基本計画に残ることが必要です。

  35. riddle より:

    >運営費を減らすことと、ポストを増やすことは矛盾
    イギリスのようにシニアの給与を減らしてワークシェアすればいいんですよ。当然シニアの方々もちゃんと主張してくださることと思いますが。

  36. 近藤滋 より:

    パブコメを投稿した方は、ついでにそのコメントを、ここにも貼ってください。
    よろしく。

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