【帰ってきた】ガチ議論
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「大学・研究機関でのいわゆる「雇い止め問題」についてのアンケート」の結果

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「大学・研究機関でのいわゆる「雇い止め問題」についてのアンケート」の結果を掲載します。

2013年4月施行の改正労働契約法によって契約期間が通算5年(大学教員・研究者の場合は特例で10年)を越えると無期契約に転換できると定められました。そのため、10年を越えて無期転換権が発生する前に雇い止めが起きることが懸念されていました。そこで、施行から10年目となる2023年4月に文科省が全国の大学・研究機関を対象に調査を行い、令和5年9月に公表した「研究者・教員等の雇用状況に関する調査」(令和5年度)の調査結果では、「大学等及び研究開発法人の研究者、教員等のうち、無期転換申込権発生までの期間(原則5年)を10年とする労働契約法の特例(以下、「10年特例」という。)の対象者」(特例対象者)のうち、約80%が無期労働契約を締結した又は締結する権利を得たとされましら。この結果を受けて、文科省の人材委員会のワーキンググループの論点整理(案)としては「現段階においては本制度が概ね適切に運用され、研究者・教員等の雇用の安定性の確保に一定の役割を果たしていると評価することができ、直ちに本制度を見直す必要はない」との方向での議論が進められています。

昨年4月に行われたアンケートは、文科省が主に大学・研究機関に対して行ったものであり、研究者関係者の声や実態はよく分かりません。例えば、研究費等を財源として雇用されている研究者・技官(特殊技能者)が、10年目を迎えた際に、研究費を財源として続けて雇用したくとも、無期転換権の発生を恐れる大学・研究機関のために実質的な雇い止めをされているという声も研究関係者の中では聞こえています。また、いったん退職して、他大学・研究所等で6ヶ月間のクーリングオフをした後に再雇用するような例もあるとも聞ききます。そこで、研究者サイドからの生の声を聞くことによって実態を把握することを企画しました。この調査結果を通じて、関係諸機関に研究環境の実態の理解を深めていただき、研究力強化に繋がる施策に反映していただくことを目指しました。

結果の概要をまとめたものと自由記述も含めた全回答をこちらからダウンロードできるようにいたしました。被雇用者側の研究関係者の悲痛な声のみならず、雇用をする側である研究室主催者などによる研究人材育成の困難さや研究力低下への影響についての懸念も多数示されており、多くの大学・研究機関においてこの問題が解決しているわけではないことがわかります。

今後、より詳細な分析と考察を行い、問題の解決とサステイナブルな仕組みの構築へ向けての提言も合わせて改めて公表することを予定しています。このアンケート結果などについての皆さまのご意見やご感想をこのページの下方にありますコメント欄にて受け付けますので、よろしくお願いします。

大学・研究機関でのいわゆる「雇い止め問題」についてのアンケート結果 [公開版 v1.04]

資料1 アンケートのフォーム
資料2 自由記述全回答(6番の質問)
資料3 雇い止め研究機関名リスト
資料4 自由記述全回答(10番の質問)
資料5 自由記述全回答(11番の質問)
研究関係者の雇用状況に関するアンケート(全データ)

企画:

日本神経科学学会・将来計画委員会

日本学術会議・基礎医学委員会・神経科学分科会

SciREX「安定性と流動性を両立したキャリアパスの仕組みについての定量・定性的研究」プロジェクト

アンケート実施協力:

日本脳科学関連学会連合

生物科学学会連合

日本地球惑星科学連合

日本気象学会

日本エアロゾル学会

日本科学振興協会(JAAS)・研究環境改善ワーキンググループ

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“「大学・研究機関でのいわゆる「雇い止め問題」についてのアンケート」の結果” への1件のフィードバック

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