2013.08.26 トピックス
<緊急>研究不正問題のまとめのお願い
文部科学省ではこの8月に「研究不正などに関するタスクフォース」を立ち上げています。このチームでは、福井副大臣を座長に文科省内の大学運営や研究に関わる部署の責任者ら6人で構成され、問題となっている事案の調査分析を行い、来月中(9月)をめどに研究不正への対策を行う、とされています。
http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1338304.htm
この中間取りまとめを下敷きにして、来年度予算に間に合うように不正対策が作られるとなると、もう時間がありません。このサイトは、何人かの官僚の方や、影響力のある方も見てくれてはいますが、コメントの数があまりにも多い上に纏まっていないので、このままでは不正対策議論のためのデータとしては使えないでしょう。ですから、早急に纏めを行いたいと考えます。(ここでの議論が終わりにするわけではありません。)
もちろん、意見を集約するところまで行っていませんので、サイト全体としてひとつの提案はできません。しかし、議論を通じて皆さんの頭には具体案ができ上ってきていると思います。ですから、それをコメント欄にアップしていただけるようお願いします。また、いろいろな案を比較しやすいように、以下のフォーマットに従ってください。
- 1)字数は最大1000字
- 2)ORI(又はそれに準ずる機関)の設立を含む場合、(あ)規模、(い)構成員の条件、(う)業務内容、がおおよそでも良いから解るように
- 3)その対策により、現状の問題点(告発の困難さ、調査結果が出てこない、トップが被疑者だと公正な調査にならない、結果が出ても処分されない)がどのように改善されるかが解るように
それぞれの対策案に対し、アップした以外の人は、replyで良い点、悪い点を指摘してください。対策案をアップした人は、指摘をうまく盛り込んで、edit機能を使って対策案をより良く改定してください。その際、新しいコメントとして対策案をアップするのではなく必ずedit機能を使い、元の案を変更してください。
自分の意見とかなり近い案が既にある場合は、新しい対策案をアップするのでなく、既にある案に対し意見を述べることで、協力して洗練されたものにしてくれるとありがたいです。このedit機能を使うためには、対策案の投稿者は匿名ではできません。しかし、twitterの捨てアカウントを取るだけでアカウント付きの投稿は可能です。
理想としては、皆さんの作った対策案のまとめが、タスクフォースの会議の基本資料になってほしいと思っています。9月上旬に、でき上った対策案のリスト文科省に持って行き資料としてくれるように頼んできます。残念ながら、われわれガチ議論スタッフができるのはそこまでです。しかし、現場の研究者が公開で話し合ってまとめた記録です。その中に、実現可能で良いものがあれば、必ず何らかの影響力はあると信じます。
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知的財産に関しても、同様の懸念されるハラスメントがある。
研究不正に関して、大学お抱えの弁護士に相談した際、情報漏洩があり信用できません。
アカデミック問題に長けている弁護士さんをご存知の方、教えていただけないでしょうか。
<管理者より>
Disqusの仕様ではReplyを含めたコメントを新着順に表示する事ができないので、議論の流れが見えにくくなっていますが、公式Twitterアカウント
https://twitter.com/ScienceInJapan
の方で、サイトに寄せられた新着コメントを随時紹介しています。手動なのでリアルタイムなアップデートではありませんが、ぜひご活用ください。
ーーー
先日、文科省の不正問題担当の斎藤氏にお会いして、ガチ議論での議論を今後の不正防止システムの構築に役立てていただけるように頼んできました。
このスレッドでは、ガチ議論サイトの参加者で練った案を作り上げ、それを「ガチ議論試案」として持って行きたかったのですが、残念ながら途中からフリートークになってしまいました。そのため、青写真的なものは提示できなかったのですが、議論の中で、以下の様なコンセンサスができていると思いますので、その点を強くお願いしました。
1)不正調査・防止の新しいシステムの設置を、研究者も望んでいる
2)システムは、既存の団体・機関から独立性をもつ
3)告発者の保護や匿名告発を取り上げることが必要
斎藤氏はガチ議論をフォローしてくれていますので、その他の点についての書き込みに関しても、理解をしてくれています。
さて、ガチ議論としては、投稿の波も一段落して一区切りついた形ですが、今後も不正問題について議論は続けたいと思います。文科省のメンバーは、引き続きガチ議論をウオッチしてくれますし、また、学術会議の不正問題委員のメンバーも読んでいる可能性が高いです。有用性の高い情報を提供し続ければ、何らかの良い影響を与えられる可能性は高いでしょう。
今後とも、ご協力お願いいたします。有難うございました。
ガチ議論スタッフ
情報ありがとうございました。URLはこちらのようです。
http://ori.hhs.gov/thelab
外部リンクを入れるときは、前後に改行を入れていただくと(リンクだけの行にすると)うまく行くようです。
海外でポスドクをしている者です。
実際に研究不正問題が起きたときに、アメリカの各大学でどのような措置がなされるのかをロールプレイングドラマ仕立てにしたものがORIで公開されています。
参考になれば幸いです。
(直リンクを貼りたかったのですが、コメントの設定ではねられてしまうようです。
”ORI The Lab”で検索してみて下さい。)
結構長いのですが、まあまあ面白いですし、字幕も所々付いていて英語の勉強にもなります(笑)
個人的には、日本の大学、研究所でこのリンクにあるような機関があり、内部告発に対する防御、救済措置がしっかり取られていれば(そして、そのような措置が取られることを各研究者、大学院生が既知であること)、たとえ研究不正が起きても、ここ最近のニュースで流れてしまうような大規模なものにはならずに、未然に防げたり、小さく済んだのではなかったのか、と思います。
また、このドラマからもわかるように
ORIは単に研究者を監視し、罰する機関ではなく、
正しい行いを実施している研究者を奨励、保護し、
より誠実な研究を実施するように導くのが目的として重要であると思います。
そういう目的であればこそ、
各大学、研究機関がより効果的、効率的な研究を実施することにつながり、
税金を投入しても作る意味があると思います。
おっしゃるとおりです。
経歴詐称や業績誇称についても、学術界が責任をもって疑惑に答えるべく、大学や研究機関とは独立した組織のあり方を検討すべきではないかと思っています。ただ、(表現のことかも知れませんが)「取り締まる」ということについては、現時点では明確に判断できません。すでに触れたように、2005年に学術会議は「審理裁定」機関の検討を提言しています。各研究機関等がその決定を尊重することのできる「審理裁定」を行うのが第一歩だと考えています。
なお、ここに述べた意見、およびこれまでにBlogを通じて表明した意見は、個人的なものです。もちろん、学術会議の一会員としての意見ですが、現在の所属機関における事業・業務に関わるものではありません。今後とも、このような立場で意見を述べさせていただきます。
武市先生はブログで「研究不正だけでなく、経歴詐称や業績誇称など学術上の不正を防ぐための実効性のある組織として設置することが期待されます。」とORI(仮称)の役割を述べられていますが、
これは例えば査読なし論文を重複発表して、すべて業績リストに記載する行為やギフトオーサーによる
論文発表も業績誇称(不正)として取り締まるべきということでしょうか?
具体的な例としては東北大I氏は2800編以上論文を発表、プロシーディングスで重複投稿、
JSTの報告書でも「資料中の業績論文リストに多数の重複があることは不適切と言わざるを得ない」と言われています。ギフトオーサーはF医師の世界記録捏造の調査報告書で共著者のY.S.がFと「お互いに業績を増やすために論文に名前をいれあうとする約束を結んでいた」と述べ、ギフトオーサーを自白しました。
I氏やY.S.氏がこれまで予算や人事の評価、あるいは所属機関の大学・独法評価で水増しされた論文数をもとに評価されたことが何度もあるでしょうし、私はこのような見かけの業績に基づいて評価したり予算や人事を決めていくのは不当な結果を招くので不適切だと思いますが、あまり取り締まられていない印象を持っています。
実はこれも研究機関や評価を実施する機関に不当さを指摘したことがありますが、研究機関は問題ないとし、評価を実施する機関も「研究機関がいいなら、問題ない」といって追認しただけでした。(2)(3)の委員会報告書を読むと、明らかに重複発表論文を全部業績リストに記載すると業績水増しで不適切と指摘しているように思えますが、研究機関によってはそういう考え方が通用しないことがあるのに驚いたことがあります。現にI氏の重複発表やそれによる論文数水増しは全く処分されていないし、Y.S.氏のギフトオーサーによる水増しも処分を確認できません。
(1)I氏が2800編以上論文を発表したという文献 2012.12
http://chikyuza.net/n/archives/29570
(2)プロシーディングスで重複投稿 – 東北大有馬委員会報告書 2012.1
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/press20120124_01_1.pdf
(3)JSTの報告書 2012.1
http://www.jst.go.jp/topics/20120217/report.pdf
(4)Y.S.のギフトオーサー自白 – F医師捏造調査報告書 2012.6
http://www.anesth.or.jp/news2012/pdf/20120629_2.pdf
下の方で文科省の概算要求に触れた記事へのReplyで、文科省の斎藤卓也 氏から、異動により「研究不正」を担当することになったとの情報をいただきました。
斎藤氏とは、日本学術会議の若手アカデミー委員会にお越しいただいてお話しをうかがったときにお会いいたしました。若手アカデミー委員会は若手(おおよそ30歳代)の30名程度で、来年の秋から、独立して自律的な活動を行う「若手アカデミー」の立ち上げを目指して準備しているところです。現在の委員会には、私と数人のシニアがアドバイザとして参加しています。
若手の方々に固有の課題というものには、私がこのサイトを知る以前に行われていた「ガチ議論」で話題になっていたものと多く重なると思います。委員会はさまざまな分野の委員から構成されていますので、最近の「研究不正」に関心が向いているとはいえませんが、若手の方々にもぜひとも議論していただきたいことだと考えています。このサイトで意見を交わされておられる方々にも若手の方が多いと推察しております。というより、私が例外かも知れません。
斎藤氏には、ここの議論を参考に、具体的な施策に活かしていただくよう期待いたします。
すべて読めてませんが(見きれない程の驚きの数かと)、これでも行動を起こさないとは、まさに危機的というか、科学技術外交どころではないですね。
斎藤様
こうして返事をすると、ますます深くなっていきますので、返事を兼ねて、新たな記事をトップレベルに書くことにいたします。
私も自民党や首相官邸などに意見を送りました。別な人がK元東大分生研教授らの事件で各政党に質問状を送りました。
http://wjnews.web.fc2.com/20120209b.html
しかし、回答はありませんし、何か行動をおこしたことも確認できません。私は政党や政治家に意見を送っても概して無反応という印象を受けています。彼らとしては忙しいし、いちいち応じていられないと考えているのかもしれません。それはわからなくもないですが、何とか行動を起こしてもらえるようなことをやっていけないです。具体的にどういう方法をとればよいかわからないものの。
尾崎さんがいうように、できる限り上の人に意見を出した方がいいと私も思います。意見が届いた場合に文科省などの下の人より行動を起こしてもらえる可能性が高いと思います。
ガチ議論に参加していました文科省の斉藤です。
偶然ですが、最近異動があり研究不正を担当することになりました。
文科省の対応はまだ検討中です。概算要求は8月末で期限が切られているので、現時点でできるものから手を付けたものと理解しています。
これだけ世間をお騒がせしていますので、あるべき姿を議論し、しっかり対応していく必要があると思います。このサイトのような場所での議論も重要かと思います。
ここが分生学会の日本のサイエンスのでの公正性の位置を決定づける、大きなターニングポイントですな。
AHAのように捏造疑惑に対して断固たる態度をとるのか、某日本ホネ学会のように捏造容疑者を匿い続けるのか…。
学会長、大会長はじめ重鎮方の正義と良心に基づいた一挙手一投足が、ネット住民の生暖かい目で注視されています。
政府や文科省に、真剣に捏造問題を訴えるのはいつですか?
今でしょ!!
安倍総理、麻生大臣に送られてはどうでしょうか。本件、現政権政策に大きく影響しますので。これ以上、国費を効果のないところに投入する必要はないかと思います。必要なことは、第三者機関設立のための約5億円です。
尾崎様
ご意見、ありがとうございます。
5ヶ月前まで副会長を務めた者としてなかなか答えにくいところですが、お考えを十分に理解いたします。また、学術会議の外部からの見え方もお聞かせいただいたと思っています。
日本学術会議の現状についてのお答えは留保させていただきますが、日本学術会議の役割はご指摘の通りで、私の考えとまったく同じだと断言いたします。科学者の代表性を保持しつつ、ボトムアップに科学者からの議論を提言に反映させることができるように行動したいと思います。
お返事ありがとうございます。
日本学術会議が先ず行なわなければならないことは、外に向けての提言ではなく、どのような会員を募り、どのように運営をし、何を行うかを取り決めることかと思っております。
メディアや政治に迎合することなく、科学者としての立場からの情報を提供する(ここで対立意見がある場合は、どちらの意見も尊重し、科学者の立場で論争する)、科学的立場で物事を発信する、といったことかと思います。それが学術界の独立ということであり、日本学術会議の役割かと思います。様々な角度からの科学的情報を元に、政治家も国民もそれぞれの立場で判断をしていくと思いますが、どの科学者の意見を採用するかは各個人で異なるかもしれません。しかし、先ずは正しい科学的な発信が先かと思います。
その上で余程のことがなければ(科学の悪用に繋がる、被害者が出る等)、政治的判断や官僚的判断にはある一定以上の介入をしないことかと思います。この部分の切り分けが全くできていないように思います。
それに近いことは既にやっておりますが、コンタクトはありません。
それではこのサイトでの意見をまとめ、文部科学省大臣宛で資料とともに面談依頼のお手書きを送られてはどうでしょうか。役所よりお返事頂ける可能性は高いと思います。
ガチ議論は、分子生物学会の本体でなく、2013年会の準備委員が、年会の企画として議論イベントを行うために立ち上げたサイトであり、ほぼ、何者にもオーソライズされていない任意プロジェクトです。文部省幹部審議官を招集するとか、できるはずもないので、そのあたりはご了承ください。
しかし、後ろ盾があろうとなかろうと、公開の場で議論が行われ、その内容が意義深いものであれば実際の政策の決定に、何らかの影響を与えるはずであると信じて、このサイトを運営しています。
disqus_on74D9uQ77さま、一時期このスレッドに新規投稿やreplyができなかったため、『公正局の立ち上げは可能か、本当に機能するのか?』のスレッドを利用して回答しましたが、再度こちらにも投稿します。
disqus_on74D9uQ77さんが例をあげておられる各省や関係機関からの回答例、確かによく聞く文言です。判を捺したように同じ言葉が返ってきます。それでも敢て、ガチ議論より会合の場を設定頂き、文科省幹部審議官以上か科学技術学術政策局局長(少なくとも幹部でなければ駄目です)よりご説明を頂きたいと思います。その場には、文科大臣、政務官にもご同席をお願いしたく。安倍総理か麻生財務大臣ご自身のご参加でもよいかと思います(それくらい現政権の政策に関わることであり、この場に及んでも文部官僚の個人的都合が優先されるようでは非常に問題があります)。そこでの会話は記録に残し、公開をお願いします。
その結果により、学術界以外からの強制力のもと公正局を設立しなければならないかどうかが明確になると思います。
東北大元幹部黒幕のようなことは関東エリアの国立大学と私立大にもあります。残念ながら人材育成事業も随分悪用されてきたと思います。このような官学の関係 が、教育や研究開発の場が本来の姿を無くし、審査、評価も敢てねじ曲げる、他グループからユニークな業績がでそうな場合は、事実を捏造してまで潰していく ということが起きるのです。それを容認してよい訳がありません。高等教育も科学技術も国の将来の根幹に関わることです。
投稿が反映されない、反映されても消えてしまうという不具合についてDisqusのほうに報告しておきます。申し訳ありませんが、当面、投稿のテキストを別ファイルで保存しておいていただけますと、せっかく書いていただいたものがどこかに消えてしまうという事態は回避できるかもしれません。disqus_on74D9uQ77さん、武市正人さん、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
Ozakiさま
少々、内容を変えて投稿し直しました。
他のサイトへのリンクを張ったのが問題だったのかも知れません。
関係の方々にはお手数をおかけいたしました。
Miwako Ozaki 様、disqus_on74D9uQ77 様 へのご返事とともに、意見を述べさせていただきます。
すでに書きましたが、日本学術会議では「科学研究における健全性の向上に関する検討委員会」を設置して、検討を始めました。私は委員ではありません。「昨今の報道も踏まえつつ」というのがいかがなものかと思いますが、現在、会員・連携会員に「学術会議が行うべき対策について」の提言、意見を掲示板で求めています。
これに対して、昨日、以下のような意見を書き込みました。学術会議が積極的に第三者「審理裁定機関」の設置を検討すべきであるという提言です。
ーーーー
日本学術会議では、第19期に、学術と社会委員会報告「科学におけるミスコンダクトの現状と対策ー科学者コミュニティの自律に向けてー」(2005年7月21日)を公表しています。
そこでは、「1.科学者個人に対して」、「2.研究機関、学会に対して」、「3.研究資金提供機関に対して」それぞれに向けた提言が行われています。これらの提言に対しては、第20期に声明「科学者の行動規範」を公表し、それを普及させる積極的な活動により、大学や学協会等で一定の対応がなされてきたといえるでしょう。しかし、委員会報告のもう一つの自らに向けた提言「4.日本学術会議は・・・」については、十分な対応がとられていません。
この委員会報告では、「日本学術会議においては、科学者コミュニティを代表する立場から、科学者コミュニティの自立性を高めるために、関係諸機関と連携して、倫理活動を展開するとともに、ミスコンダクト審理裁定のための独立した機関を早い時期に設置することを検討すべきこと」と提言しています。
その後、学術会議で具体的にこの「審理裁定機関」設置の検討が行われたことはないと思います。この間、会員を務めていながら、8年間の不明を恥じる次第です。
・・・(中略)・・・
学術会議における議論の蓄積は貴重なものであり、活動の継続性は重要だといえます。
今期には、第20期に出された「科学者の行動規範」をもとに、その改訂版を本年1月に公表しました。これも学術会議の活動の継続性を重視したことだといえるでしょう。そこで、科学研究の健全性向上のための活動の継続性という観点からも、現時点で上記の委員会報告を復習して課題を整理するとともに、残されている「審理裁定機関」設置の検討課題の取扱いを審議すべきだと考えます。
・・・(中略)・・・
最近の報道に見られる「研究不正」に対処するだけでなく、経歴詐称や業績誇称などの不正を防ぎ、学術界における公正性を確保するための実効性のある議論がなされることを期待いたします。
ーーーー
東北大学の件では、第三者委員会の提言についても承知していましたが、個別案件の報告に気が取られて、第三者調査機関のことについて検討すること(の発議)はしませんでした。責任を感じます。上記の学術会議の報告の提言では、それ以前から自ら検討すべきだと課していますので、今回の委員会で審議すべきだと考えています。注視していきます。
ガチ議論スタッフの皆様、至急の対応お願いします。
昨日から、ここに何度か記事を投稿しているのですが、反映されません。以前と同じ操作なのですが・・・。Disqusアカウントで投稿です。
>何故実行しないのかも正式に理由を伺いたいです。
指針等を実行しない不当さやその理由を文科省の国の機関や学振に尋ねても概して次のように答えます。
「実行するかどうかは各研究機関の考えになります。実行しないのが不当だと思うなら該当研究機関に申し立ててください。」
「ご意見は今後の業務の参考とさせていただきます。」
「各研究機関の考えに基づき判断されますので、研究機関が問題ないと考えるなら○○省としても問題ないと考えます。」
文科省、厚労省、総務省・・・、学振、JST、・・・どこでも同じで研究機関に丸投げして上がってきた結論を追認するだけです。最近もディオバンの癒着問題で金の流れの調査に対して国が何も協力せず、当事者に丸投げしてしまって真相究明が困難な様が毎日で報じられました。
要するに国や資金配分機関は完全に各研究機関の任意性任せで、指針が守られなくても関与して改善を図るつもりは全くないというスタンスです。
http://blog.goo.ne.jp/lemon-stoism/e/71e0b5a7c0418fcae51e8fe4fa816652
尾崎さんがいうように私も文科省のガイドラインはまあまあ良い内容だと思います。研究機関がこのガイドラインを守っていればもう少し公正な調査が多かったと思います。
しかし、指針にすぎず拘束力がないため、研究機関の任意性に任せると恣意的に扱うのも珍しくないのが現状だと思います。東北大I前総長事件やF医師の世界記録捏造事件もガイドラインを守って大学が調査していればここまで大きくならなかったと思います。
http://blog.goo.ne.jp/lemon-stoism/e/72f625b1e46de4d92031c4d78210ec4d
整理すると、(1)国や資金配分機関が各研究機関に丸投げし監督責任等を果さないこと、(2)研究機関がガイドラインや内部規定を恣意的に扱うこと、の二つが問題だと思います。
「何故実行しないのかも正式に理由を伺いたい」という尾崎さんの質問に対して、文科省等はおそらく表向きには憲法で保障された大学の自治から行政権が内部自治に関与できないので任意性に任せるといったことを回答するでしょう。本当の理由は不正問題を扱っても役人にメリットがないから等何か扱いたくない理由があるのかもしれません。
国立大学が法人化して文科省としては天下り先ポストが増えたのでしょう。所管の研究機関を敵にまわしたなくないという理由があるかもしれません。東北大I前総長の捏造を隠蔽していた黒幕は文科省のキャリアだったY.K.前副学長で、北大総長並の高給、研究業績が皆無なのに流体研教授就任など公序良俗に反する厚遇が実在しました。
文科省に限らず他省庁管轄の研究機関はキャリアの天下り先でしょうし、官学の癒着が原因かもしれません。井上事件が組織的に隠蔽された大きな原因の一つには確実にそれが存在します。
研究機関も東北大I前総長事件や京都府立医大のディオバンのお手盛り予備調査など数々の恣意的調査を見ると、本音では不正を見逃してほしいと考えていると推測します。
ガイドライン等が実行されない本当の理由は文科省等としては不正を扱いたくない理由があって問題を大学等に丸投げ、大学等も都合が悪いので恣意的にガイドラインや規定を扱う、文科省等はそれを盲目的に追認。そういう構造になっているからです。
私は明らかに(1)(2)の問題があると思うので、拘束力のない規定にしたり、研究機関の任意性に任せるだけの対策にすると実効性が不十分だと思います。
またまた無許可ですが柳田さんのブログの内容をこちらに転載します。不正問題に対する対応策の具体的なご意見ではありませんが、学ぶ事も多い内容かと、、、
ーー
前回書いたのにはもうすこし追加したいことがあります。
わたくしはもう国内学会にも真面目にいかないし、研究費も一緒にもらうような仲間がいないので国内の様子があまりわからない。でもだからこそというか、孤立者の感覚で、捏造の新時代に日本は入ったという感触があるのです。その理由は研究費の流れが新時代にはいったので、とうぜんそこでおきるストレスや軋轢もタイプが変わってきて、生存のためにやってしまう捏造のタイプも新時代に入ったということなのです。世間ではあまり知られてないですが、捏造論文をだしたとして懲戒処分をうけたひとたちが裁判に訴えて、かなり高い確率で勝訴であったり示談になったりしているのです。
でも今日言いたいことはそういうことではないのです。
つまり捏造データが生みだされる環境はかなり単純でない。外部からみると、研究主宰者の意にそいすぎるようなデータがでてくる不自然なしくみがラボ内にあることが多いのではないか、と疑わせるのです。
学問の世界は民主主義とはおよそかけ離れた世界になりがちで、合議や多数決などではなく、主宰者の意向でおおむね動いていくものです。高額研究費を使っているラボでは特にプレッシャはハンパでなく、そのプレッシャはいろいろなかたちでラボ内ではストレス誘導の尋常でない人間関係症状を生みだしうるのです。
捏造の実行者は現場のポスドクであっても、ポスドクが実際にボスから強い捏造の指示があったといい、主宰者は金輪際そんな指示などしていない、こういう状況は充分にありえます。
つまり芥川龍之介の藪の中の小説にあるように、ひとりひとりいい分を聞いていると、真相は分かりにくい。誰が首謀者なのか、主宰者が示唆をだして、実行はポスドクがした、そんなことは今の日本のラボ内を考えたらありえます。
まともな人間ならいくら主宰者がこうなるはずだと言っても、まさか捏造はしないものですが、なかには捏造をある種の予定調和的行為と考える人物がいれば、やましさを感じつつ実行することはありうる、としか解釈出来ない事例があるようです。
主宰者側は、ポスドクに情熱を込めてこの実験をやればこうなるはずだと言って、なにが悪いと言うでしょう。
こんなことを書いてきたのも、わたくしが最近感じる事は、そういう人間関係が存在するのをすべて分かった上で、いまの時代こういう研究成果がでれば評価を受けるはずなので、この線でどんどん行こうじゃないか、という研究室の主宰者やその追従者というか学生やポスドクが増えて来ているのではないか、ということです。いいたくないのですが、共犯者的な人間関係になりがちラボ内です。
高額研究費で運営される研究室の内部は密室になりやすく、研究自体の内容もおおむね秘匿されることが多く、内部においても外部からも批判というものがほとんどあり得ないものです。
批判があるとすれば研究費の中間評価や事後評価です。この評価を乗りきるために有名ジャーナルに論文を公表するのが至上目命令的状況になる。
国内トップクラスの研究室のほとんどがそのようになればいったい日本の生命科学の未来は?と考えるのは自然ではないでしょうか。ちょっと悲観的すぎるとはおもうのですが。
どうしたらいいのか、わたくしの持論ですが、高額研究費のたとえ10分の1でももらえてただし職の保障があるところで、主宰者はそれ以上の欲もなく、しかし元気よくしかも質素に研究をするのであれば、捏造とも無縁、無茶なストレスも受けない研究環境を作れる人たちだと思うのです。
日本の未来はそういうラボがどの程度の数あるかにかかっていると思います。日本にあるラボの8割がそうであるのなら安心ですが。
でも政府は重点と集中に邁進するようですね。
東北大学の最近の判決は、シンガポールでも話題になりました。どの程度広がっているのか解りませんが、少なくとも私の周りでは、日本は捏造容認の方向で動くのだと認識を新たにしました。
私も同感です。第3者機関の設置に関しては敢て避けているように見えます。よって、何故取り合わないのか、文科省から納得のいく説明を聞きたいと思います。ガチ議論スタッフより正式申し入れをお願いしたいと思います。
AERAで、文科省の方が、『〜対策を打ってきた』とおっしゃっていたとすれば、それは、文書上は何らかのルールをつくったのだと思います。総合科学技術会議や文科省が出す文書は結構いい事が書いてあります。問題は、すべてにおいて実行が伴っていないことだと思います。とするならば、実効性を持たせるにはどうしたらよいかです。そのための公正局でもあると思います。何故実行しないのかも正式に理由を伺いたいです。
最近の文科省の相談窓口は(JSTも同様)、敢て問題は受け付けたくないという姿勢があらわになってきています(以下参照)。不正窓口の『担当にご連絡下さい』の担当も回答しないか『不正窓口にご連絡下さい』とたらい回しにするかで、結局受ける部署はないに等しいといえます。ならば、どこが不正受付窓口になり、調整するのかということになります。
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ご意見、お問合せ
http://www.mext.go.jp/mail/index.html
文部科学省では、施策の内容や当サイトで提供している情報等に対する御意見・御質問を受け付けています。
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不正窓口
http://www.mext.go.jp/b_menu/fusei/index.htm
(告発等を受付ける際の留意事項)
告発等を受付ける際には、告発者の氏名・連絡先、不正を行ったとする研究者・グループ、不正行為や不正使用・受給の態様(内容や年度等を含む)、不正行為とする科学的根拠あるいは不正使用・受給とする根拠、使用された競争的資金等について確認させていただくとともに、調査にあたって告発者に協力を求める場合があります。
また、調査の結果、悪意に基づく告発であったことが判明した場合には、告発者の氏名の公表、懲戒処分、刑事告発がありうることを申し添えます。
この窓口は研究活動の不正行為、研究費の不正使用・不正受給に関する受付窓口です。その他の事案に関する御相談等は各担当にお尋ねください。
予算執行に対する意見
http://www.mext.go.jp/a_menu/kouritsu/detail/1292529.htm
お願いと御注意
御意見に対して個別の回答はいたしかねますので、その旨御了承願います。
当意見箱は、今後の予算執行の改善に活用させていただくために特に設置したものですので、これ以外の一般的な御意見・お問合せは、「文部科学省に関するメールでの御意見・お問合せ窓口案内(※申請・手続き等へリンク)」までお願いいたします。
御意見いただいた事業の内容を的確に把握する必要がありますので、記入に当たりましては、極力具体的な内容を盛り込んでくださいますよう、お願いいたします。
個人や特定の団体等を誹謗(ひぼう)・中傷する御意見等は御遠慮ください。
私も正直言って今の文科省や学術会議の防止策では実効性が十分でないと思います。倫理教育の強化はぜひやっていただければと思いますが、武市先生への返信で述べたとおり研究倫理のシンポジウムで不正はだめだという趣旨の話をしていた人物まで大規模捏造をした現実を見ると、倫理教育の強化だけで故意の不正実行者を抑えることはできないと思います。
私は文科省や武市先生を含めた学術会議の方に伺いたいのですが、数年前に東北大I前総長の捏造事件が大きく報道された時にネイチャーやJSTの第三者委員会が例えば学術会議の中にORIのような機関を作って研究不正の調査をすべきだと公式に提言しましたが、なぜ文科省や学術会議の不正防止策は第三者調査機関を作るという案が公表されないのでしょうか。文科省の案や大西会長らの不正防止策は第三者調査機関の設置という案が全然ありません。こうした案は無視されている感じさえします。
フォーラム 最新情報(82) 2012.3.18
https://sites.google.com/site/httpwwwforumtohoku/
JST第三者委員会の提言 2012.1.18
http://www.jst.go.jp/topics/20120217/report.pdf
AERA 2013年8月26日号の「急増する大学論文不正と研究者の競争激化」という記事の中では「不正防止の対策は打ってきたのにこれ以上どうしろというのか。」と研究不正の続発に頭を抱える文科省役人の言葉が記載されていますが、今までいろんな機関や専門家が第三者調査機関を作るべきだといったことは提言しているのに、なぜ「これ以上どうしろというのか。」という言葉が出てくるのか理解できません。
先日の分子生物学会のアンケートでも第三者調査機関を設置が望ましいかという問いに賛同的回答をした人が約69%もいたことからも、こうした考えはマジョリティになっていると思います。
文科省や日本学術会議はネイチャー等の度重なる提言やこうした研究者たちの意見をどうして聞いてくれないのでしょうか。ぜひこうした提言を実現してほしいと思うし、実現しないにしろなぜ実行しないのか納得のいく理由を説明してほしいと思います。
倫理教育の強化はぜひやるべきです。ただそれだけでは研究不正の防止は十分ではないと思います。K元東大教授らのグループの一人だった韓国人のK氏は研究倫理のシンポジウムで「研究は正しいルールでやった方がかっこいい」「魂を捨てたら研究者の生命は終わり」といったことを述べていましたが、(まだ正式認定されてませんが)ネイチャーの論文で大規模捏造をしました。
http://blog.goo.ne.jp/lemon-stoism/e/1b28792b6ea91f2b22595d0d3be5bed1
教育しなくても捏造や改ざんが悪いことくらいみんな知っています。それでも不正は増えました。倫理教育は研究者に不正が悪いと認識させることで不正防止を図るものです。自己の利益のために故意に不正をする人を止めることはできません。近年の競争激化で悪の誘惑に負ける人が増えました。研究者のモラル強化は大切ですが、モラルや任意調査に任せるだけでは何ら改善はないと思います。
捏造確信犯に、いくら教育したって時間と税金の無駄。
暴走族に自動車学校の教習ビデオ見せるのや、ヤクザに道徳教育するのと同じか、それ以下。
むしろ、捏造野郎の方が権威を隠れ蓑にしているだけ、ヤクザや暴走族よりタチが悪い。
文科省のお役人どもは、何も分かっちゃいません。
100%完璧な制度はどこの国にもなく、一方、日本のように何の対策も講じていない、科学技術先進国(或はそれを目指している)国もないと認識しています。disqus_on74D9uQ77さんの方法も一つの方法ですし、色々やりようはあると思います。先ずはできるところから初め、これ以上、酷くならないようにする必要があると思います。
1000人が公正局の設立に賛成しているとは文書に書いていません。1000人は本件への関心事として少ない数ではないというところで引用しています。
1000人のうち数割は公正局の設立に賛成ではありませんから、1000という数値を公正局設立の論拠に用いるのは適切ではないと思います。また、字数制限をオーバーしています。
文科省のこのプログラムは殆ど効果があがらないと思います。呆れるばかりで怒りを感じます。人材育成プログラム内に入れられたようですが(この中の事業の多くは非常に問題があると私は思っています。アカデミアの今の体制構築の後押しをしたと思います)、元振興調整費、名前が変わって戦略推進費、更に 最近名前が変わったと思いますが、文科省、JSTとも担当部署は変わっていないのではないでしょうか(最近変わったのであ れば、ご指摘下さい)。同じであるならば担当は、ガチ議論スタッフがアクセスしている科学技術改革タスクフォース戦略室のある科学技術・学術政策局かと思います。局長は土屋さん。ガチ議論スタッフに再度戦略室官僚らとの面談要請します。
「研究不正の防止向けた取り組みと体制強化」が骨子になっており、このままでは時間とお金を浪費するだけのモノになりかねません.「研究費執行の厳格化」が会計システムをで硬直化させた事に学ばなくてはいけません.起きてしまった事例に厳格な処分がされる事が最大の予防効果を生みます.実例が示される事が大事で、すでに懸案の問題を抱えている東大その他の大学でモデルとなる裁定がなされるように研究者全体で促す事が肝要と思います.
(なぜか削除されたのでもう一度投稿)
>匿名で告発を受け付ける時に、それぞれの告発の真偽・重大性を確認するにはどのようにすれば良いでしょうか?
物証など客観的な証拠があるかどうかで確認すればいいと思います。もともと合理的理由のある告発で何の物証も付けずに告発するのはほとんどありません。
>現在でも、コピペなどの証拠が明らかなものについては、匿名の告発、あるいは匿名サイトへの書き込みだけで調査・処分が行われています。
匿名告発の扱いは研究機関によってまちまちで、調査するところもあればコピペ等の証拠があり、匿名告発の調査義務が規定されていても無視して調査しないところや藤井善隆事件のように学会等の指摘さえ調査しないこともあります。11jigen氏の九州大等に対する告発も調査しているのかわかりません。
コピペ等証拠があれば匿名告発でもきちんと調査するというのは現状ではあまり成り立っていないと思います。規定を恣意的に扱うことすらあるので、匿名でも調査義務を生じさせる拘束力のある規定を作るべきです。
>困ったことに告発者にインタビューすることもできません。・・・また、嘘の告発書を送ることで、競争相手の研究をストップさせることも可能です。
インタビューに関しては面会で行わなくても電話・メールなどの方法で行うこともできます。匿名でも連絡先を教示すれば十分ではないでしょうか。現在の文科省のガイドラインでは連絡先を教示しても告発の受理・調査状況・結果のいずれも伝えなくてよい規定になっています。秘匿する理由がわからないし、きちんと伝えなければどうなっているか全くわかりません。
また嘘の告発というのは、でっちあげによる告発、例えば論文のデータ等の証拠を捏造したり改ざんして告発するものになるでしょうが、そういうものは受理又はせいぜい予備調査といった簡単な審査の段階で嘘とわかるでしょうし、それほど負担はないと思います。
また告発手段を電子メール等に限れば現在は匿名でも特定できますし、告発者もそれなりにリスクを覚悟します。内容にもよりますが嘘の告発文書や資料を作るのも手間でしょうし、被告発者の研究をわずかにストップさせるためにわざわざそんな手間やリスクを負担してまで告発する人はほとんどいないと思います。
>いきなり、公正局が乗り込み、警察のように調査するのでしょうか?あるいは、各部局に調査するように命令するのでしょうか?
残念ですが現状ではいきなり公正局が調査するのも仕方ないと思います。井上明久事件等を見ればわかるように、研究機関が規定に違反して調査しようとしないこともあります。私の知る事例は井上のような学長ではなく低い地位の者への告発すら規定違反による不調査がありました。大学等が調査しようとしないのに”大学等の調査→不当なケースは公正局”というやり方で対処したらいつまでも解決しない事例が出ます。井上事件等を教訓にすれば1次的にも公正局が調査できる必要があります。
分子生物学会で研究不正問題が取りざたされた時に最初に取られた対策は「若手の教育」だと聞いています。今度は文科省が「PIの教育」をするのでしょうか。冊子を印刷したり発送したり、それだけでかなりの経費がかかると思いますが、実効性に関してはかなりの疑問符がつくと思います。今必要なのは、所属研究機関において捏造が認定された事案に関して、当該研究者への研究費の支給を停止するという前例を作る事なのではないかと思います。資金源が絶たれたら研究は出来ません。強力な抑止力になります。経費もほとんどかかりません。
研究者側から、そのような処置に対してどれぐらい反発があるのか、アンケートでも取ってみれば良いと思います。研究の自由や独立性を守るよりは、あの捏造研究者なんとかしてくれ、という声の方が大きいのではないかと思います。不思議な事に、捏造研究者は、ある程度の地位まで上りつめると、かえって大学側から守られているようにみえます。東北大学、筑波大学、群馬大学、琉球大学、学長の見識が問われています。汚名を着せられたり研究ができなくなったりするのは下っ端ばかり。皆さんはどうお考えでしょうか。
本日、公表された文科省の概算要求の資料
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2013/08/30/1339148_4.pdf
(のp.41から始まるp.50)に「研究不正に向けた取組」の要求が示されています。「考え方」として、「研究不正の防止に向けて、副大臣を座長とした『研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォース』を設 置し、これまでの不正事案に対する対応の総括を行うとともに、今後講じるべき具体的な対応策について検討。また、平成26年度概算要求に、研究倫理教育プログラムの開発や普及促進等に係る経費・体制強化を盛り込む。その際、日本学術会議とも連携しながら取組を推進。」と書かれています。「研究倫理教育プログラムの開発の支援」がほとんどを占め、あとは「研究倫理に関する調査研究」です。このサイトで議論している内容とは距離を感じます。
また、日本学術会議では、8月28日〜9月13日の間、会員・連携会員に「科学研究の健全性向上のために具体的に行うべきことに関する意見募集」を行っています。どのような意見が出されるのか?会員・連携会員には、このサイトを見ている人もいるでしょうから、積極的に意見が表明されることを期待しています。もちろん、私も意見を述べるつもりです。
以上、お知らせいたします。
文科省、厚労省をはじめ研究費を配る側の組織は、研究費は配りました。研究結果はウソでした、では、国民への説明がつかないでしょう。グラントを配分する組織が、misconductがなかったかどうかを調査、認定する仕組み(公正局)を作ることは必須であると思います。ただ、公正局が全てを監視、調査することは不可能でしょう。
米国のORIはNIH grantを受けている研究の監視機構で、それ以外の研究に関しては監視範囲外だと思っていましたが、間違っていますでしょうか?(参考:ORIのhomepageのcase report:http://ori.hhs.gov/case_summary)
米国でも最初のmisconductの発見は、個々の大学、研究機関です。NIH grantを受けると、研究者の所属する機関は、misconductを起こさせない、という書類に署名させられます。ここで責任は各機関に移ります。各機関も、機関に所属する研究者の誰かがmisconductを起こした場合、機関全体に研究費が来なくなるとたいへんなので、必死で管理、監視するようになるというわけです。現在でもmisconductや不正使用が発覚すれば、研究者個人へのペナルティはありますが、機関へのペナルティはありません。それを機関に拡張する必要があるのではないでしょうか。
misconductを見つけるのは各機関の委員会です。そこから公正局に報告がいき、公正局が認定すればmisconductが確定する。その報告、処理が適切であれば、研究機関は機関全体に研究費が来なくなるという最悪のペナルティは免れる。このような仕組みを作らねばならないのではないでしょうか。
「公正局」の必要性に関して、意見を述べさせていただきます。
これまでにもご指摘がありましたが、日本学術会議では2005年8月31日に、当時の黒川清会長のコメントで、「日本学術会議においては、科学者コミュニティを代表する立場から、科学者コミュニティの自立性を高めるために、関係諸機関と連携して、倫理活動を展開するとともに、ミスコンダクト審理裁定のための独立した機関を早い時期に設置することを検討すべきこと」と提言しています。このもとになった報告は
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-19-t1031-8.pdf
にあります。
その後、具体的にこの「審理裁定機関」設置の検討が行われたことはないと思います。8年間の怠慢の謗りを免れないでしょう。この報告では、「日本学術会議内に(あるいはそれに近接して)早い時期 に設置すること」を念頭に、審理裁定機関における調査のための人的資源には(専門性の観点からも)限界があるので、「科学者コミュニティの全面的協力によって充足されよう」としています。日本学術会議は、事務局では内閣府職員があたりますが、科学者を代表する会員210名は非常勤特別公務員という立場ですので、その中に調査機能をもつ常設機関を置くのは難しく、学術界の協力が必要ということにもなります。しかし、このような第三者機関をどこに置くにしても、対象が特定の個別分野に限られるわけではないので、学術界が積極的に協力できるような体制が必要であることは同じだと思います。
この「公正局」あるいは「審理裁定機関」の業務内容は、以下のようなものだと考えます。
○ 研究者およびその研究者の所属する研究機関における公正な研究活動の監視・指導
○ 国の助成によるものに限らず、一般の科学研究における不正(の疑義)の申立てを受理する窓口
○ 研究機関、学協会に対する調査の指示・調整、および審理手続きの監視
○ 調査結果に基づく裁定
構成員の条件については、なんといっても、学術界における公正で厳格な判断のできる人材ということだと思います。権威や権力に対向できる信念が求められるでしょう。
規模については、現在は明確な案を持っておりません。
匿名で告発を受け付ける時に、それぞれの告発の真偽・重大性を確認するにはどのようにすれば良いでしょうか?現在でも、コピペなどの証拠が明らかなものについては、匿名の告発、あるいは匿名サイトへの書き込みだけで調査・処分が行われています。しかし、今後はコピペは無くなるはずなので、証拠としては即座に判断できないものがほとんどになるはずです。
コピペが無い場合、告発書だけでは信ぴょう性があるかどうかについて判断できません。困ったことに告発者にインタビューすることもできません。その時、信ぴょう性について、どのように判断したら良いでしょう。おそらく公正局には多数の告発が持ちこまれるはずです。また、嘘の告発書を送ることで、競争相手の研究をストップさせることも可能です。
いきなり、公正局が乗り込み、警察のように調査するのでしょうか?あるいは、各部局に調査するように命令するのでしょうか?
この問題をどのようにしたら処理できるでしょう?これが解決できないと、公正局を作っても、過去のコピペはともかく、今後、機能しなくなります。良いアイデア、あるでしょうか?
また、他国の公正局が、匿名の告発を受け付けているのかどうかについて情報を持っている人はコメントをお願いします。
出るか出ないかは私も解りません。10億超えると少し壁があるかなと思っただけで、何の根拠もありません。
出ないなら尾崎さんの案に賛成です。
研究者の新たなキャリアパスと雇用の創出という意味では、悪くないかもしれませんが、20億円でますかね。不正がどの分野で起きるか解りませんので、専門性の高い構成員をフィックスして雇用するより流動性を持たせておいた方がよい気もします。
裁判までいったのは、学術界が処理しきれなかったからだと裁判官は認識すべきでしょう。専門家が証人として呼ばれることはあったのでしょうか。文系でもあ
る程度の理解力と状況からの判断で、それが故意によるものかどうかは解るものだと思います(正確な科学的な部分は理解できなくとも)。早稲田大学の回らない風車事件も最高裁まで行き、最高裁で訴えた側が勝ちました。
すべての分野に渡り専門家を公正局内に雇用することは難しいと考え、人数を5名から10名と考えました。実質的な調査に必要な専門家は、必要に応じ外部に依頼、不正の起きた大学にも最低半額は実費支払いもさせればよいと思います。
>私は、資金を出す側の組織内にそのような部署を作るのが理想だと思います。資金を出すか出さないかを決定できるのは資金を出す組織ですから。
上記の部分ですが、資金を出す側に取り締まる力があったならば、今のような事態にはなっていません。文科省内に設置するのであれば、拘束力のある罰則規定を細かくつくり、それが守られているかどうかは、検察にでも監視して頂く必要があると思います。『責任を持って自浄作用のある部署』をという言葉は、虚しく聞こえるだけですが。。
>この場合は、予算枠内で、雇用をすべて第三者機関で行うということでしょうか。
そうです。
拘束力のある実効的な規定を作る事は大変重要だと思います。
生命科学の分野ではありませんが、東北大学の金属ガラスに関する井上元総長の裁判で、複数の二重投稿、ならびに専門家から見て「あり得ない」データを連発しているにも関わらず、「論文の不正の疑いについては学術論争において決着を図るべきだ」との判断を裁判所が示したのを見て、その思いを強くしました。
ただ、公正局を作るにしても、おそらくその公正局の内部で科学的な事実に関する真贋を判断する事は出来ないでしょう。科学的に間違えているかどうかを判断するのは、所属機関の内部の人間、もしくは分野が非常に近い専門家にしか出来ません。余剰ポスドクを雇用してどれだけ目を光らせていても、単純なコピペは見抜けても、今後そのような稚拙なミスで尻尾をつかまれるような捏造者は出てこないでしょうから、無駄な投資です。
そういう意味で、disqus_on74D9uQ77さんの「匿名でも告発は受け付ける」という点は非常に重要かと思います。そして、しかるべき専門家(利害関係がなく高い見識を持つ専門家)を外部委員として調査委員会を開くべき旨を所属機関に通知する。この際、外部委員の選び方に問題があれば、それを指摘する。そして、とにかく資金源を絶つ。それだけの強制力を持てる機関の設立が必須です。基本的に、公正局は、強制力を持って調査を実行させる、調査のやり方に目を光らせる、不備があれば即刻研究資金の交付を停止する、その3つがあれば十分です。
私は、資金を出す側の組織内にそのような部署を作るのが理想だと思います。資金を出すか出さないかを決定できるのは資金を出す組織ですから。裁判所は自分たちで研究不正かどうか判断できないと言っています。ボールは渡されました。科学者のコミュニティーでなんとかしなくてはいけません。しかし科学者はなにも決定権は持っていません。文科省からも完全に独立な組織を作るというのも一案ですが、科学者のコミュニティーをこれまで一緒に作り上げてきたのは文科省です。責任を持って自浄作用のある部署を(それもなるべく独立性のある組織を)作るべきです。内閣府に丸投げするようなプライドのないような事はしないでください。
過去ログを見てどの質問かを把握しました。あの時点では校正局はいらないとの立場での発言でした。今回の私の提案はその後の事情の変化とアンケート結果を見て何らかの組織を作らざるを得ないとの立場に考えは変わっています。いずれにせよ外郭団体に関する議論はここではしません。
その他の部分は大旨賛成です。ここまで踏み込めるのであれば、ベストと思います。
この場合は、予算枠内で、雇用をすべて第三者機関で行うということでしょうか。
・指針ではなく拘束力のある実効的な規定を作る。不正の判断方法は”誤りが多い等杜撰なチェックの場合は故意とみなす”などある程度法廷証拠主義を採用する。規定は恣意的に例外を適用するなど骨抜きにならない形にする。
・告発は合理的な根拠が示されている場合は匿名でも調査義務を作る。匿名にすることで合理的理由に基づく告発を保護し、現在のパワハラ等で告発しにくい状態を改善する。顕名告発でも合理的な根拠のある場合は悪意とみなさず何ら不利益を与えないという拘束力のある規定を作る。
・匿名・顕名告発でも告発の受理・調査状況・結果をきちんと通知し、不正に関わらず論文等に誤りがあればそれを公表し、訂正・撤回を義務付ける拘束力のある規定を作る。
・誤りがありながら論文等の訂正・撤回を一定期間放置した者には、その行為を新たな不正とし罰則を与える拘束力のある規定を作る。
・不正の罰則については拘束力のある統一的な規定を作る。
・第三者調査機関は設置すべき。規模は50名程度、年間予算20億円程度、業務は大学等とは独立告発を受付、どのような分野でも強制的・客観的に不正を調査。
・外部評価や科研費の審査における業績評価(論文数の評価など)なども第三者調査機関の調査対象とし不適切な評価についてはやり直しや罰則、非違行為の公表、交付した予算の返還などを求める。
現在は告発が圧殺され、告発しても恣意的な規定の運用や調査で不正が見逃され、学術の信用失墜など大きな被害が出ている。さらに論文等の誤りが判明しても放置する背信的な者さえいる。業績評価も論文数を水増しした形で評価を行うなど不当な評価があり研究機関に指摘しても改善されない。こうした制度を作ることで現状の調査制度が改善し不正を防止できると考える。
5aはこれまで述べられた意見全員に共通と思います。
ところで少し話しが外れますが、麻薬Gメンやマルサはそこそこ機能しているように見えます(実状に詳しくないので、知らないだけかもしれませんが)。学術界のルールのようにザルではなく、少なくとも水際で食い止める努力が見られるような気がします。何故、これらは機能するのでしょうか。仕組みに詳しい方は教えて下さい。
きれいにまとめることができそうにないで、要点だけ箇条書きで…。
1)研究における捏造の防止と、「日本版ORI」の設立の根拠になる法律を作る。
2)その法律内に捏造の罰則規定をきっちり定めるまた研究費変化強制化。
2a)刑事罰なら○年以下の懲役など。研究費の強制返還も定める。
2b)所有している資格(医師免許など)は、取り消しも含める。
3)文科省の下においてもいいが、立場としては麻薬Gメンやマルサのような位置。
4)告発は件名が原則だが、罰則付き守秘義務が発生。
5)構成員はできるだけ多いほうがよい。ポスドクは余ってますから、血眼になって捜すことができるのでは。
5a)役人やご老公の天下りは絶対反対。
了解です。
この点についてお答えできるものを私は持っていません.
自分で投稿したコメントに関しては、そのコメントのところにカーソルを持って行ったときに現れる右上のプルダウンメニューからDeleteを選んで消すことが出来るようです。ですので、投稿された方がコメントを削除されたのかもしれません。ログは残していないのでこちらから確認は出来ませんが、ご本人の意志、ということでご了承ください。
いずれも『捏造にもっと怒りを』のスレッドです。それほど前ではなく、最近の武市先生との議論の前です。どちらも文科省には都合の悪い内容でしたので、敢て消去されたのかと思いました。もっと正確に解りましたら、後日このサイトにあげます。
>ちなみに、ペナルティーが働いてない事例が別のスレッドで報告されていたかと思いますが、何故それを消されたのでしょうか。
>プログラムの問題点を指摘した部分も消されていました。
この点に関してですが、どの部分ですか?スタッフの方ではこちらに寄せられた意見についてこれまで削除等を行ったことはありません。Disqusのバグ、もしくはサイト攻撃(?)の可能性があるので、いつ頃のコメントか教えて頂けると助かります。
ガチ議論スタッフ
研究者の所属機関は研究者の雇用者,研究資金の受け入れ者として適切な執行に責任を負うという事です.問題が指摘されたらまず最初にアクションをとる立場にあるという事です.
Hayashiさんのコメントを受けてです。日本の現状は、日本国内だけでなく、海外広くに知れ渡っています。結局、これまでの経理不正、データ捏造不正等の学術界の問題は、どれも関係省が処理できたのではなく逮捕という形で、検察、警察が出てくるところまできました。大学や文科省の早めの対応があれば、逮捕までいかずにすんだはずです。ペナルティーの取り決めをしたのであれば、それを実行すればよかっただけと思います。しかし、これまでどの程度の実効性があったのでしょうか。これをチェックする機関が文科省管轄で機能しないのは、明らかなことかと思います。
ちなみに、ペナルティーが働いてない事例が別のスレッドで報告されていたかと思いますが、何故それを消されたのでしょうか。実名を伏せる形での掲載も可能です。また、文科省の人材育成
プログラムの問題点を指摘した部分も消されていました。反論がある場合は、その場での反論を期待します。最適化とは、ある程度何かのバランスを考慮しなければならない時に使う言葉かと思います。本件には当てはまりません。
原発の放射能処理も同じ構図ですが、諸外国の対応として、敢て喧嘩を売るようなこともしないですが、学術界に本気の解決が見られない場合は、少なくとも研究開発、ビジネスという視点からはなんら信用回復にはならず(基礎研究分野も同様と思います。海外との連携といっても単に双方に都合のよい集団内での活動で終わる可能性が高くなります。対等な関係とも言えないでしょう)、欧米にしてもアジアにしても信頼できるパートナーとしてのポジションから外れていくということかと思います。それは経済政策、科学技術外交政策も不発に終わるということです。
>1. 研究不正に対する調査,処分の一次的な責任を負うのは研究者の所属機関(大学,独法).
1次的な責任とは具体的にはどのようなものでしょうか。
以前に別のスレッドでも質問させて頂きましたが、まだ、回答を頂いてないと思います。文科省管轄下には多くの外郭団体があります。そこが公正局に相当する役割を担うことはできたはずです(部署として、それらしきものもあります)。にも関わらず、何故、長きに渡り公正性が保てず、ここまできたと思われますか?
大学・独法を指揮監督し、予算配分をする行政実体は文科省なので、ORIは文科省下に置く事から考えるべきかと思います.おそらく指摘される点は文科省の職員が入る事で調査が手ぬるくなる可能性でしょう。独立性と調査・指揮能力を高く持たせる事との要求を満たす最適化と言う点で考えるべきです.どこに置くのが組織として一番うまくいくのかは省庁の実務者側の実感と本音を聞きつつ考える事が必要でしょう.
仮称ORIは、文科省下で、大学等独法の上位機関という位置づけでしょうか。
具体案を,との事なので私がこれまで述べた論旨に沿って研究不正への対応策の大枠を提案します.尾崎さんの提案はあえて読まずに書きました.
不正問題は新聞を賑わす大規模な捏造に対して遠山の金さんが立ち向かうような派手な例だけではありません.日常的に起きうるさまざまな事象に対応して不正の芽を小さなうちに摘み取る事が必要です.このようなレベルの問題にまで対応できるのは当該機関以外にはないと私は考えます.小さな不正を早期に正す事により組織の規律が育まれます.組織の自立的な自浄作用を促すために,上位機関としてORI(仮称)を置き指揮、監督、指導を行う事とする.研究機関が不正に対する規律に欠けると判断すれば、大学評価,運営交付金などに反映させる.
1. 研究不正に対する調査,処分の一次的な責任を負うのは研究者の所属機関(大学,独法).
2. 大学・独法の上位機間としてORIを置き、大学へ調査の依頼,調査,処分結果の報告を受けて適切な指揮・監督・指導を行う.
3. 大学・独法での調査が十分に行われないと判断される場合(大学トップが関わる問題など)、ORIは直接調査を行う事ができる.
4. 不正の告発は所属機関,ORIいずれでも受け付ける.両者の間で告発情報は互いに共有する.
5. ORIには高度な専門的知識と解析能力を有する専任スタッフを採用する.10名程度(?).どのようなオフィスが適当なのかはこれからの議論で詰めてほしいと思いますので、細かい採用条件などはまだここでは定めない.
ガチ議論サイトのこれまでの議論および学会アンケート結果を考え合わせると、何らかの形で公正局が必要と考える。関わりたくない案件であるにも関わらず、アンケートに1000名近い回答があったことはその関心の高さを示すと思う(官学恊働によるこれまでのアンケート回答やパブコメ数を集める仕組みに比べれば健全かつ決して低い数字ではない)。また、不正が個人の問題であったとしても職階の高い研究者が関与している場合、学術界の構造上の問題と切り離せず、組織ぐるみの不正となりやすい状況が明らかにある。
よって、『第3機関としての公正局の存在は必須』と考える。本来、このような組織は、学術界の要望を募って設立されるようなものではなく、国家予算を健全かつ有効に運用したい側が、コンセンサスを得るまでもなく制度として構築しなければならない性質のものである。よって、以下のような案はどうかと思う。
規模:5〜10名程度 予算規模:年間5億円程度(経済効果の全く期待できない研究費への配分を回せば、この行為だけで、課題の有効な運用と経済効果が見込める)
構成員の条件:トップは科学技術の健全な発展のために尽力できる公正性に対する感覚を有するもの。学術界、官界以外の産業界か検察、法曹、或は司法界出身者がのぞましい。現役研究者あるいはすでに何らかの役職、名誉職(アカデミア役職者、日本学術会議、総合科学技術会議、トップダウン予算委員会委員等)にあるものは必ず除く。年齢は原則55歳まで、定年退職時の異動は不可。構成員内に元研究者(PI経験者)を入れる。着任後は永久に研究費申請資格を失うことに同意する。
構成員とは、一貫した公正性、秘密保持等における要求を厳格に約束した契約を交わす(できれは法的に縛る。現在検討中の特定秘密保護法内扱いとしてもよい)。代わりに、それ相当の待遇と身分を保証する。構成員の働きの質は管理される必要があり、その評価は別の機関が行う(例えば公正局が文科省外に設置された場合は、文科省が評価してもよく、文科省内に設置されるのであれば、文科省外の機関に評価を依頼する)。
業務内容:シンガポール宣言にある項目すべてあり、活動原則は、1)研究全ての側面における誠実性、2)研究実施における説明責任、3)他者との恊働における専門家としての礼儀および公正性、4)他者の代表としての研究の適切な管理、を実行するための業務である。
不正の芽(告発)があった場合は、早いうちに受付、真に公正な立場で調整を行う。現状、被疑者が高い職階にある場合、公正な調査にならず、その結果も淡々と公開され、議論されていくという状況にない。公正局に調査強制力を持たせることにより、現在問題になっている告発の困難さ、調査結果が公表されない、トップが被疑者の場合公正な調査にならない、結果が出ても処分されないといったことが速やかに行われるようになる。この業務を事務的に行うことは『研究の自由や独立性』を妨げるものではない。公的予算を使用しているからには、その運用状況を公正に判断されるのは当然のことであり、一部の官僚や研究者の好き放題になることの方がおかしい。その違いは明確に区別され議論されるべきである。
更に当面対応が『急務』な作業は、1)疑義のある公表された論文の真偽を明らかにすることである。なぜならば、公表された論文をもとに次が積み上げられていく訳だが、国内外問わず基礎研究分野だけでなく多くの業界に被害がおよぶ。もう一点は、2)大型研究費のピュアレビューを評価し、不適切な評価者を排除することである。この部分が改善されなければ、不正の連鎖は止まらない。また、過度の予算集中(これも文書が作成されただけで実行されていない)は、科学技術予算がいくらあっても有効に使われることはない。
今回文科省内に形だけの公正局が設立され、すべてが隠蔽されていくことがないことを願う。