2017.06.08 トピックス
研究者の声はどうすれば届くのか?
自民党の河野太郎議員の一連の活動が研究者の間で話題になっています。研究者が自らの所属する研究機関や文部科学省に対していくら意見を述べても全く変わらなかった慣行が、議員の一声で実効的なアクションとして私たちの研究環境を改善したわけです[1, 2]。研究機関のローカルルール問題は、このガチ議論でも、そしてもっと古くから様々な場で研究者が訴えてきましたが、研究費の不正使用などの問題が起こる度に肥大化し、研究環境は悪化の一途をたどってきました。研究者の負担を増やす変化については誰も問題視しなかったわけです。今回の教訓は、文科省は国会議員の意見に対しては速やかに対応するということでしょう。
河野議員は科学技術行政については文科省不要論を出されていますが、一方で今後は内閣府の総合科学技術・イノベーション会議が科学技術政策を主導すべきとも主張されています[3]。内閣府といえば、つい最近、科学的にはナンセンスな予備的成果を企業と共に社会にアピールするという出来事が批判的に報道され、ImPACTは本当にサイエンスに基づいた事業なのかが話題になりました[4, 5]。上記の五月祭イベントでも筋悪の研究への集中投資の例としてやり玉に挙がっていたようです。
最近では大学を再編成し、「役に立つ」大学を目指そうという動きも活発で、地方ではそうした試みが具体的にはじまる兆しがあります。このままではアカデミアとしての大学はますます規模が縮小しそうです[6, 7, 8]。我が国における基礎研究力の低下は様々な場で可視化、指摘されていますが、これまでの政策の問題点を振り返る試みは殆ど見当たりません[9,10]。科学研究衰退に対する処方箋も「オープンイノベーション」に代表されるキーワード先行で具体性に欠けます。そもそも基礎研究力の低下が政府にどの程度深刻に受け止められているかは定かではありません。
こうした最近の一連の変化を見ると、研究者の存在感が感じられません。科学研究は研究者がいなければできませんが、その枠組みや方向性の決定において、研究者の最大公約数的な意見を反映する仕組みはないようです。五月祭イベントのレポートのタイトルも「大学研究の現場から声をあげよ」です。
そもそも、科学者の意見を代表する組織はあるのでしょうか?
日本学術会議は公的に承認されている唯一の科学者を代表する組織です。しかしながら、Webサイトをご覧いただきたいのですが、ガチ議論で繰り返し表れてきたトピックとは関心の方向が違うようです。日本学術会議には若手アカデミーという組織があるのですが、若手研究者のみなさまでご存知の方はどのくらいいらっしゃるでしょう。旧ガチ議論で文科省の斉藤さんから助言がありましたが、研究環境を改善するためには「研究者の声」が散発的にあるだけでは駄目で、これを届け、政策につなげる仕組みが必要です。ノーベル賞受賞者の声で変わらないことが、掲示板の議論で変わるわけがありません。現状は「科学顧問」的な立場の科学者も、科学者を代表してと言うよりはむしろ個人の考えを述べる傾向が強く、肝腎なところで影響力が発揮できていないようにも見えます。もっと連携する仕組みが必要です。
科学者の意見を代表するといえば、Researchmapは個々の研究者の「名刺」として機能を充実させており、ジャンルを超えた研究者の場として存在感を増しています。研究者の声はResearchmapと連携することにより集められないでしょうか。誰がどんなアンケートを作るのかという問題が生じそうですが、相応しい人を探すという方向ではなく、「私が日本版AAAS」くらいの気持ちでボランタリーに始めてみてはいかがでしょうか?軌道修正はこの掲示板でも議論できます。楽観的ですが、うまくいかなければ、その経験を活かしてどんどんプレイヤーが交代すれば良いのではないでしょうか。みなさまのご意見をお待ちしております。
田中 智之
1. 河野太郎公式サイト:「お花見中の研究者の皆様へ」
https://www.taro.org
2. 河野太郎・瀧本哲史対談「大学研究の現場から声を上げよ」五月祭イベントレポート
https://lab-on.jp/article/26
3. 文科省国立大「現役出向」241人リスト#3
http://bunshun.jp/articles/-/2254
4. チョコで脳の若返り?大いに疑問な予備実験での記者会見
https://news.yahoo.co.jp/byline/takumamasako/20170201-00067091/
5. 日本の科学はここまで墜ちた!?明示のチョコ若返り宣伝に見る”お墨付き”効果
http://www.foocom.net/column/editor/15801/
6. 私大振興、国公立の枠越えた協力提言 文科省有識者会議
http://www.sankei.com/life/news/170425/lif1704250041-n1.html
7. 地方大学で即戦力育成=地元経済人を登用-安倍首相表明
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017053101132&g=soc
8. 「スクラップ&ビルドを」大学改革を議論、経済財政諮問会議
https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/523892/
9. 日本の科学研究はこの10年間で失速していて、科学界のエリートとしての地位が脅かされていることが、Nature Index 2017日本版から明らかに
http://www.natureasia.com/ja-jp/info/press-releases/detail/8622
10. 被引用多い論文数、国別10位に後退 科技白書で指摘
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG02H17_S7A600C1CR0000/
上記の意見は、筆者個人のものであり、その所属とは無関係です。また、ガチ議論スタッフの意見を代表するものでもありません。
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http://www.nistep.go.jp/archives/36699
この調査の対象がたったの1万4千人ということは、やっぱメンテされてないアカウントが大半なんじゃ・・・
日本学術会議すら、暇な文系研究者やおじいちゃんたちの政治的な主張が幅をきかせているように感じられて全く賛同できません(大学研究者は防衛省からの予算を受け取ってはいけないという声明だの、原発後に文系学者たちが出した提言だの・・・)。研究しない暇な学者が役員を独占し、研究してないがためになにが研究の妨げなのかも理解できない連中が浮き世離れした主張を繰り返す団体が一つ増えるだけでしょう。
Researchmapへの情報の統合を研究者の多くが望んでいるということを、Researchmapのアンケートで示すというのはどうでしょうか?研究者の名刺代わりのサービスは既にたくさんあることは事実ですが、国内の研究者の職位や年齢といった情報とクロス集計する上では国産データベースが欠かせません。
また、日本版AAASを結成することについてどの程度ポジティブな意見があるのかも興味があります。仮に22万人のうち1割が関心を持てば、2万人超のバーチャルな団体が突如出現するわけです。専従の職員となる方のキャリアパスが一番心配なことなのですが、例えば、そういう経験は大学のURAの資質としてアピールできないものでしょうか。ガチ議論もそうですが、文科省やScience Talks、あるいは若手アカデミーといった場で研究環境について議論するネットワークとつながる機会も得られます。
Twitterの新井紀子先生のコメントを通じて認識したのですが、Researchmapは新井先生をはじめとするボランタリーな努力によって支えられていて、まだオフィシャルに支援されているというわけではないとのことです(誤解している方は多いのではないでしょうか)。科学者が連携するフォーマットとしての可能性について、今のタイミングで関係者のみなさんの思いをお話しいただくという機会があればと思いました。
Twitterで教えていただいた情報ですが、平成25年のJSTの調査研究が参考になるかもしれません。ReaDとResearchmapのユーザー122,000人を対象にメールで調査を実施し、7,908人の有効回答を得ています。6.5%です。科学コミュニケーションに関する設問ですので、テーマによってはもう少し回答率はあがるのではという気もします。
研究者による科学コミュニケーション活動に関するアンケート調査報告書の概要http://www.jst.go.jp/pr/info/info970/besshi.html
大学行政、科学技術行政には、異常にムダが多いというか、改善できる点が容易にバンバン見つかってくるので、行政改革にやりがいを見出されている方であれば、それだけで相当やりがいがある仕事なのでは、と思います。それを鶴の一声で改善し、感謝の声がネットで大量にどっとくれば、モチベーションも相当湧くのではないでしょうか。
研究者を国会に送り込むことがもしできれば、それにこしたことはないですね。科学技術立国としてしかやっていけない国であるとすれば、ある程度の割合で、研究者出身の人がいたほうがよいだろうとは、一国民の立場からしても思います。
1ですが、科研費の業績欄とのリンクのシステムができると、どっと増えるでしょうね。他にも以下のようなことでも増えると思います。
・大学で、自前の研究者データベースをつくるのでなく、Rmapを使うようにしているところが増えていると思います。より多くの大学がそうなれば、登録者は増えます。
・大学・研究機関での人材募集の公募で、RmapのURLを指定するだけでよい、という公募が増えれば、増えると思います。
2については、全員にメールを送ることができれば、その1/10くらいは回答するのではないでしょうか。1万人回答があれば、たいへん重要な意味をもつということになります。1000人くらいからの回答でも、かなり有用かと。
あと、「安定したポジションの案」「安定した基盤的研究費」「単年度予算制度について」とかについてのアンケートとかであれば、それだけで回答数はかなり多くなるのでは。自分から回答したくなるようなアンケートだけでも十分有用なのではないかという気もします。
いえいえ、研究者全員がモチベーションをもって加わることができるものを構想しないといけないと思います。貴重なご意見です。
別のところに書きましたが、基盤的経費の減少のために最低限の教育すらできなくなっているのが現状です。実験科学を通じて人材育成することがミッションなのに、実験ができない、これが実態です。あえて思い切ったことを発言すると、何のために大学教員であるのかよく判らない状況ということです。学生に対して責任を持つことが難しくなっているという声はよく耳にします。
私自身は大学では人材育成に必要な経費は最低限保証されるべきという考えなのですが、そんなこととはお構いなしに教育環境の荒廃が進んでいます。こうした問題も研究者団体で議論すべきだと思います。
そういうイメージもありますね。ともかく、日本の大学では、研究者がその種の活動にわるいイメージを持ちすぎではないかと。それが、結局、自分たちのクビをしめてきたということかと思います。
お金を払うだけのメリットを感じてもらえるかどうかですね。匿名Nさんがおっしゃるように若手は特に。よほどのアイデア、戦略がないと厳しいような気がします。研究者が片手間にやって可能なレベルのバーチャルなもので、まず何か実績をだすことが必要な気がします。
田中先生の言われる、「お金の問題を回避していては、実現性のある議論にならないのでは」というのは、もっともで、おそらく、団体を組織して活動と言うことになれば、研究者が片手間というわけには行かないですから、そこらへんは、専任職員を置くとか必要性がでてきます。会費も必要でしょう。「心ある安定ポジションの方は会費を出」してくれると思います。
問題は、その団体へ、若手が参画していけるかな?というところです。若手問題の困るところは、財源の問題がありますから、若手問題を解決しようとすると、シニア層の早期退職等が同時に議論されることになると思います。つまり利益相反状態になってしまうのです。
そうするとお金を出している大半のシニア層は、若手問題は棚上げして、研究費のほうだけを問題にする。若手は参加しても何の利益もないから、参加しない。お金払うだけ無駄。と推移しそうです。
このトピックの趣旨からだいぶ外れてしまったので、ちょっと、若手問題については、以降、自粛します。
説明が前後してしまいました。私自身の実感ですが、研究者が片手間にやって間に合うような話ではないところが難しいところです。専従の方がいて、なおかつそれがキャリアとして成立することが理想です。志をもって誰かが犠牲になるのだという威勢の良い意見も聞きますが、危なっかしい話です。お金の問題を回避していては、実現性のある議論にならないのでは…という気持ちからでした。
安定ポジションの方の中にも若手育成が環境的に難しくなっていることに対して憂慮されている方は多いです。師の背中を見て、自分もいつかは研究者の育成に関わりたいと思っていた中堅研究者は、今や自分の命脈を保つことで必死にならざるを得ません。心ある安定ポジションの方は会費を出すのではというのは甘い見方でしょうか。
>会費をベースに運営して
とりあえず、この点だけ、先に。コメントしたいのですが、任期付きの安月給なので、会費とか、勘弁してほしいです。なんだか研究者の職能団体っていうのは、安定ポジションの先生方の為の政治団体ということになってしまいそうな予感がします。
まぁ、なんでもかんでも、安定ポジションのシニアの先生方VS雇用不安のある若手という対立軸にしてしまうのは、私の悪い癖ですが。
よく○師会は、立場がいろんな人がいるので、一枚岩になれないなんて言われてますが、研究者も同じかもしれません。
1.Researchmapは本当に強力なツールとなり得るのか?
researchmap、現在20万人登録とのことですが、そのうち、本人が比較的活発に更新されているアカウント数って、どれぐらいなんでしょうか?全然更新されていない研究者データがかなり多数なのでは?と感じています。
メールアドレスを登録していなかったり、異動などでメールアドレスが変更になっても放置されていたりというアカウントもあるのではないでしょうか。
現状、researchmap以外に、これに相当するインフラは国内では思い当たりません。今回、researchmapと科研費の業績欄のリンクが実現すると、多くの研究者がデータ更新するでしょうから、良い機会になりそうです。科研費応募しないという人はどうしましょうか。
2.そもそもインターネット経由のアンケートってそんなに意見集まるの?
たとえば、大学の同窓会組織とかで、「専用HPを用意してあるので、住所変更などがあった際には、変更登録してくださいね」と言っても、ほとんどの人は忘れてしまうとか、変更登録の必要性を感じなかったりとかで、活用されません。
そもそもこのサイトも、わりと見られているにしては、意見の書き込みは少ないのではないでしょうかね。
学会がたまに配信するアンケートの御願い(男女共同参画とか年会のアンケートとか)がありますが、どれぐらいの数配信して、回収率はどれぐらいなのでしょうか。
でも、企業さんがよくやるような○×プレゼントキャンペーンなどだと、(重複もあるでしょうか)おそろしく多数の登録があるのではないかと思います。
そうなると、能動的に意見をだしてもらうのは、なんらかのインセンティブがないと母数を確保できないかなと思います。
意見登録にポイント付けて、ポイントに応じて所属学会でいいことがあるとか。。。ポイントがたまったら、QUOカードと交換できるとか。。。
匿名Nさんからいろいろ興味深いご意見をいただいております。返信にするとピックアップしにくいので、もう一度上げます。
持続可能な発展ということが最近話題になっていますが、社会のあり方も変わろうとしています。政治の意思決定においても、判断の根拠に何を選択するのかという点で、科学者がサポートできることはたくさんあると思います。より説得力のある政策提案ができるようになると思います。
やや楽観的な見通しですが、政治家にとって優れた科学者と良い関係をもつことは武器になるように思います。票田の提供も重要なのですが、政治家としての特徴を科学にも求めたいという方がいないでしょうか?
卵が先かニワトリが先かですが、研究者を国会に送り込むには母体となる職能団体が必要ですね。Researchmapでアンケートをとって賛同する方が多ければ、会費をベースに運営していけると思いますが…
「そうした活動は容易に本業を圧迫する」ということもかなりあるでしょうね。そもそもたいていの研究者、忙しすぎで、そのようなモチベーションが仮にあったとしても、現実問題として、割く時間・労力を持ち合わせていない、ということがあるかと思います。
その種の活動に研究者コミュニティが労力をかけてこなかった結果として、今現在、様々なことが、さらに輪をかけて「本業を圧迫」して、いっそう状況が悪化している、ということでしょうね。
ネットをうまくつかってバーチャルに活動することで、あまり労力をかけず、そのような活動を行うことができればよいのですが。そういう意味でも、Researchmap活用が一押し、ということになります。
>大学関係者には昭和の学生運動の記憶
この感覚って、私ども(40歳ぐらい)の年代だと、まったく思い至らない点でした。田中先生のおっしゃる「政治的な問題と科学とは距離を置くべき」というのもここらへんから来るんでしょうね。そういえば、退官講義で多くの先生が「自分が研究室配属になったとき安田講堂で立てこもりが云々・・・」って言ってますね。
私どもの年代だと、政治団体って、「選挙のたびに、いろんな会合に顔を出して、候補者の名前を連呼するあの方たち」っていうイメージがあるので、正直関わりたくないなぁ、と思います。
研究者コミュニティみんなが河野太郎氏に投票するしかない!と思ったが、河野太郎氏は、神奈川15区の小選挙区で、神奈川15区に住民票のある研究者ってあんまりいないでしょうね。
河野太郎氏的政治家を探す必要がありますが、現状、科学行政関連について公約としてあげてくれている政治家さん、候補者さんはいないですね。いらっしゃったとしても、研究者コミュニティの選挙活動で当選に導けるかどうか、疑問ですね。無理でしょう。
政治活動している暇があったら実験しろ、選挙行ってる暇があったら、実験しろって、ボスが言いそうです。
さてそしたら、どうするか。
安定的に当選する力のある政治家さんで、科学行政関連に興味を持ってくれる方をさがして現状をレクチャーして危機感を持ってもらうか。河野太郎氏に、そういう人物の紹介を頼むとか。
それでも問題なのは、その政治家さんに対して、科学行政関連に取り組むことのベネフィットをどうやって示すのかという点。「大局観を持って科学行政に取り組み、日本の将来をまじめに考えています」なんていう政治家さんがいらっしゃればいいですが、普通、政治家さんに陳情するという行為には票を差し出しますという利益が伴いますね。
そう考えると、河野太郎氏の一連の行動の原動力はいったい何なのだろう?と不思議に思います。
河野太郎氏には失礼ですが、今回の一連の河野太郎氏の行動は、「基礎科学力の発展」という視点より、「行政改革」に尽力していますというアピールになるということのほうが、大きいのではないでしょうかね。
科学行政関連の無駄を省く行政改革であれば、システム的に巨大でないし、広く一般国民に対する影響は少ないので、行政サイドも案外簡単に対応してくれそうですから、「行政改革に取り組んでます」という実績作りには、ぴったりだったのでは、と思います。
やっぱり、本職の人が国会に行かないと、真に科学技術の発展が重要というスタンスから行動できないのではないでしょうか。医師会や看護師会は、医師や看護師を国会に送り込んでますから、研究者も、研究者を国会に送り込む必要がありそうです。
そういう考え方もありますね(笑)。河野太郎さん的政治家が、安定的・持続的に輩出されてくるシステムがもしあれば、それでよいかもしれません。それをどう仕組み化するかが重要かと。
それ、とても大切だと思います。ただ、大学関係者には昭和の学生運動の記憶が残っており、そのような活動と特定の政治主張が強く結びつきすぎてしまっており、ある種のトラウマのようになって避けられがち、ということがあるように思います。多様な意見、多様な立場を尊重・許容できる一方で(「中立」とか「中道」というのとはまた違う)、共有できる意見(例えば、安定した研究費の件や、単年度予算の件など)はきちんと主張できるような団体ができればよいのですが。
医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護師会などいろいろありますが、行政を動かすには、政治団体がないとどうにもならないだろうなぁ、と思います。また、その政治団体に力がない(票田にならない)と、なかなか影響力を発揮できないですね。
研究コミュニティに政治団体がないのは、政治的な問題と距離を置くべきと言う感覚よりも、そういった活動に興味がないと言った方が正しいのではないでしょうか。研究者は、そういった活動より、自分の研究をしたいですからね。現実問題として、そうした活動は容易に本業を圧迫するでしょう。研究費の配分とか若手研究者の問題とかいろいろあるけれど、自分は今の制度の下で細々と自分の研究を続けられれば良いと考える研究者が圧倒的多数だと思います。
田中先生や宮川先生のような方はこの業界では希有な存在と言えると思います。
河野太郎でいいんじゃね?
医師や薬剤師は職能団体を持っていますが、研究者にはないのは、やはり政治的な問題と科学とは距離を置くべきという感覚が強いのでしょうか?予算や環境の問題は政治的としか言いようがないですが。
アンケート機能自体は、Rmapのユーザーであれば、誰でも使うことができます。登録ユーザー全員にメールを送ることは、管理者しかできないはずで、それには決まった手続きというのはまだないのではないでしょうか。ですので、「そうした利用の方向性を今後要望していく必要がある」ということだと思います。
Researchmapのシステムを一般の研究者や、あるいはグループが利用する上ではどのような手続きが必要なのか、ご教示いただきたいです。あるいはそうした利用の方向性を今後要望していく必要があるということでしょうか。
NISTEPの定点調査では、今回は回答者の層による相違が分かりやすく示されています。例えば、現場の教員は若手育成環境の危機を訴えている一方で、学長クラスは現状で十分という認識です。
http://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads/NISTEP-NR171-SummaryJ.pdf
こうした認識のギャップを埋めるためには、研究者の代表が意見を述べる場合に、容易に参照できるような研究者の声のまとめが必要だと思います。NISTEPの調査の回答者は科学政策に関心をもつ層が多いので、より広い意見を拾うのであればResearchmapは有用です。
アンケートを作成し、分析することは、日本の科学政策を対象としたひとつの研究課題として捉えることもできると思います。
研究者の政治団体をつくって、国会議員を送り込むしかないのではないでしょうか。
研究者の意見を集約するために、Researchmapを活用する仕組みをもっと整備する、というのが良いと思います。実は、これ、もう7年も前に、総合科学技術会議の会で提案しまして、それが一つのきっかけとなって、予算をかなりつけていただいて、ReaDとResearchmapが統合されたという経緯があります。
http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/syutyo/100320osaka.html
http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/syutyo/20100320osaka/miyakawa1-4.pdf
Researchmap には、20万人もの研究者が登録されており、一斉にメールを送ってアンケート実施し、意見集約ができるという事実は、おそろしく強力です。
ただ、残念ながら、まだこのコンセプトの実現には至っていないです。
これを実現するためには、
1. Researchmapのアンケート機能で、クロス集計を容易にするなどの機能充実、
2. (迷惑メールみたいなのがたくさんきても困るので)全員にアンケートのお願いのメールを送る際のプロトコルの確立(しかるべき委員会などでのアンケート内容についての審査が必要でしょう)
の2点が少なくとも必要であるように思います。
このあたりは、誰かが本気になれば、実現は可能ではないでしょうか。