インタビュー:内閣府 総合科学技術会議 常勤議員 原山 優子 氏
総合科学技術会議とは
ここ今、内閣府なんですけれども、内閣府のヘッドは総理であって、総理がヘッドの場所にいて科学技術の政策を作っていくっていうのが、まあ、必要性が言われていて、で、そういう仕掛けを作った。それが総合科学技術会議という、長ったらしい、、会議というものなんですけれども。一番大きな役割というのが、科学技術基本計画というのがあるんですが、5年ごとに、日本が何をすべきかという中期ビジョンですね、それを作り上げて、その中から具体的なアクションを、何を取ったらよいかということをこみこだし??(0:39)して、それを方針として作っていくと。全体像というものを把握しながら、このへんはもっと強化すべきだ。このへんは必要ないんじゃないか、そういう形でもって全体像を見回すというのも、我々の役目。
科学技術基本計画はどうやってきめるのか
えいやっで決めるわけにはいかない、、、今、第4期の基本計画があるんですけれども、第5期を作るときにどうすればよいのか、今、少し、準備始めています。その時に、第4期でまず何をやったのかということをアセスメントしなくてはいけないし、国際的な動向を調査しなくてはいけないし、何がこれからのトレンドかという先読みもしなくてはいけない。で、今回は、これまでの反省事項も踏まえて、なるべくしっかりとした基礎調査をしたいと思います。
日本の研究このままでいいのか?
どちらかというと、日本はインターナショナルなコミュニティーの中でいうと、ちょっと引いているところがあるという風に言われます。たとえば国際共著論文が他の国と比べると非常に少ないし、国立大学そのものの、研究組織体、動かし方、マネジメントの仕方。で、今、安定性もその少しずつ崩れつつありますよね。大学にいたからといって担保されるわけではありませんし、そういう状況にあってやはりこれまでの継承したやり方で、やり方を継承しながら、環境の変化に対応しきれるかというとなかなか難しいんじゃないかなっていう認識があります。今の状況をそのまんま続けるって事は、そのままだんだん衰退していく道しかないような気がするんですね。だから、このトレンドを変える刺激剤っていうのが、必要じゃないかという認識。
若手研究者の雇用問題の未来は?
テニュアトラックに関しても、テニュアトラックという概念はあんまり日本にはなかったじゃないですか。アメリカの、まさにポストドクのシステムっていうのは、ポストドクで閉じているわけではなくて、テニュアトラックっていうものが存在してその前段階としてポストドクがあって、それは大学だけの問題じゃなくて、企業体の雇用のシステム、あるいはプロモーションのシステムっていうのが、これまで通り変わらなかったいくら大学だけ一人で変わったところで、ここで行ったり来たりする人って言うのが出てくるわけですよね。大学のキャリアだって、ポジションというのはだんだんシュリンクしているのであって、定年も延長しちゃったからさ、わりとがちっとなっているわけですよ。そういう前提の中でどう回していくかっていう話なんで。(私の)立場から言うとある程度理想論を言わなくっちゃいけないし、なるべくならすぐ現実化したいんだけれども、ここで言った方針というのは、次のレベルでは省が咀嚼してそれを具体的なものに落とし込んで、具体的に落とし込んだものを省そのものがまたある程度他の機関に委託して、それまた具体的なプロポーザルになって、それに対して研究者が手を挙げるわけですよ。レイヤーが何段階もあるんですよ。そうすると、もしもし電話じゃないですけれども、必ずここの趣旨っていうのが、どこまで残っているかっていうと、結構消えちゃうんですよ。ひとつのやり方というのは、こちら(上)が全部把握しているんじゃ無くって、こっちから(下から)上げる、情報を上げるチャネルが必要だと思う。
日本の研究このままでいいのか?その2
今のやり方がベストであるとは誰も思っていないと思うんですよ。今おっしゃったように、どういう他のやり方があるかっていうのが、なかなかアイデアが出てこないですし、知恵不足だ、アイデアが出ても実践できない、立場上なんか動けないとかあって、だからそれは壊さなくちゃいけないわけね。トライアルエラーだと思うんです。研究者の方がね、自分の分野の話だけでなくてね、それを乗り越えた形で、じゃあこの研究というのは日本の国内を見たときに、世界の中でどういう位置づけにあって、、、と、やっぱり発言して下さればいいと思うんです。今、発言できるっていうチャンネル、その、増えていますよね。いろいろとありますよね。学会の中での議論というものを、その、やっぱり一つのきっかけですよね、会員の方が集まるし。これまでは自分で認識していなかったんだけれども、ああ、こういうことも自分で考えなくちゃいけないのかな、という風に認識していただくことが重要であって、必ずしもそれがね、いわゆる学会としてのワンボイスである必要性は無いと思うんですよ。
選択と集中
政府の予算というのが財源が限られているところであって、かつしなくちゃいけないことがリストアップしていくとどんどんどんどん長くなるんですよ。全部は出来ないから、その中から本当にプライオリティで位置づけしたときに(優先順位の高いものを)手当てしていきましょう、というそういうロジックですね。それは間違ってないし、個々の研究機関、たとえば大学にしろ、自らが回すお金として運営費交付金というのがあって、プラスアルファの競争的資金、そういうシステムになっているんだけども。初めの、スタートしたとき、法人化したときのルールから、だんだんだんだんその、話が違うんじゃないかっていう、と思っているわけです。それは現実でね。今考えなくちゃいけないのは、このバランスって言うのは本当に、このまま続けていってサステイナブルなのか。それを、今、我々としても、…(6:08)に乗っけて、本質的なところを考えましょうっていうていうことを、今、作業として始めています。いわゆる財政の苦しみも分かっているから、色々なところでカットされたんだけれども、…(6:18)に関してはやはり明日への投資だから、伸ばそうって言う国がかなりあります。…(6:25)に対する投資だって言うのだけれども、先延ばしばっかしていて、なにも、その結果が見えてこない。なんだったんだ、ということになっちゃうんですけれども、まあそういう議論があると。それと同時に基盤がしっかりしていないと、集中的にこれつけたって、これを生かし切る、その、能力が、組織体、あるいは個人の研究者にあるか。基礎体力がないと、やっぱりお金はもらったって、やれっていったって、これ以上のアイデアは出てこないだろうし、次の飛躍するものが出てこないだろうと。人材育成の品質保証として、これまで通りで良いのか。細かく言えば、その、教育の仕方。改善できるっていうのは、予算つけなくても改善できるっていうのは、まだ、あると思う。
ガチ議論参加者へのメッセージ
私個人のこれまでの知っている研究者とか何とかてるときに、やや自分は自己責任というのかなんというのか、人にやってもらうのを待っていたら、何にも、先は見えてこない。色んな形でチャレンジができる。日本がダメなら外いきゃいいんですよ。本質的に面白いと思ったら、海外の人って雇ってくれるし、本当に凄いと思ったら給料も持ってきてくれるんですよ。それだけ、闘う力を、自分に持たないと、日本の労働市場だけだとやっぱし展望は明るくないし、、私がこんなこと言っちゃいけないかもしれないけれども、、でも明るくしたい!したいんです。もちろん。私の仕事としては。でも必ずしも日本の大学だけにしがみつかない方が、私は健全だと思うんですね。若いときに色んな体験するのは重要だと思う。